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終章 |
一ヶ月後、時空移動装置は完成した。 夕方の研究室にローザンとレフォール殿下がやって来て、ロイドの時空移動を見守っていた。 時空移動装置は開発期間を短縮するため、広域人物捜索装置に機能を追加する事で完成した。そのため基本的な操作は、逆転送のテストに関わったローザンも知っている。 行きはローザンに操作してもらい、帰りはロイドの持つリモコンで遠隔操作を行う事にした。 ガラスの筒の中に入ったロイドは、ローザンに向かって手を挙げた。それを受けてローザンが操作を開始する。 少ししてマシンがうなり、足元が振動し始めた。そして身体の周りを光が覆い始める。 手を振る殿下とローザンの姿が光に隠れて、ロイドは目を閉じた。 しばし後、周りから音と光が消えている事を感じて、ロイドは目を開いた。 目の前には間近に壁と窓が迫っていて、少し驚く。どうやら移動に成功したらしい。 窓にかかったカーテンの隙間から、見慣れない街並みが見えた。 「ふーん。ここがニッポンか」 思わずつぶやくと、すぐ側で懐かしいユイの声が聞こえた。 「ロイド?」 声のした方に顔を向けると、三ヶ月前と変わらぬユイが、驚いたようにこちらを見つめていた。 夢にまで見た瞬間に、ロイドは嬉しさがこみ上げてきて、笑顔でユイに歩み寄った。 「待たせたな。迎えに来たぞ」 これから、ユイと共にある未来が始まる。 (完) |
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