ピッツバーグ大学のCurranらはフルオラスシリカゲルを充填したカラムを用いたHPLCでパーフルオロアルキル基を有する化合物を分離するとそのパーフルオロアルキル基の長さの短い方から順番に規則正しく流出し、分離できることを示しました。この分離特性はパーフルオロアルキル基以外の部分の構造が多少違っても維持されます。したがって、パーフルオロアルキル基の長さの異なるフルオラス化合物の混合物をそれぞれの化合物に分離できることになります。また、その溶出順からどの長さのパーフルオロアルキル基が付いている化合物かを予測することもできます。
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このような分離特性をうまく利用した合成法がフルオラスミックチャー合成法です。その概念図を下に示します。基質にそれぞれパーフルオロアルキル鎖長の異なるフルオラスタグを付与(タグ;Tag)します。これらを等モル量ずつ混合(ミックス;Mix)します。混合物で合成段階を行っていきます(当然ですが液相反応で行います)。目的の骨格が構築できたら、先のフルオラスHPLCでタグのパーフルオロアルキル基の長さにしたがって分離します(デミックス;Demix)。最後にフルオラスタグを除去(デタグ;Detag)すると一連の反応で一挙に複数の類似体を合成することができます。
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フルオラスミックチャー合成法は、液相のコンビナトリアル合成の一手法で、天然物のライブラリー合成に有効です。
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