□ Fill in the Blanks □

『The Phantom of the Opera』 オフィシャルサイトより
舞台に残されたさまざまな謎
IF もしも〜だったら・・・の世界で遊んでみよう


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ファントムの生い立ちについて。
初めてクリスティーヌを見た瞬間、彼はどう思っただろう

ファントムの生い立ちについては、スーザン・ケイの小説のイメージを色濃く受けてしまっているので今更なのですが、そのイメージに倣うと、ファントムがクリスティーヌを初めて見た時の印象は、「母だ!」になるでしょうね(笑)
求めても求めても得られなかった、美しく手の届かない存在。
ファントムの心の最も深い部分にある喪失と、ほぼ同じ形をした異性が恋愛可能な他人という姿で現れたのだから、夢中になるのも無理はないでしょう。

一方、ガストン・ルルーの原作におけるエリックは、あまり母親への強いこだわりは感じさせませんね。
もちろん母親から醜い顔を拒絶されたことは彼の大きな傷となっているし、母親の残したわずかばかりの家具を、地下の一室にひっそりと保存しているくだりなどは、母親へのしんみりとした愛惜を感じさせますが、原作のエリックはそれを哀しい運命として受け入れてるふしがある。
エリックがクリスティーヌに出会った詳しい経緯については、触れられていないので不明なのですが、ただスーザン・ケイの血の香り漂う因縁めいた愛情ではなく、極めて自然な成り行きで惹かれたのではないかと思います。
春の光のような金の髪に、淡く澄んだブルーの瞳。
”美しい”ということの価値を誰よりもよく知っているがゆえに、純粋にクリスティーヌの美しさに心をよせたのかも知れない。


メグとクリスティーヌはどのようにして友人となったのか?

メグとクリスティーヌの関係については、少し興味深い所があります。
舞台のクリスティーヌの楽屋で一緒に歌う二人を見ていて、いつも「おや?」と思っていたんですよ。
特に最後の掛け合いの部分。
「感じられる」「冷たい」「不思議な」「青ざめてるわ」「気持ちよ」「どうしたの?」
音楽の天使を夢見ながら歌っているクリスティーヌの冷えた手をとり、病的な輝きを宿すクリスティーヌの顔を覗き込み、二人無言のまま顔を近づけてゆく。
そこへマダム・ジリーが入ってきて、二人ともビクッと我に返るわけですね。

非常に危うい・・・憧れを伴った友情と愛情の中間にある・・・つまりやや同性愛的な香りの混じった感情を、メグはクリスティーヌに抱いていたのではないかと(笑)
この世代の女の子に特有の、透明感のある友愛を。
きっと楽屋の暗がりの中、二人で色んな話をしたんだろうなぁ。
それこそクリスティーヌが父親から聞かされていたような、不思議な古いお話を、メグはクリスティーヌから聞かせてもらっていたのかも知れない。


ファントムを残して去ったクリスティーヌとラウルは、その後結婚したと思うか? お互いの事をどう感じていただろう?

ラウルとクリスティーヌは結婚するでしょう。
二人が結ばれなかったら、あまりにもファントムが報われないではないか(苦笑)
きっと二人が二人の弱い部分を支えあう ―― 二人で苦難を乗り越え、幸せを分かち合い、共に新しい生活を築いて行こうとする ―― そんなカップルになったのではないかと思います。
彼らにはファントムの分まで幸せに生きる”義務”があるのだから。

クリスティーヌにとっては、ラウルは「ファントムの記憶を共有できる人」という側面があったかも知れません。いつもラウルに猿のオルゴールのことを話していたように(笑)
ファントムのことをどう思っていたか。父への想いとファントムへの想い、そして自分にとってファントムがどのような存在であったのかを、ラウルに打ち明けていたのかも。
ラウルにとっても、記憶の中のファントムは”クリスティーヌに対する愛情の深さ”という点で永遠のライバルであり、二人の間がうまくいかなくなった時には「師」として彼を戒めていたのではないかと。

ファントムが消えた後も、そうやって二人の中でファントムが穏やかに息づいていたのだとしたら・・・ファントムファンとしてはなんとなく嬉しいですね(笑)


クリスティーヌは再びファントムと会うことがあると思うか?
会ったとしたら二人の間に何が起こるだろう?

クリスティーヌが再びファントムに会うことはないと思います。
それに会う必要もないでしょう。
なぜって?
ファントムはいつだって彼女の中にいるから・・・。



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