祖父 自由也が得意な彫りと緑青・金と朱のばらんすの取れた飾りである
天壌無窮の四つの文字に出会ったのは安曇野であった。ワサビ田の近くの旧家を訪ねたときだった。入り口の土間の上を見るとこの四文字が横に並んでいたのだった。尋ねると中村不折の書であるという。やはりと思った。僕の小さいときからその文字の書かれたこの彫り物は当たり前のように家の床の間にあった。その文字と同じ文字がその旧家にあったことで、祖母の叔父である不折翁はすごい人なんだと思った。