《アサヒ 世界ビール紀行〜ドイツ メルツェンタイプ〜》

 アサヒが「世界ビール紀行」と銘打って発売する第一弾。缶の表記に「世界各地の特長あるタイプのビールを、アサヒビールが醸造して、お届けいたします。豊かなビール文化の世界を旅する気分でお楽しみください」とある。かつてはこういう企画にはあまり積極的ではなかったこのメーカーであるが、時代は変わった。すでに第二弾の1130日発売「ベルギー ベルジャンエールタイプ」が発表になっているが、できれば長く続いてほしいシリーズである。

 さて、メルツェンというのはドイツの世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」で飲まれるビールとして有名である。「メルツェン」というのはドイツ語で3月を意味する「メルツ」から来たもので、文字通り3月に仕込まれるからこの名が付いたとか。冷蔵技術の低かった昔に腐敗しやすい夏場を越すため、ホップをたくさん使いアルコール度も高めにしたラガービールである。赤みの濃い琥珀色が特徴なのだが、近年は淡色のものも出ているらしい。

 さて、このタイプのビールはかつてサントリーが1977年にそのものずばり「メルツェン」ビールを発売している。また、同社は2003年にも「茜色の芳醇」という商品名で赤みの濃い色のメルツェンの特徴を生かしたビールを発売している。

 今回、アサヒの「メルツェン」はいかに?

 グラスに注いでみると、残念ながら赤みのかかった色は再現されていない。普通の淡色ビールだ。

 麦芽100%で、アルコール度は5.5%。

 香りは確かに華やか。コクもそれなり。だが、売り文句の「世界各地の特長あるタイプ」とまではいかない。普通においしいラガービールというところか。

 日本の缶販売のビールは結局何を作っても、皆が飲みなれたこのタイプの味に落ち着いてしまうのだな。

 

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