規矩術

 規矩術の本はたくさん出ています。広小舞の留め切り、タルキの上端留めなど大工仕事をしていく上でとても重要な事

であることは間違いありませんが、覚えるとなると数限りなくあり、面倒なことは間違いありません。でも、何故こうなる

のか、一つ一つ解いていくと、それはそれで楽しくもあります。大工の墨付けが見えてくるようようでもあります。私は、

大工として、規矩術考え、応用のきく大工になるための考え方を多くの若い人に身に付けていただけたらと思います。私は、

ただの田舎の大工なので、間違いはあるものとして、正しいのか確かめて利用して頂きたいと思います。

 ここで、勾殳
玄を使っていきたいと思いますので決まりは覚えていただくことになります。


上のような呼び名になりますので、一応頭の片隅に入れておいて下さい。

 ここで、約束のようなことが、ありますので覚えて下さい。
規矩術でいう勾配などは、材料にさしがねを当てて使う場合のことで、

傾けて使ったりした場合ではありませんので注意して下さい。

 ここで、屋根の鼻隠しの墨付けを考えてみましょう。



                        (A図)                                (B図

多くの本では、A図のように、鼻隠の上端は、殳、玄の殳が切り墨ということになりますが、何故、そのようになるのか考えてみよう。

当たり前ですが、上から見たときは45度です。でも、鼻隠は、勾配になっていますので、玄の長さで上から見たときに殳の長さに

なるので、殳と玄の殳で切ることになります。上図は、わかりにくいと思いますが、何を言わんとしているかを読みとって

いただけたらと思います。A図、B図が相似になることが解れば、本に書いてあることが理解できると思います。また、長玄で

切ると言うのも、玄対殳=殳対長玄であることが解れば、同じことだということが解ると思います。

 向留も、同じ考え方ができます。水平方向から見れば5寸勾配ということになりますが、実際には、5寸勾配の返し勾配に転んで

いますので、やはり、殳ではなく、玄の長さになり、玄と勾で切ることになり、玄対勾=殳対中勾となり、本によって、親方に

よって言い方は違いますが、同じことになることが解ると思います。私も、延がねで教わりました。

 ここで、理解していただきたいことがあります。規矩術は解らなくても墨付けはできるということです。原寸の起こし方が解れば

それで、いいということなのです。規矩術は、数学の定理みたいなものとかんがえて、差し支えないと思います。覚えていれば

便利で早く墨付けができるというだけなのです。これから、このようなばかばかしいと思われることをやっていきたいと思っています。

それが、必ず役立つはずですので興味のある方はお付き合い下さい。

 

   

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