NFL Sports Book - 稲妻NFLアーカイブ


無料のBlogだと突発事故で消えてしまっても文句が言えないので、稲妻NFLの主要記事のアーカイブをとりあえずここに残しておきます。

ポイントスプレッドの控除率

母屋のサイトの方はあまり初心者向きではないが、ここにはNFLそのものに興味があるけどスポーツブックで賭けた経験が全くないという人も来るかと思うので、折に触れ基本中の基本の部分の説明も書いていきたい。
ポイントスプレッドの場合、通常オッズは-110である。即ち的中したときの利益を$100とするためには、$110賭ける必要がある。これを日本人になじみの「○倍」(競馬でいうところのオッズ、英語なら○ for 1と表現する)という形のオッズに変換すると、$110賭けて、当たったときに$210 = $110 (元金)+$100(利益)が配当される訳であるから、$210÷$110=約1.91倍となる。
また、引き分けがないものとすると、全く予想能力のない人がどちらのチームが勝つかを当てる確率は1/2となるので、この人の資金回収率は1.91×1/2=0.955, 即ち95.5%となる。言い換えれば4.5%の控除率である。計算は非常に簡単であるが、4.5%が我々が乗り越えなければならない目標値となるので、1.91倍、95.5%と共に覚えておいて欲しい。

-3と-3.5の大いなる違い(その1)

開幕戦に関するNFL on G++の記事は、預言者のように「ドンピシャ」となって、タイムリーであった。(NEがINDに3点差をつけて勝った)。中々にセンセーショナルであった訳だが、冷めた言い方をすれば、「NFLのゲームではField Goal 1本分の3点差で終了するゲームが約10%ある。」の10%がたまたま起こったに過ぎない。(注:厳密性を要求するのであれば、「」内の表現を修正する必要があるが、理解しやすさのために、この言い方を暫く使うものとする。)
この10%という数字は過去のゲームの統計から出て来たものであるが、実際のゲームと同様の状況を設定したコンピュータによるゲームのシミュレーションを非常に多数行った結果も、同じく10%という数字となることが業界では知られており、かなり信頼性の高い数値である。
実はこの10%という数字が分かると、-3と-3.5の大いなる違いを数値で示すことが出来る。今NFLの神様がいて、Cチームに対する正しいポイントスプレッドが-3であることを知っているものとする。この場合、ハンデ込みでCチームが勝つ確率と負ける確率は等しい。即ち、4点差以上をつけて勝つ確率と、2点差までの勝ち、あるいは負けとなる確率は等しい。この試合がハンデ込みで引き分けになる確率が10%となることは上述のとおりであるので、Cチームがハンデ勝ちする確率は(100%-10%)/2=45%、ハンデ負けの確率も同様に45%である。
実際にCチームに対して -3のラインでBETした場合のpay out率を計算は簡単である。1単位のBETに対して、45%の確率で例の1.91の配当となり、また10%の確率で1の元返しとなるのであるから、
Pay out率=1.91*0.45+1*0.1=95.9%
となる。一方Cチームに対して-3.5のラインでBETした場合は4点差以上の勝ちとなる場合しか配当がつかないので
Pay out率=1.91*0.45=85.9%
となる。なんと-3の場合に比べ、10%もPau out率=期待値が下がってしまうのである。(あるいは -3.5のときには10%の確率で起こる3点勝ちのときの元返しがないので、期待値が1*10%=10%下がると考えても良い。)
逆に、神様が知るラインが-3.5だった場合は、Cチームが4点以上の差で勝つ確率と、3点以内の差で勝つか負ける確率は共に50%で引き分けはない。実際に-3.5のラインでBETした場合のpay out率は、ポイントスプレッドの控除率のコラムで計算したように、95.5%となる。一方このときもし-3のラインで賭けていれば、Cチーム3点差勝ちのときに、負け→引き分けとなるので、pay out率=95.5%+1*10%=105.5%となり100%の壁を突破する。
このように、-2.5と-3、-3と-3.5, +2.5と+3, +3と+3.5の間は、常に10%の期待値の「差」となる。3のラインに±0.5するだけでこれだけ大きな違いが生まれるのである。
「−3・5を買うな」とは、このラインには、ときとしてpay out率85.9%のような巨大な地雷が含まれているので十分警戒せよということである。少なくともラインムーブの傾向、複数のカジノのラインの点検などをした上でなければ手をだすべきではない。もちろん実際には、おいしい-3.5もあれば、おいしくない-3もあるので、ハンデキャッピングに自信がついてくれば-3.5で勝負することは当然である。
さて、この「10%」というマジックナンバーを知っているだけでオンラインスポーツブックを攻略することが可能である。具体論は「-3と-3.5の大いなる違い(その2)」にて触れる予定である。

Dog専業の予想屋

母屋のサイトにも書いたように「Homedogは宝の山」は予想のスタンスとして重要である。
 そのせいであろうか、Wunderdogのように、Dogに賭けることをポリシーとする予想屋もちらほらと存在する。Dogにのみ賭けるという制約を自らに課すと、それだけで苦しいと思うのだが、この予想屋、それなりの定評はあるようである。
 NFLの場合、Wunderdogに限らず、頼れる予想屋も多いので、これを利用して勝負するというのも戦術の一つとして考えてよい。但しその場合には、信頼出来る予想屋と贋物を見抜く力が必要になる。これについてもそのうち書いていければと思う。  

-3と-3.5の大いなる違い(その2):オンラインスポーツブックの基礎攻略法

 オンラインスポーツブックの攻略法といっても大した話ではない。オンラインであろうが、ホテルカジノのスポーツブックであろうがラインが揃っていることは稀で、普通は±0.5程度のバラつきがある。例えばChargers対Titansのゲームで、Chargersに対するラインが、カジノAでは-3.5、カジノBでは-3となっていることは毎週のように起こる話である。そんなときどうするか?
単純に、Aカジノで、Titansの +3.5をBETし、BカジノでChargersの-3を同額だけBETすれば良いのである。

このBETを行った場合の期待値を求めてみよう。今Chargersが4点差以上をつけて勝つ確率をxとすると、 Chargersが負けるか3点差以内の勝ちとなる確率は1-xとなる。従って
Titans +3.5の期待値=210/110*(1-x)
Chargers -3の期待値=210/110*x+1*0.1
となる。従って、両方の馬券を$110づつ買った場合の平均回収額は
110*{210/110*(1-x)}+110*{210/110*x+1*0.1}=$221
となる。$220の投資額を上回るので、期待値は100%を超える訳である。
 あるいはもっと単純に、Chargersが3点差で勝つ確率は10%であり、そのときの収益は$100、それ以外のことが起こる確率は90%でありそのときの損失は$10 (=$220-$210)であるから、平均損益は
$100*0.1-$10*0.9=$1
と計算しても良い。

 「これでは儲からないではないか!」と言われるかも知れないが、オンラインカジノの基本戦略は、「資金をぐるぐる回した上で、ハウスエッジで削られる額以上のボーナスをせしめること」であるから、ハウスエッジがない状態になっているというだけで十分過ぎるのである。また、見方を替えればこのBETは
・BET額:$10
・Chargersが3点差で勝つかどうかを当てる。
・ 当たったときの配当は 10 to 1 (11 for 1)
・BET金額は$220としてカウントする。
という形になっている。即ち、たった$10のリスクでアクション(総賭け金)を22倍にもふくらますことが出来るのである。また、この$10のBETの期待値は110%にもなっている。但し、3点差勝ちの確率が10%という数字自体は今後のルール変更や戦術のトレンド変更で変化していく可能性もある。例えば、安全に見積もって8%程度だとすると期待値は88%に低下してしまうので、BETそのもので儲けることはあまり意識する必要はない。1にも2にも、ほとんどリスクなく大きな金額を回転出来るということが攻略の肝なのである。
この「両張り」を行う2つのスポーツブックは、基本的に無関係な2箇所となることにも注目して欲しい。(系列のスポーツブックであればラインも同一であることが通例である)、従って、ボーナス狙いのBETであると警戒されることもない。ラスベガスに宿泊中であれば、ホテルのスポーツブックとオンラインスポーツブックの間でこのような両張りを行っても良い。
通常のオンラインカジノのゲームでも、同じバカラテーブルの同じゲームでバンカーとプレーヤーに同時に張ることが出来れば、安定してボーナスをせしめることが出来るのであるが、実際にはルール上このような賭け方はほぼ出来ない構造になっている。スポーツブックの場合には、Aカジノで賭けようがBカジノで賭けようが試合の結果は同一なのであり、だからこそ両張りが非常に強力な武器となるのである。(注:昨今のオンラインゲームでは、バカラやクラップス等はボーナス対象ゲームから除外されている場合がほとんどである。)

 なお、ある程度慣れてきてxの値が分かる場合、即ちTitans +3.5とChargers -3のどちらがおいしいかの値踏みが出来るのであれば、わざわざ両張りする必要は全くない。一方、上級者であっても、xの値が不明な場合、あるいは十分なマージンがあるほどおいしくないと判断されるゲームも多い。そのような場合でも、「必ず」このような両張りをしてアクションを伸ばしておくことはボーナスの早期獲得のための基本となる手段である。
 実際には十分な数のスポーツブックに加入しないと-3と+3.5の両方が存在する状況を作りだすことは難しいので、個々のカジノでのアクションに凸凹が生じることは避けられない。従って、ボーナス条件をクリア出来るだけのアクションをこなすためには長期戦となることもあることには注意が必要である。

トリビアになるが、上の例題でChargers -3とTitans +3.5の期待値が同一となるのはx=199/420=0.4738のときであり、このときの期待値は221/220=1.0045>1となる。
X=199/420以外のときはChargers -3とTitans +3.5のうち、どちらかの期待値が1.0045より大きくなり必ず1を超える。言い換えれば、必ず当たりが隠れているのである!
2.5と3のラインが出ている場合も同様である。なお、だからと言って、-3か+3.5のラインが出ていれば必ずどちらかで勝負するという風に考える必要性はない。あくまで十分おいしいかどうかは個別に判断すべきである。

なお、スポーツブックによっては、-3と-3.5の大きすぎるギャップを埋めるために -3 -120、即ち 4点差以上の勝ちで当たりとなるが、その配当が100 to 120と通常より悪くなるような微調整をする場合も多い。このような微調整ラインを出す可能性はオンラインスポーツブックの方が大きいが、ラスベガスのカジノでもこのような微調整ラインを出してくる場合もある。オンラインカジノでは微調整ラインがかなり流行りだしてきており、単純な両張り戦略は使えなくなりつつある。もし両張り戦略をやるのであれば急ぐに越したことはない。(なお、日本国からオンラインスポーツブックに投票することを推奨する訳ではない。)

Week 2の反省

Week 2は予想を公開してみたのだが、見事に不調であった。もし私の予想に乗って大損した人がいるとすれば申し訳なかった。
SD +3.5以外のBETでMIA +5.5とMNFのPHI -3に乗ってくれた人がいればプラスになったかも知れないが、現地で張った人はどうだったのだろう。大漁旗を掲げられるような人がいれば、NFLフリークになってくれたかも知れないが、いまひとつだったので、あまりにマイナーな「日本におけるNFLスポーツブックの普及」に役立たなかったと思われ残念である。

そんな中、MNFは純粋なNFL観戦としてもmobility QB対決、WR対決と見所十分であったし試合内容も濃かったと思う。その一方、QBやWRに比べて地味なポジションであるがラインの練度がPSに与える影響も大きいことを理解する「教科書的な」試合となったことも有意義であった。先発Tの負傷で交代出場となったMINの72番Haayerのことである。Dをおさえきれずにholdingしたり、呼吸が合わずfalse startを取られたりしたがこれらの反則がMINの攻撃に与えた影響は大きかった。
良く「QB,RB,WRの目立つポジションのプレーヤーの欠場はラインを「過大に」動かす。ラインマンの欠場は見過ごされがちである」と言われる。

実はこの仮説は恐らく統計的にも確かだと言われている。(どのポジションがラインに与える影響が大きいかを分析する人はたまにあらわれるのだが、いろいろ仮説をおかないと分析不可能であるので、結論はどうしてもぼけてしまう。しかしながらおおよその傾向としてこの仮説が成り立つ)。

最初のうちはどうしてもQBの優劣に目が行きがちであるが、「賭ける」視点からはどのポジションもの強弱についても丁寧に観察することが必要である。数年前のプレーオフで、NYGがLong Snapper, Holder, Kickerの人材不足に最後まで悩まされて崩壊したのは記憶に新しい所である。最も地味なポジションであるSnapper=Centerの優劣がもっとも試合結果に与える影響が大きいと主張している熟練者もいるくらいなのである。  

3と-3.5の大いなる違い(その3):微調整ライン

Week 2に良い題材があったので微調整ラインについて書いておく。MNF(マンデーナイトフットボール)のMinesota@Philadelphia (MIN@PHI)。PHI -3.5というラインでオープンした訳だが、徐々にMINの人気となり、日本時間木曜の段階で -3 -120になっていた。その後更にラインが動いて、最終的にはPHI -3というラインも散見される状態となった。私や賢者さんは、-3 -120が容易に買えるとの判断の元で、”PHI -3.5ではなくPHI -3 -120を買え”というアドバイスをした訳である。また、金曜以降後ラインムーブを良く点検していればPHI -3を買うことも可能であったと思う。この試合、結果論としてはPHI -3.5、PHI -3、PHI -3 -120の全てが的中であったので、実はPHI -3 -120に賭けた人だけが配当が少なくなって相対的には損をした。しかしながら、期待値を考えるとPHI -3 -120の方が、PHI -3.5よりはるかに大きいのである。 -3と-3.5の大いなる違い(その1)の例題を用いて期待値を計算してみよう。
まずNFLの神様が、正しいポイントスプレッドが-3であることを知っている場合であるが、(その1)に書いたように、期待値はPHI -3なら95.9%, PHI -3.5なら85.9%である。
PHI -3 -120の場合、的中した場合の競馬方式の倍率は(100+120)/120=1.833倍。よって PHI -3 -110の場合の計算と同様にして、期待値は
1.83*0.45+1*0.1=0.925
即ち期待値は92.5%となる。
全く同様にして他の微調整ラインの場合も書いておくと
[正しいPSが-3である場合の期待値]
ライン   期待値
-3 -110  95.9%
-3 -120  92.5%
-3 -130  89.6%
(-3 -140  87.1%)*
-3.5 -110  85.9%
となる。( *PS微調整で-140のラインをつけるカジノは現実にはみかけない)
次に、神様の知る正しいポイントスプレッドが-3.5である場合であるが、PHI -3 -120の場合その期待値は
1.833*0.5+1*0.1=1.0167
即ち期待値は101.7%となる。先ほどと同様に他の微調整ラインの場合も計算しておくと
[正しいPSが-3.5である場合の期待値]
ライン   期待値
-3 -110  105.5%
-3 -120  101.7%
-3 -130  98.5%
(-3 -140  95.7%)*
-3.5 -110  95.5%
となる。
いずれの場合でも -3 -120は-3と-3.5の間の期待値になる。しかもかなり-3の場合にに近い期待値になっていることに注目されたい。-3 -120は中途半端な感じがするかも知れないが、それでも-3.5で賭けることに比べればはるかに大きな前進なのである。だから(PHI -3ではなく)、PHI -3 -120にしか賭けられなかったとしてもそれほど嘆く必要はない。
 なお、一方のチームが -3 -120なら他方のチームは +3 +100となるが、+3.5と+3 +100の期待値の差についても同様の計算を行うことが出来る。難しくないので各自で行ってみて欲しい。期待値の概算を暗算で行う場合には
・-2.5と-3、-3と-3.5, +2.5と+3, +3と+3.5の間は、常に10%の期待値の「差」となる。
・微調整ラインが+110⇔+100⇔-110⇔-120⇔-130と10変動する毎に凡そ3.5%の期待値の「差」となる。
を覚えておくと良いであろう。複数のカジノのラインからもっともおいしいものを選ぶ際に役立つ。
 ここではポイントスプレッドの微調整ラインの期待値の損得について扱ったが、その延長として「マネーラインとポイントスプレッドはどちらがおいしいのか?」という疑問も出てくると思う。これについては、日を改めて書く予定である。

+1.5と-1.5のたいしたことない違い

Week 2にはもう一つ典型的なラインムーブがあったので、忘れないうちに書いておく。
Indianapolis@Tennessee (IND@TEN)である。この試合、TENの-1.5がオープニングラインであったが、Indyの方にどっと人気が偏り、ハンデなしのガチンコを飛び越えて最終的にはTEN +1.5 (IND -1.5)程度まで行った。即ち、underdogとfavoriteが入れ替わってラインの±も入れ替わった訳である。TENファンのGさんなどは、この動きを見てTENに何かあったのではと心配していたようである。

 +1.5 → - -1.5まで3点もラインが動いたのは、確かに「一見」衝撃的ではあるが、NFLの場合引き分けとなることはまずない。1点差となるのはFG+FG vs TDのケースであり、両チームのFG数の差が2本ないといけない。これもあまり出てこないケースである。従って、TEN +1.5も-1.5もあまり大きな相違とはならないことが定性的にも理解出来ると思う。実は統計的にはTEN +1.5とTEN -1.5の期待値の差は7.5%程度しかないのである。これを踏まえておいしくない馬券を買った下記の二つのミスを比較考えてみよう。

1. SD -3.5を買ったが、後で買えばSD -3だったので「しまった〜」
2. TEN -1.5を買ったが、後で買えばTEN +1.5だったので「しまった〜」

1.は期待値10%の損であるのに対し、2.は7.5%の損であるから、1.の方がより「しまった〜」となるのである。-3と-3.5の差が如何に大きいかということである。なお、+1.5と-1.5の差がたいしたことないと書いたのはちょっとした誇張であり+1.5の方が十分おいしい。従って、この辺りのラインムーブにも注意する必要がある。ただ、1点差の試合や引き分けの試合となる可能性が低いということは、+1.5〜-1.5付近のラインは結構頻繁に代わり易いということでもあるので、ベストなラインをつかまるのは難しい場合も多い。但しベストなラインを捕まえられなくても、期待値的にはそれほど痛手ではないということでもある。

 上記を頭に入れて、+3付近のラインムーブの仕方と+1〜-1付近のラインムーブの仕方の相違に気をつけて、ラインを眺めて見るのと、またいろいろなものが見えてくるはずである。

損失補填プロモーション

カジノのプロモーションとして、ときおり損失補填型のものを見かける。数年前ラスベガスのハラスでは、「スロットクラブ入会後、マシンゲームのプレーでの最初の1時間の損失を$100まで返金します」というプロモーションを行っていた。昨年もどこか中堅クラスのカジノで同様のプロモーションを行っていたと思う。この手のプロモーションを有効利用するには、リスクの高いゲームを少しの時間行うことになる。しかしながら、リスクの高いゲームを行う訳であるから実際に利益を得ることの出来る「確率」は小さい。私自身もハラスのプロモーションに挑戦して、損失補填の世話になって帰ってきた(実損は0であるが)。
 オンラインスポーツブックでも、同種のプロモーションが出て来た。例えばCyberSportsBook。入金後24時間以内の損失を$50まで補填してくれるそうだ。このプロモから出来るだけ「確実に」かつ「大きい」利益を得るにはどうすれば良いであろうか?
 まず大きな平均利益を得るだけであるならば、カジノの同種のプロモ攻略と同様に、当たる確率の低い穴馬券に$50を賭けることが最善手となる。NFLのスポーツブックを例に取り、考えてみよう。あるチームが勝つ確率をp, pay out率をaとしよう。この馬券、もしテラ銭が無ければこのマネーラインベットの(競馬方式での)オッズは1/pとなる。従って、pay out率がaの場合(控除率が1-aの場合)はオッズはa/pである。従って$50賭けた場合の平均収益は
p*($50*a/p-$50)=$50*(a-p)
となる。(損失補填があるので、不的中の場合の損失はないことに注意。)pが小さい程、最大収益$50*aに近づく訳である。しかしながら、収益が得られる確率はpであるから、わずかの収益の向上のためにp=0.01のような、超穴馬券を買っても平均利益の向上はほんの僅かである一方、実際に利益が得られる確率はわずか1%であり「確実な」利益とはならない。

では「確実な利益」とするためにはどうするか?-3と-3.5の大いなる違い(その2)を読まれた方はお気づきであろうが、「別のスポーツブックで逆目を張ってヘッジを行う」のである。
 例として、San Diego vs Denverが両者とも勝つ確率1/2で簡単のため控除率がない場合の張り方を考える。この場合、どちらが勝とうがオッズは2倍(マネーラインは +100)である。試合結果に関わらず全く同じ利益とするためには、San Diegoに$50を損失補填を行っているCyberSportsBookで賭け、逆目のDenverを$25、別のスポーツブックで賭ければ良い。
 もしSan Diegoが勝てば、別のスポーツブックで賭けた$25は無駄になるが、Cyberの方で$50の儲けとなるので差し引き$25の儲け。一方Denverが勝てば、San Diegoは負けだがCyberの損失補填が利いてこれによる損失は$0。別のスポーツブックでDenverに賭けた$25分が丸々儲けとなる。
今の例では利益は$25だが、これは当然多ければ多いほどうれしい。そこで当然、「どちらが勝っても同額の利益となるように張るものとする。その利益を最大とするためにはどういう張り方をすればよいか?」という疑問が出てくるであろう。先に述べたように、Cyberの方での収益を大きくするためにはpの小さい馬券を買えば良いのだが、その場合ヘッジベットする金額が大きくなるので、テラ銭が増大しこれが利益を圧迫する。最適な張り方はPay out率にもよるが、標準的にa=95.5%とした場合, p=0.21のときに最大収益$30.6となる。(計算はそれほど難しくないので各自確かめられたい)。もちろん、現実にはp=0.21となるようなマネーラインがうまく転がっている場合ばかりとは限らないが、p=0.15〜p=0.3の範囲、マネーライン換算で約+220〜+530程度のunderdogであれば、収益は僅かに減るもののそれでも$29以上と十分である。従って、現実的な張り方としては
・+220〜+530程度のundereogのマネーラインをCyberで$50張る。(この範囲であれば毎週一つはあるであろう)、
・ 逆目を、「当たったときの利益が約$30となるような金額分」別の場所で買う。
ことが損失補填プロモのベストな活用法となる。
 なお、結果としてCyberSportsBookで賭けた馬券の方が的中した場合、損失補填$50の権利がまだ残っているので、この権利を「再利用」出来る。具体的には
1.1回目でCyberSportsBookが不的中、別のSpotsBookが的中(損失補填の権利はここで行使)
・1回目でCyberSports的中→2回目に全額をもう一度Cyberに投入。2回目のベットでも、別のスポーツブックでヘッジベットを行う。
2.2回目もCyberが的中
3・2回目は別のスポーツブックが的中

を行う。安定した収益、即ち1.2.3.の3つの場合の利益が全て同一となるように馬券と投資金額を選んだ場合、結果のみ記すとpay out率95.5%の場合、利益の最大値は$32.9となる。1回しか賭けない場合に比べ少し収益を改善出来るが、2回連続$50を全額、1点だけ賭けるのは露骨なサビ抜きと見られるリスクもあるし、オッズ、ベット金額の計算が若干複雑になり、うまい具合に金額を調整しにくいという面倒もあるのであまり現実的ではない。但し、ノーリスクで、1回しか賭けない場合に比べ大きな金額を賭けることが出来るのでボーナスのノルマをこなしたい場合にはこの賭け方も考えて良いであろう。

 このように、「あるベットと全く逆方向のベットを別の場所で張ることが出来る」というスポーツブックの特性はいろいろなカジノのボーナスやプロモーションを効率よくごちそうになるにあたって様々に活用される。また、今回の例でもそうであるが、独立したスポーツブックで逆方向ベットを行うことになるので、スポーツブックの側からは「確実にサービスを抜きに来ている不届き者?」とは気づかれにくいことも利点である。新規のプロモやボーナスが出現した場合も、まず「逆張りでなんとかならないか?」と考えてみることは非常に大切である。
(注:Cybersportsbookはあくまで例として出したものであり、このブッキーの信頼性については保証の限りではない)

ラインムーブを読むための参考サイト

ラインムーブを読み切ることの重要性は今まで見てきた通りであるが、その参考になるサイトを紹介しておく。
Sportsbook.com
ここはオンラインスポーツブックの中で珍しく、各試合のPS(side)やTotalの投票率を公開している。但しその信憑性とリアルタイム性は保障の限りではない。
Wagerline
"Consensus"をクリックするとPS (side)とTotalの投票率が分かる。但し、このサイトは架空のマネーを賭けるお遊びサイトであるので、あくまでそういうことを楽しむ「大衆」の考えを反映したものであることに注意。

 例のNFL投票コンテストで使っているヤフーUSAのサイトでは、その週の動向は見れないが、その週の終了後に投票動向が公開されるのでこれも参考になる。

これらのConsensusとVegasinsiderのLVのカジノのラインムーブの時系列記録(スポーツブックのカレントラインをクリックすると時系列記録が現れる優れもの)を比較して眺めるのは、なかなかに興味深い。
  

3と-3.5の大いなる違い(その4):マネーラインから推定する3点差勝ちの確率

PSが-3のときのマネーラインはfavoriteが-155、dogが+135であることが多い。また、PSが-3.5のときマネーラインがfavoriteが-175、dogが+155となっているものも良く見かける。これらを利用して、「favoriteが丁度3点差で勝つ確率」についてスポーツブックの側がどう考えているか見てみよう。
 「マネーラインの控除率」のコラムの計算方法に従うと、テラなしMLはPSが3のときには143となる。従って、 underdogの競馬方式での倍率は(100+143)/100=2.43倍。テラなしであるから、この逆数の1/2.43=41.15%が、bookieが想定しているunderdogの勝率である。同様に、PSが3.5のときにはMLが162となり、これをunderdogの勝率に換算すると、38.17%となる。
今PSが3.5のときunderdogが2点差以内で負ける確率をa、丁度3点差で負ける確率をbとする。PSが3.5であるということは「underdogが勝つか3点差以内で負ける確率」が丁度50%であるということを主張しているのであるから、
0.3817+a+b=0.5 (1)
が成り立つ。

 次にPSが3の場合を考える。PSが3であっても3.5であっても「似たような優劣関係のゲーム」となるので、underdogが2点差以内で負ける確率、丁度3点差で負ける確率は、PSが3.5のときとほぼ同じと考えて良いであろう。(逆に、カレッジのゲームでたまにみられるように、PSが28などとなっていればunderdogが2点差以内で「惜敗する」確率はPSが3の場合よりもかなり小さいと考えられる。)PSが3であるということは「underdogが勝つか2点差以内で負ける確率と、underdogが4点差以上の点差で負ける確率」が等しいということを主張している。underdogが丁度3点差で負ける確率はbであるので、「underdogが勝つか2点差以内で負ける確率」は(1-b)/2となる。従って
 0.4115+a=(1-b)/2 (2)
となる。(1)と(2)から
b=(0.4115-0.3817)*2=0.0596 (=5.96%)
となる。同様の計算を行えば、dogが丁度ある点差で負ける確率がどのようにマネーラインに織り込まれているかを全て計算することが出来る。

 Underdogが丁度3点差で負ける確率が5.96%(約6%)というのは、統計的に知られている10%に比べてかなり小さい。ということはこのようなマネーラインのつけ方にどこか歪みがあるということである。Underdogが3点差負けとなる確率が10%となるためには、PSが3のときと3.5のときのラインの差が30程度となる必要がある。言い換えれば、少なくともPSが3や3.5の場合には、PSとMLの期待値は同一ではなく、どちらかがおいしくどちらかがまずい状況となっているということを意味している。ここをセキュリティホールとして突けばハンデキャッピングに頼らずとも2%程度の回収率の向上が可能である。このためにはマネーラインとポイントスプレッドのオッズの優劣を横断的に比較する必要が出てくるが、そこまでもう一歩である。またいずれ。

ポイントスプレッドとマネーラインの比較(その1)

-3と-3.5の大いなる違い(その4)で予告したように、今までの説明を少し進めていけばポイントスプレッド(PS)とマネーライン(ML)の有利不利を比較することが出来る。読者の皆様(実は0名という噂もあるが(笑))にも考えて欲しいのでいきなり問題を出す。

【問題】PSが +3 -110のときMLは+135であることが通例である。どちらに賭けることが有利か?
(必要な知識)
dogとfavoriteの実力差がそれほどないPS 3.5程度までの範囲においては、統計的にfavoriteが1点差で勝つ確率は2%,2点差で勝つ確率は2%, 3点差で勝つ確率は10%であることが知られている。

答えは1週間後位に掲載する予定。

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