家庭で美味しいビールを注ぐには?

 以下のビールの注ぎ方は、日本一のビール注ぎの名人と言われた、故・新井徳司氏に生前教わったものである。

 新井氏は、自分の店であるビアホール「灘コロンビア」に来る客に、色々なビールの知識を披露して下さっていたのだが、これもその中の一つだ。

 

 まず基本としては、鮮度のいいビールを用意すること。銘柄もさることながら、日付の古いビールは美味しくない。

 それを冷蔵庫で冷やす訳だが、ある程度時間をかけて冷やし、ビールを落ち着かせた方が美味しい。

 次にグラスだが、これはサイズが大きめのものを用意する。新井氏の注ぎ方では、勢い良くビールを注いできめ細かい泡を作るので、小さいグラスだと理想的な泡ができる前にあふれてしまう。

 そのグラスを洗剤でよく洗って自然乾燥させる。汚れや油分が少しでも残っていると、たちまち泡が消えてしまう。早く乾かしたいからと、布で拭いたりしないこと。

 夏場はグラスそのものも温かくなっているので、飲む少し前に冷蔵庫に入れておくと良いだろう。ただしフリーザーはやりすぎ。霜がつくし、ビールが冷えすぎてしまう。

 

@ビールは高い位置から、徐々に勢い良く注ぐ。

A盛大に泡が出るが、気にせず勢い良く注ぎ続ける。コツは一定のスピードで。「ドポッドポッ」とならないように。

B泡がグラスの淵まで来たら、注ぐのを辞める。

Cあとはひたすらじっと待つ。

Dそのまましばらく置いて、泡が消えて液体との比率がこんな感じになればOK。泡を唇でどかし、下の液体を「ぐーっ」と一気にのどの奥に流し込もう!

 

 新井氏が教えてくださった注ぎ方は以上の通りである。客に供する訳ではないので、見てくれはこの際問題外という訳だ。ただし、見栄えを良くしたいのであれば以下のようにすれば良いだろう。

 

EDの状態のビールに更にビールを注ぎ足す。今度はゆっくり静かに。

Fこれで見た目もバッチリ。

G新井流の注ぎ方だときめ細かいしっかりした泡が出来るので、マッチ棒を刺してもこの通り沈まない。

 

 さて、こうして注いだビールは美味しく飲めるはずなのだが、実のところ、「注ぎ方でそんなに味の差なんてあるんだろうか」という人も少なくない。どうしてそういう認識になるのか理由はわかっている。以下は次項にて。

 

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