歴史年代ゴロ合わせ暗記  

歴史年代ゴロ合わせ暗記>マルクス資本論

マルクスの資本論


 
カール・マルクスは、1818年5月5日にプロイセンに生まれました。プロイセンというのは、現在のドイツ北部やポーランド北部のあたりにあった王国です。そして、彼が書いた有名な本が「資本論」ですね。

 実は、マルクスがちゃんと書いたのは「資本論」の第1巻のみ。2巻、3巻に関しては途中まで書いた段階で亡くなってしまっています。彼の意思をついで2、3巻を完成させたのは友人のフリードリヒ・エンゲルスという人です。

 では、この資本論について簡単に学んでいってみましょう。

 マルクスが生きた時代は、定期的に恐慌が起き、多くの労働者が貧困にあげいているような状態が続いていました。そこで、マルクスは考えるんです。「なぜ、こんな状態になってしまうのだろう?きっと、今の経済の仕組みがいけないのだ!」って・・・。

 マルクス以前に有名な経済学の本がありましたね。「国富論」です。書いた人はアダム・スミス。アダム・スミスは「経済は市場に任せ自由にさせておけばいい。政府は余計なことをしないほうがいい。その方が経済は発展していくのだ」という考えでした。こういう考えを資本主義経済っていいます。マルクスは、この資本主義経済の危険性を「資本論」の中で指摘したんです。



 資本論では、まず商品の分析から始まります。経済全体という大きなことを考えるならば、まずは商品という小さなものから考えましょうということですね。

 
商品には2つの価値がある

 商品には2つの価値があるといいます。1つは使用価値。もう1つが交換価値。使用価値とは使って役に立つってことです。交換価値は交換するときに、その商品が持っている価値ですね。

 「そのダイヤとこの石ころ交換しよう。」って提案して「うん。いいよ。」っていう人はあまりいませんよね。ダイヤを手に入れるためにどれだけ苦労したと思ってるんだ!せめて同じだけ苦労して10万トンくらいの石ころ集めてから交渉しろ!って感じでしょ。

 このようにマルクスは商品の交換価値を労働力によって決まるものだと考えました。商品の価値は、その商品を作るために費やされた労働量によって決まる。労働によって価値が生み出される。これを
労働価値観っていいます。

 剰余価値

 剰余価値とは資本家の儲けです。資本家は、労働者を雇い働いてもらい、儲けを出していますね。当然、労働者も給料をもらっている訳ですが、労働者には彼らが貰う給料以上の仕事をしてもらわないと資本家の儲けは出ない訳です。ネジを1日に100本作る仕事をしているとしたら労働者は50本を自分の給料としてもらえます。残りの50本は資本家(雇い主)の儲けとなるといった具合です。

 まぁ、雇い主としたら、この剰余価値をどんどん上げていきたいですよね。労働者から搾り取りたいです。
 
 
絶対的剰余価値と相対的剰余価値

 剰余価値、つまり資本家が自分の儲けを増やす為には2つの方法があります。まずは、労働時間を長くしちゃえばいいんです。給料はそのまま。でも残業をめちゃめちゃさせる!これなら、資本家の儲けは増えます。これを絶対的剰余価値といいます。

 もう1つは・・・。そう給料減らすことですね。これを相対的余剰価値といいます。

 おいおい、めちゃくちゃだなって感じですね。これでは、労働者がストライキを起しますよね。

 もうちょっとまともな方法もあります。生産性を上げればいいんです。今まで1時間で10本のネジを作っていたら1時間で20本のネジを作ればいいんです。新たな機械などを導入すれば、これも可能ですね。もうひとつ、マルクスは労働の生産性費を切り下げればいいともいっています。労働者の生活費を下げるということですね。

 資本家が必死になって生産性を上げようとすると商品の価格が下がりますね。みんながそうすれば、労働者の生活費も下がって安い賃金でも生活できるので給料が下がっても納得してもらえます。
 
 
資本主義経済の下では格差社会と独占を生む

 資本家は儲けたお金を投資して、もっと儲けようと考える訳ですが、その際に機械を導入したりして労働力を購入する金額を減らしていくと失業者が増えていくことになります。

 失業者が増えたり、労働者の給料が減っても生産性が上がれば、資本家の儲けは増えますね。

 こうして、資本主義経済では、資本家に富が集中し、労働者は貧困にあえぐという訳です。

 また、この状態が発展していくと自由経済は独占の状態へと変化していくといいます。まぁ、ほったらかしにしておけば、今の日本でも独占の状態になることは考えられますよね。強い企業がその分野を独占してしまう状態です。そうならないように現在の日本では規制をかけています。

 「巨大資本家は、こうしてその数を減らしながら、この変容過程がもたらす一切の利益を奪い去り、独占していくことになるが、それと同時に巨大な貧困が激しさを増す。」

 と資本論では難しい言葉で述べられていますよ。

 また、マルクスは資本論の第一部を結ぶにあたって「資本制的私的所有の弔いを告げる鐘がなる」と告げています。

 資本家と労働者の間の格差が大きくなれば、いずれ労働者たちが革命を起して資本家たちを追い出してその財産をすべて労働者のものとするってことです。

 このようにマルクスは資本論の中で資本主義経済の危険性を指摘しました。そして、それを読んでなるほどね。やっぱり、資本主義経済じゃダメだねって思った人たちが世界中にいっぱいいたんですね。まぁ、当時は恐慌に苦しみ、街中に失業者が溢れていた国も多かったですからね。

 そして、毛沢東は社会主義国家である中華人民共和国を建国し、レーニンは革命によってソビエト社会主義共和国連邦という社会主義の国を打ち立てたんです。市場を自由に競争させていたらダメになる。計画的に経済をまわし、皆が平等で豊かな暮らしができるようにしようという考えです。

 しかし、競争のなくなった社会主義は実際あまりうまくいかなかったのは皆さんも知るところです。

 技術やデザインの進歩が遅れてしまうんですね。がんばっても基本的に給料いっしょっていうのなら、がんばりたくないですからね。

 また、資本家たちが資本主義に再び経済を戻そうなどと考えることもありうるので、彼らの考えが広まらないように言論を統制します。すると自由な言論も抑圧されてしまうんです。

 ですから、一時期、マルクスの資本論は時代遅れの経済学だといわれていました。しかし、日本でも現在問題になっていますよね。格差社会・・・。これらの問題が再び浮上し、マルクスの資本論を見直す動きも見えています。