やっと見つけた 何よりも欲しいものを 人は案外、自分が真に欲しているものが何であるか 知らなかったりするものだ だが私は見つけた 私が真に欲するものを 孤独で愛に満たされず、いつもどこかに父親の影を探しているあの女 私と正反対の外見をもちながら、私に良く似たあの女 私の、どうしても受け入れられないこの醜い半身を 彼女は満たしてくれるだろう そう、彼女はもう一人の私 私がなりたかった私 私の一部が彼女の中にあり、彼女の一部が私の中にある 同じ幹から分かれた枝のようなものだ 私は・・・幹へと戻りたがっている |
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私には私がわからない 本当はどうしたいのか あの人の声が私を呼び、私はそれに従う 流れ落ちる水のごとく、何の違和感もない まるで前世からの約束のように このままあの人と一緒に闇の中に沈んでしまってもいいと思う時がある 誰も二人を傷つけない、閉ざされた平穏の中へ 目を閉じ、手足を丸めてお互いの体温だけを感じながら生きる 羊水の中を漂うように、時間すら忘れて でも・・・ラウル あなたが、あなたがいるから あなたが心の深淵に沈もうとする私を、明るい光のもとに導いてくれるから 自分の意思で、人間らしく生きる事の大切さを私に思い出させてくれた 冷たい現実から逃げてばかりいては駄目なのだと 分かっている。分かっているけれども あの人が私を呼んでいる 私の心の深いところで何かが目を醒ます 行かなくては・・・行かなくては? 違う 私は行きたいのだ |
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クリスティーヌ、あなたのパパがしていたお話をもっと聴かせて 月夜のヒースの荒野で妖精が踊るのですって? 春の王冠をかぶった小さなロッテの話は? 音楽の天使はまだあなたのところに来てくれないの? でもあなたのパパが約束してくれたのなら、すぐに来てくれるわ きっと素晴らしく美しいのよ・・・だって音楽の天使だもの |
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こうやって抱きしめていても、僕は君の心に入っていけない 僕は君を愛している 君も僕を愛していると言ってくれる なのにこの不安感はどうだろう 僕は気付いているんだ 君は僕を見てはいない 君の心はどこか遠い所を彷徨っている 僕に愛を告げる君の瞳は限りなく優しく、そして絶望的に冷めている |
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暗い 暗い 冷たい 何も見えない クリスティーヌ、どこだ 誰を見ている? 誰に微笑んでいる? ああ、やめてくれ 私だけを、私だけを見てくれ お前の目の中に映る私だけを、私は受け入れることができる お前が私を見てくれなければ、私は唯一の光を奪われてしまう 私を闇の中に置いて行かないでくれ クリスティーヌ・・・ |
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私の声を返して! 純粋な魂ですって? 笑わせるわね 酔客相手に安キャバレーで歌わなければ生きていけなかった私に あなたが何を言えるのかしら 魂さえあれば空気だけで生きていけるとでも? 歌さえ歌っていれば音楽の天使が護ってくれるとでも? あなたに私の音楽を奪う権利などありゃしないのよ 私が血の滲む思いで積み上げてきた音楽を奪う権利は 誰にも!誰にも! |
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あなたは飢えた存在 私と同じように もう一人の私を映す鏡 私が望めば天使に 私が望めば悪魔に あなたの行動が私の望みを反映したものなのだとしたら、 私を外の世界に連れ出そうとするラウルの首に手をかけているのは 私自身なのかも知れない どこへも行きたくないのだと ああ、ならば解放してやらなければ・・・私自身を 受け入れてやらなければ・・・私の弱さを、醜さを 愛しているわ |
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なぜ君でなくてはならなかったのかは分からない なぜ一つになれると思ったのかも分からない ただ君になら理解してもらえると思ったんだ ずっと一人で魂の片割れを探していた僕の気持ちを 君も僕と同じように失った魂の半分を探していたから 愛に敗れたから消えるのではない 愛に気付いたから消えるんだ やっと気が付いた だからどうか悲しまないで・・・ |
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・・・――――――――――――・・・――――――――――――・・・ ずっと探していたオルゴールを、ついに手に入れたよ これを君に捧げよう 彼と二人でいつまでも聴いていられるように・・・ ・・・――――――――――――・・・――――――――――――・・・ |
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