うんちく 「薬を斬る!(前編) 〜市販魚病薬の成分と効能そして価格〜」
本稿では、皆さんが普段解ったような解らないような状態のまま何気に使用している魚病薬について、数多くのリサーチ結果に基づき、いろいろ考えてみたいと思います。まず今回は市販されている魚病薬の成分やそれから推測できる効能、注意点、それからコストパフォーマンス等について徹底解剖してみたいと思います。

★(参考)魚病薬一覧ファイルの提供★
今回のリサーチを基に、本原稿作成の基礎資料として使用したエクセルファイルを次のURLで公開していますので、併せてご覧いただくとわかりやすいかと思います。当該URLの注意書きをお読みになり、ご了承いただいた上で、ご覧ください。

 魚病薬一覧ファイルURL
  http://www12.plala.or.jp/poo_san/tie/unchiku_5.html

なお、上記ファイル及び本稿における「定価」は、一般家庭における個人使用ということを前提として、最少容量の規格のものを記載しています。より大きい容量の規格を購入する場合は、単位当たりの価格が異なることをご承知ください。



★ファイルNo.1「メチレンブルー水溶液」
◆主成分:
 メチレンブルー
◆定 価:
 650円/200ml
何気なく金魚を飼っている人も、金魚が病気になったら、まずはこれ。たいていの方が、この薬か、後ほど述べるグリーンFリキッドのどちらかは持っておられるのではないかと思います。誰もが知っている、安くて結構いろいろ効く、しかも液状で使いやすいという、魚病薬の登竜門ともいえる薬ですね。有効成分は、色素剤であるメチレンブルーのみ。対象病名は、白点病、水生真菌症(水カビ病)が主なものです。メーカー側の表記には「尾ぐされ症状(注:尾ぐされ病ではない)」にも効くとのことですが、成分的に見て、細菌性の尾ぐされ病等に対する効果は期待しないほうが良いと思います。最初使ってみて、みなさん驚く、とても毒々しい青色。底砂やガラス接着面のシリコン等は見事に染まり、落とすのは至難の業ですので、本水槽への投入はあまりおすすめできません。できれば薬浴用の水槽やバケツで使用するほうが良いでしょう。(これは他の色素系成分を含む魚病薬全てに言えることです。)服や家財道具にでも付けようものなら、奥さん(お母さん)から非難囂々なのは言うまでもありません。なお、有効成分の色素剤は、光で分解し、薬効が落ちてきますから、使用にあたってはできるだけ日光の当たらない暗い場所で行うのがよいでしょう。薬浴用の調整水を10リットル作るのに必要な薬液量は、用量範囲内の中間濃度では2ml。定価ベースで6.5円と、驚異的なコストパフォーマンスを誇ります。白点病(水かび病)対策だけ考えるなら、これ1本で言うこと無しなんですがね・・・。



★ファイルNo.2「グリーンFリキッド」
◆主成分:
 メチレンブルー
 アクリノール
 塩化ナトリウム
◆定 価:
 980円/100ml
金魚が病気にかかったら、まずは先述のメチレンブルーか、このGFL。後ほど述べるグリーンFゴールドリキッドと名前が似ていますが、成分も効能も全く異なりますのでご注意を。成分的にはメチレンブルーが主体で主に白点病、水カビ病等が対象。また塩化ナトリウム+アクリノールで外傷時の保護を期待していると考えられます。メチレンブルーよりも値段は高いけど、効能に書いてある尾ぐされ症状への効果を期待してこちらを買うという方もいらっしゃるかと思います。しかしアクリノールは殺菌剤ということですが、細菌感染予防的な効果(静菌作用)は期待できますが、尾ぐされ病等の細菌性感染症を積極的に治療(殺菌作用)する効果は低いと考えられます。よって効能的にはメチレンブルー+α程度と考えた方がよいでしょう。薬浴水10リットル当たりに必要な薬液は約8.3cc。100mlボトルだと定価ベースで約81円とかなり高め。液状なので使いやすいというメリットはありますが、高いうえに白点病と水カビ病以外の効果が期待できず、ぷーさんとしてはあまりオススメできません。



★ファイルNo.3「グリーンF」
◆主成分:
 ニトロフラゾン
 メチレンブルー
 塩化ナトリウム
◆定 価:
 980円/15g(5g×3包)
魚病薬の中でも最も有名な剤のひとつ(?)でも、後述の「ニューグリーンF」が直接の後継剤になるためか、店頭ではあまりみかけることはありません。成分的には白点病+水カビ病対策の色素剤(メチレンブルー)に加え、細菌病に効果のあるニトロフラゾンが入っています。よって、先述の「メチレンブルー水溶液」や「グリーンFリキッド」とは異なり、細菌性の尾ぐされ病等にもある程度積極的な効果(殺菌作用)が期待できると思われます。ただ、本剤もメチレンブルーを含みますので、水に溶解後は、できるだけ光の当たらない場所での使用が望ましいです。薬浴水10リットル当たりに必要な薬剤は約1.4g。定価ベースで約92円とかなり高め。性状が粉タイプですので、小さい水槽ではやや計量が難しいという問題がありますが、そのあたりをクリアできるなら、細菌症への効果が期待できる分、先述の2剤よりもオススメといえるでしょう。



★ファイルNo.4「ニューグリーンF」
◆主成分:
 メチレンブルー
 塩酸クロルヘキシジン
 アクリノール
 塩化ナトリウム
◆定 価:
 880円/15g(5g×3包)
上記No.3の「グリーンF」と比べて「ニュー」が付く分、何か画期的なことが期待できるのかと思いますが、どうなのでしょう?成分的には白点+水カビの色素剤(メチレンブルー)、細菌性病対象のグアニジン系抗菌剤(塩酸クロルヘキシジン)、外傷保護対策の殺菌剤(アクリノール)ということで、多少の差異はあるものの、「グリーンF」と同じような性質の薬剤だと思われます。グリーンFとの最大の違いはコスト面でしょう。薬浴水10リットル当たりの必要薬剤量が約1gで定価ベースで約59円と、お値段がかなり安めですので、お店に両方置いてあれば、私としては「グリーンF」よりもこちらの「ニューグリーンF」のほうをオススメします。ただ、「グリーンF」と同様に粉状で少量の計量が難しいのでその点には注意が必要です。また、やっぱり日光のあたらないところでの使用を推奨します。



★ファイルNo.5「グリーンFクリア」
◆主成分:
 二酸化塩素
◆定 価:
 1,100円/60ml
他の魚病薬とは一線を画す、色素剤を使用していない(薬浴水を着色させない)という薬剤です。よって底石や水槽のシリコンが着色することもなく、しかもメーカー側の公表によれば水草も枯らさないとか・・・。良いことづくめのような薬剤ですが、対象病害が白点病だけ。色素剤なら同時に効果が期待できる水カビ病さえにも本剤では対応できないということで、「とにかくウチは白点病だけがとっても深刻で、他の病気は全く問題になりません」という人でないと使いにくいと思います。二酸化塩素という物質は、一般的には殺菌に使用するものなのですが、本当に細菌性の病気に効果が無いのでしょうか?でもメーカーが白点病のみ対象と言っているのですから別に構わないのですけどね。ちょっと疑問に感じましたので。なお、二酸化塩素はその名のとおり塩素を含む組成となっており、日光で分解して塩素(カルキ)が溶け出す可能性がありますので注意です。カルキ抜きした水にまたカルキを発生させていたのでは、何をやっているかわかりませんので(笑)。薬浴水10リットル当たりの必要薬液量は5ccで定価ベースで約92円と、お値段も相当高め。ぷーさんとしては、使いにくいうえ高いのでオススメしません。でも本水槽に水草をいっぱい入れていたり、メチレンブルーやグリーンFのあの毒々しい色がキライという方には良い薬剤かもしれませんね。



★ファイルNo.6「グリーンFゴールド顆粒」
◆主成分:
 ニトロフラゾン
 スルファメラジンナトリウム
◆定 価:
 1,400円/6g(2g×3包)
尾ぐされ病や松かさ病等の細菌性病に特化して治療効果を期待した薬剤です。成分を見てみると、細菌に対する作用機作(細菌を死滅させるプロセス)が異なるフラン系抗菌剤(ニトロフラゾン)とサルファ剤(スルファメラジンナトリウム)という2種類の成分が入っていますので、「あっちがダメならこっちで勝負」みたいな念には念を入れた親切設計のお薬といえます。ただ当然水草水槽には使えませんし、濾過バクテリアもズタボロにやっつけてしまうと考えられますので、本水槽での使用は注意です。できれば薬浴水槽を別に用意したほうが良いでしょう。また顆粒状である上に、薬浴水10リットル当たり薬剤量は0.28gとかなり少量ですので、小さい薬浴水槽での使用にあたっては、濃度調節が相当に難しいと思われます。お値段的には定価ベースで10リットル当たり約69円と、効果のワリにはリーズナブル。少量の計量が難しいという問題点をクリアできれば私としては細菌病対策にオススメのお薬です。



★ファイルNo.7「グリーンFゴールドリキッド」
◆主成分:
 オキソリン酸
◆定 価:
 2,000円/150ml
抗生物質が主成分の細菌性病に効果のある薬剤です。メーカー側の効能には松かさ病(エロモナス属の菌)が対象のように記載さいれていますが、尾ぐされ病、エラぐされ病(カラムナリス属の菌)にも同様に大きな効果が期待できると思います。先述の顆粒タイプのNo.6の薬剤とは名前が似ていますが、全く成分が異なりますので注意です。抗菌する菌の種類という面では、No.6に一歩譲りますが、抗生物質ですから、目的の細菌に対しては優れた殺菌作用を示すと考えられます。一方で、抗生物質の宿命ですが、長期間の連用は耐性菌(薬が効かなくなる変異種の細菌)が発生しやすくなります。よって尾ぐされ病がたびたび出ているような水槽では、抗生物質(オキソリン酸)以外を主成分とする細菌性病対象の薬剤(サルファ剤や抗菌剤)と併用することが望ましいと考えられます(混用ではありません。順番に交互に使うという意味です)。なお、顆粒タイプと異なり、水草へのダメージは少ないようです。またこの抗生物質はグラム陰性菌のみに効果を示すため、濾過バクテリア(グラム陽性菌)へはダメージを与えないという話もありますが、その点の真偽は不明です。しかし、顆粒タイプのものほどではないにしろ、何らかの形で水槽の微生物環境にも影響を及ぼすと考えておいたほうがよいでしょう。使い方さえ間違えなければ、非常に効果の高い薬だと思います。薬浴水10リットル当たりの必要薬液量は10ml、定価ベースで133円とお値段はかなり高め。尾ぐされ病に悩み続けている方で、今まで抗生物質剤は使用したことが無いという場合にはオススメです。



★ファイルNo.8「観賞魚用パラザンD」
◆主成分:
 オキソリン酸
◆定 価:
 2,800円/30ml
No.7の「グリーンFゴールドリキッド」と成分的には全く同じですので、効果や注意点は同じと考えられます。ただ、こちらの薬剤は単位当たりの成分含有量が多いため、同じ薬浴水を作るのに必要な薬液量が少なくなっています(その分、当然ml当たり薬液単価は相応に高くなっています)。どちらを選ぶかは好みでいいと思いますが、例えば小さい水槽で少量を計量して使うなら、成分濃度が低くて計量のしやすい(同じ水量で多量の薬液を必要とする)「グリーンFゴールドリキッド」をチョイスし、大きい水槽で一度にたくさん使うなら、計量、投入が少量で済んでお手軽な「パラザンD」を、といった感じで、適当な方を一方購入すれば良いです。薬浴水10リットル当たり必要薬液量は1ml、定価ベースで約93円と、「グリーンFゴールドリキッド」よりは少し安めとなっています。



★ファイルNo.9「観賞魚用エルバージュエース」
◆主成分:
 ニフルスチレン酸ナトリウム
◆定 価:
 1,000円/2g(0.5g×4包)
載せようかどうしようか迷ったのですが、結構お店に置いてありますので載せることにしました。というのも、粉状である上に、必要薬剤量が少なく、一般家庭における小型水槽ではかなり使いにくいと思われるからです。主成分はフラン系抗菌剤のニフルスチレン酸ナトリウムです。グリーンFやグリーンFゴールド顆粒等に含まれているものと同じ系統のものです。細菌性の病気に十分な効果が期待でき、比較的耐性菌もでにくいらしいです。薬浴水10リットル当たりの必要薬剤量は0.1gときわめて少量ですので、数十リットル程度の薬浴水を目的の濃度に合わせるのはかなり困難と思われます。また魚体への吸収率が高く、高濃度、長時間の薬浴は危険であるなど一般家庭における小型の飼育水槽(60センチ以下)では、かなり使いにくいと思われます。コスト的には定価ベースで50円/10リットルと、細菌性病対象剤としては安い部類に入ります。



★ファイルN0.10「リフィッシュ」
◆主成分:
 トリクロルホン
 塩酸クロルヘキシジン
◆定 価:
 1,500円/40g
ウオジラミやイカリムシといった寄生虫に効果のあるトリクロルホンと、細菌性病に効果のあるグアニジン系抗菌剤(塩酸クロルヘキシジン)が含まれています。トリクロルホンが含まれる薬剤は、高水温(約28℃以上)では魚に薬害がでやすくなるので注意が必要です。また薬浴水10リットル当たり必要薬剤量は0.05gと恐ろしく微量です。一体どうやって測るのでしょう?薬浴水槽で10リットルの水に0.05gの薬剤を溶いて・・・なんてちょっと恐ろしくてできませんね。ただ、薬剤の無駄がでることを承知で使うなら、例えば本剤1g程度を100mlの水に溶き、それを必要な量だけ量り取って使うという方法もあると思います(この調整液を5cc量り取れば薬剤0.05g入れる計算になりますよね)。一般家庭で1本使い切るには、おそらく何世代もかかるでしょう(笑)。コスト的には定価ベースで1.9円/薬浴水10リットルと、驚異的なコストパフォーマンス。上記のいくつかの使いにくさを承知の上でなら、案外良い薬なのかもしれません。



★ファイルNo.11「トロピカルN」

 ◆主成分:トリクロルホン、アクリノール、塩化ナトリウム

 ウオジラミやイカリムシに効果のあるトリクロルホンと、外傷時の静菌作用をもつアクリノールを含有。寄生虫の寄生跡から細菌性の感染症等が起きやすいことを考えると、なるほど考えられた薬だなと思います。リフィッシュとの違いは、「トロピカルN」のほうが細菌性感染症対策の成分が含まれていないかわりに外傷静菌対策のアクリノールが入っていること。ただ、寄生跡の傷の細菌感染防止という意味では、両剤とも差異は少ないと考えられます。トリクロルホンが含まれていますから、リフィッシュと同様に高水温での使用は避けること。薬浴水10リットル当たりの必要薬剤量は0.1gと、これまたかなり少量で、量り取るのは難しいと思われます。コスト面では、定価が不明なためなんとも言えませんが、実売価格が600円/30g程度ですから定価ベースではおそらく2〜3円/飼育水10リットル程度となると思われます。リフィッシュ同様にとてもリーズナブル。



★ファイルNo.12「トロピカルゴールド」

 ◆主成分:トリクロルホン、メチレンブルー、アクリノール、塩化ナトリウム

 寄生虫駆除と、寄生跡の静菌用としてトリクロルホン&殺菌剤(アクリノール)、そして白点病+水カビ病対策に色素剤(メチレンブルー)を含有。トリクロルホンが含まれますので、高水温では薬害が生じやすいことに注意。成分的にみて細菌性病に積極的な効果は無いと思われます。しかしながら、寄生虫+白点病に同時対応という他に類を見ない面白い薬だと思います。薬浴水10リットル当たりの必要薬剤量は0.2gと、リフィッシュやトロピカルNよりはわずかではありますが量が多く、多少なりとも量り取りやすいと思われるので、寄生虫対策の剤の中では、小型水槽での使用ということに限って言うなら、この剤が一番オススメといえそうです。コスト的には、これまた定価が不明なのですが、実売価格が700円/30g程度ですので、定価ベースで5〜8円/水10リットルとなると思われます。上記2剤(リフィッシュ、トロピカルゴールド)よりは若干実質価格が高いものの、それでもなお非常にコストパフォーマンスが良いので、粉状で少量を量りにくいという問題がクリアできるなら買いではないでしょうか?



★ファイルNo.13「ハイ−トロピカル」

 ◆主成分:スルファジメトキシン、アクリノール、塩化ナトリウム

 他のトロピカルシリーズ2剤と違って、こちらはサルファ剤(スルファジメトキシン)を含む細菌性病対応薬です。細菌性病薬として抗菌剤や抗生物質剤の単剤(有効成分が1種類のみ)という製品はあるのですが、この「ハイ−トロピカル」のように、サルファ剤単剤というのは珍しいですね。もちろん本剤のみの使用でも、十分細菌性病に対する効果はあると思います。またサルファ剤自体が抗生物質等よりは耐性菌がでにくいと考えられるので、そういった意味でも安心して使用できるといえるでしょう。本剤にはカプセルタイプも有りますので、水槽の容量によっては計量の必要が無くて便利かと思います。薬浴水10リットル当たり必要薬剤量は0.5gで、定価は不明なのですが実売価格が700円/30g程度ですので定価ベースで12〜17円/水10リットル程度となり、細菌性病対象の薬剤としてはやはりリーズナブルなものになっています。なお、N0.11〜13に挙げたトロピカル〜シリーズの3剤は、成分構成が他の薬剤とは異なっていて面白いし、実質価格も安いので、計量が難しいという問題がクリアできるのであれば、オススメだと思います。



★ファイルNo.14「フレッシュリーフ」
◆主成分:
 スルファジメトキシンナトリウム
 アクリノール
 マカライトグリーンしゅう酸塩
 塩化ナトリウム
◆定 価:
 1,000円/6g(2g×3包)
サルファ剤(スルファジメトキシンナトリウム)で細菌性病(尾ぐされ病等)に、また色素剤(マカライトグリーン)で白点病、水カビ病に対応しています。この剤のウリは、その商品名からもわかるように、水草に影響が無い!というものです。真偽のほどは定かではありませんが、ここまで堂々と表記しているからには、少なくとも他の白点病、細菌性病対象薬剤よりは影響が少ないのでしょう。もしこの剤を使って水草が枯れたという方がいらっしゃったら、使用濃度、枯れた水草の名前等お知らせいただけるとありがたいです。ただ、他の多くの剤と同様に、濾過バクテリアへの影響はあるでしょうから、安易に本水槽へ投入するのは考え物です。薬浴水10リットル当たり必要薬剤量は0.3gで、定価ベースで50円です。細菌性病対象の薬剤としては、価格が比較的安いこともあり、水草を多く植えている人で、本水槽ごと薬浴したいというのであれば、買いでしょうかね。



★ファイルNo.15「アグテン」
◆主成分:
 マカライトグリーンしゅう酸塩

◆定 価:
 1,400円/100ml

★ファイルNo.16「ヒコサン」
◆主成分:
 マカライトグリーンしゅう酸塩

◆定 価:
 1,380円/70ml

★ファイルNo.17「スーパースカット」
◆主成分:
 マカライトグリーンしゅう酸塩

◆定 価:
 1,300円/70ml

No.15〜17については、全てマカライトグリーンしゅう酸液を主成分とする白点病治療薬です。成分含量としては、3つの剤とも、100ml中、マラカイトグリーン50mgを含有します。マラカイトグリーンはメチレンブルーと同じような色素剤で、白点病、水カビ病への効果が期待されます。しかしながらメチレンブルーと異なり、水草への影響が無いことを謳っているので、それなりに使いやすい薬だといえるでしょう。薬浴水10リットルを調整するのに要する薬剤費は、定価ベースで「アグテン」14円、「ヒコサン」19.7円、「スーパースカット」18.6円と、いずれも似たり寄ったりです。メチレンブルーよりは若干高めですが、それでも魚病薬としてはかなり安い部類に入りますし、水草にも影響が無いということですから、かなりお買い得と言えます。
なお、マラカイトグリーン自体に発ガン性があるという報告がありますので、使用にあたってはできるだけ手指に触れないようにするほうが良いでしょう。魚に対する影響は考えなくても良いと思います。



★最後に・・・

今回は各薬剤の成分から予想される効能について書いてみました。購入に際して参考にしていただければと思います。ただ、一つだけ注意しておいて欲しいことがあります。これらは全て、魚病薬の「正の効果」の部分だけをとりあげていますが、魚病薬の主成分が薬効のある化学成分であるということからも、必ず魚体に対する「負の影響」(悪影響)もあると考えられます。特に、複数の有効成分が入っている薬剤について、各々の成分は影響が薄くても、2種類の成分相互の相乗効果で、魚体への吸収率が高まり、悪影響が大きくなるという可能性だってありうるわけです。実際に前編を掲載してから、ある薬剤(多数の有効成分を含む)を使用したら、魚が急に暴れたり死んだりした、という経験をされた方もいらっしゃいました。本文で多くの種類の病気に効く薬をおすすめのように記述したこととは逆のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、実際の使用にあたっては、そういった点も少し考えてみると良いかもしれませんね。

(お願い)
本記事及び基礎資料のエクセルファイル等の中に誤りにお気づきになられたら、連絡いただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
 
ぷーさんの知恵袋