滝沢馬琴 南総里見八犬伝
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滝沢馬琴が28年もの歳月をついてして書き上げた『南総里見八犬伝』。執筆途中に失明するも息子の妻であるお路の口述筆記により全96巻。上下巻をあわせると106冊もの大作を完成させます。
この滝沢馬琴は原稿料だけで生活ができた日本で最初の作家ともいわれ、当時から人気は大変なものでした。
現在でも南総里見八犬伝をヒントとした作品が多く出版されていますが、確かにちょっと劇画っぽい内容で特に男性は大好きなストーリーですね。
内容としては、中国の水滸伝をヒントとして書かれているのですが、日本の室町時代を舞台に仁、義、礼、智、忠、信、考、悌の玉を持ち名前に犬が付く8人の犬士が戦うというストーリー。水の出る宝刀なんかが出てきたりして現在でも十分人気が出そうな内容。
幕末から明治にかけて高い人気を獲得した里見八犬伝ですが、明治になり坪内逍遥が小説神髄の中で南総里見八犬伝の奇想天外なストーリーを批判したことや江戸読本の文学的評価の低さもあって長い間文学研究の対象とはなってきませんでした。しかし、近代に入り多くの研究者が八犬伝を研究するようになっていきます。
全部読むというのは、さすがに結構な歳月が必要になるので現代語訳である程度まとめられ編集されているものがありますのでその辺からチャレンジしてみてください。
南総里見八犬伝あらすじ |
結城の合戦によって里見家は里見義実を除き全滅してしまいました。何とか生き延びた義実。たどり着いた安房の国という地で山下定包という男が国を乗っ取ろうとしているという話を耳にします。この定包を退治してやることで安房の国を治めることに結果としてなるのですが、定包の女である玉梓を斬首する際「おまえらとその子孫まで呪ってやる。煩悩の犬にしてやる!」と呪いの言葉をかけられるのでした。
義実自身は、強い精神力のため玉梓の怨念に負けることはなかったのですが、彼女の怨念は義実の子供たちにずっとまとわりついていくことになるのです。
時は経ち、義実もついに結婚。伏姫という美しい娘もできました。しかし、この子、3歳になっても言葉をしゃべろうともしません。心配になり、伏姫を連れて有名な神社に行くことにするのですが、その途中、老人に会い伏姫は呪われていることを知らせれます。老人からもらった「「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」と彫られた8つの水晶の数珠を首からかけると伏姫はその日を境に言葉を話すようになっていきました。
再び、時が経ち、隣国の安西景連に責められ里見家は落城に危機に陥ります。
義実は、もうどうにもならない状況の中、伏姫がかわいがっていた犬の八房に「安西の首をとってくれば、伏姫を嫁にやるぞ」と冗談をいいます。
ですが、八房は本当に安西の首をとって帰ってくるのです。このチャンスを逃すな!と里見側も一気に反撃!ついに逆転勝利を治めるのでした。
ほんの冗談のはずだった八房との約束。ですが八房は本気。伏姫を背に乗せて山の中へと入っていってしまいました。
伏姫を愛していた金碗大輔という男がいました。男は山の中を探し回り、八房を見つけ矢を放ちます。しかし、その矢は八房だけでなく伏姫までも貫いてしまうのです。
八房の霊気により8人の子を宿していた伏姫。その伏姫の首にかけられた水晶の数珠がちぎれ、空に散っていくのでした。伏姫は8人の子が里見家を守ってくれるでしょうといい息を引き取ります。金碗大輔は、あまりのショックに自害を考えますが、義実に諭され、伏姫の数珠を持つ8人の犬士を探しに旅に出るのでした。
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