電 気 伝 導 度 ( E C ) と 施 肥   

<翻訳>

T.電気伝導度(Electric conductivity)

  電気抵抗率(オーム)Ωの逆数(ムーオ)の記号(Ω)を逆さにして『 』と書く。
  1cuの2極の銅版を1p離して2極に直流電圧を通じると、その間に電気の良導体があれば電流は良く流れ、 不良導体があれば電流は
  流れにくなる。

  純粋の水は不良導体であるが、 この中に肥料や有機物(種々の有機酸や肥料成分が含有されているとその含有量によって電流の流れ
  る量は多くなる。


U.ECの測定方法

  使用機器 : 電導度計にて測定。

  乾土10g+純粋50ml → 60分間振とう(30〜40回/分)
  (  1   :   5  )
  上澄液ではなく、けん濁液で測定する。
  EC値は(1:5値)×2≒1:2値となる。


V.1:5値の生育限界点

  西瓜、キウリ EC  2.8
  トマト      〃  3.5
  インゲン    〃  2.2 といわれている。


W.EC値と肥料含有量との相関性の検討

  第1表は奈良県のいちごの連作土壌である。ここではECを基準に追肥が行われている。 第1表、第2表ともにECの高い土壌から順に記
  してあるが、○内の数字は同一項目中の含有量の多いものを@として、以下A・B・・・と順位を附してある。 第1表での土壌は5点を比較
  し、第2表には、更に他地区の分析例を27点列記した。果たして、ECの高い順に、 土壌の肥料含有量は比例してると言えるものなのか?

  この表の結果を見る限り、EC値と肥料含有量との相関性は全くないと言える。

    第1表 (いちご連作土壌)                         分析者:ナガサト産業K.K分析室 (分析日:S.54. 9. 6)
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
氏名
酸度
(PH)
アンモニア
(NH−N)
硝酸
(NO−N)
全リン酸
(P
加里
(KO)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
EC
4.92
A 5.22
A 4.54
C297.86
C32.46
D293.23
D40.32
1.02
0.73
6.34
B 3.90
@12.81
D202.12
D24.72
@378.81
A44.35
0.52
0.69
6.69
C 3.75
B 4.14
A498.80
A53.07
A378.81
B42.34
0.37
0.25
6.89
@11.18
D 1.27
@543.72
@65.73
C317.08
@52.42
1.57
0.18
6.79
D 3.60
C 1.47
B439.70
B34.12
B319.88
C41.33
0.42
0.17
標準
6.0〜6.2
2〜3
30
50
50
320
30
2.7
  


   第2表 (ECと肥料濃度の比較)                                        分析者:ナガサト産業K.K分析室 
単位mg/乾土100g(≒Kg/10a)
分析日
酸度
(PH)
アンモニア
(NH−N)
硝酸
(NO−N)
全リン酸
(P5)
加里
(KO)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
EC
作物
S.53.12.04
7.24
  3.01
  51.07
  59.10
  54.66
C735.17
  89.71
  0.01
2.70
カーネ
S.53.11.01
4.52
  2.35
@125.41
 127.07
  46.88
  510.69
  92.74
  0.26
2.62
S.55.05.09
3.48
  5.88
   2.67
  88.65
  12.61
  357.77
  75.60
@ 8.63
2.20
不明
S.53.06.26
4.84
  4.47
A 98.73
B431.43
D 97.30
  471.11
  42.34
  0.18
2.15
キウリ
S.53.07.25
4.70
A25.05
  45.36
 150.70
B106.98
  426.51
  70.56
  0.16
2.02
パセリ
S.54.03.23
6.08
  5.00
C 68.04
@531.90
  98.27
D624.34
@225.79
  0.36
2.00
トマト
S.53.10.17
6.13
  1.62
B 68.71
C378.24
@301.79
  516.30
A194.54
  0.18
1.90
不明
S.53.12.04
5.55
D12.50
  39.36
 332.14
 98.26
A768.84
  87.70
  0.13
1.90
カーネ
S.53.07.17
6.21
@57.35
  40.02
  13.00
 91.49
B757.62
  88.70
  0.07
1.88
不明
S.54.04.26
5.89
  7.21
  58.04
D364.60
A107.95
 405.47
 100.80
D 0.58
1.79
カーネ
S.53.05.18
6.42
  5.15
D 62.04
 267.13
 74.60
@838.99
  82.66
  0.39
1.70
不明
S.53.09.08
5.78
  1.47
  38.02
 254.13
 28.82
 467.20
  81.05
  0.14
1.58
不明
S.53.08.11
5.76
  1.32
  45.36
 319.14
 71.44
 521.92
B173.38
  0.14
1.52
不明
S.53.04.27
5.79
  3.16
  28.02
 171.39
 83.26
 279.48
D112.49
  0.30
1.41
キウリ
S.53.09.08
6.21
  1.18
  25.35
 214.53
 33.15
 507.89
  64.51
  0.14
1.40
不明
S.53.12.04
5.49
  1.47
  21.01
  44.33
 20.18
 301.05
  42.34
   0.07
1.31
カーネ
S.53.12.04
4.89
  1.62
   7.67
  76.83
 18.91
 448.96
  41.33
  0.29
1.30
カーネ
S.54.04.26
5.99
  5.88
  41.36
B455.07
C106.98
 376.00
 104.82
C 0.68
1.30
カーネ
S.54.06.02
4.37
C17.79
  32.55
 117.02
 51.38
 426.51
C130.03
A 7.34
1.30
ナス
S.53.09.08
6.01
  1.03
  32.02
 227.54
 18.91
 422.30
  69.55
  0.06
1.30
不明
S.53.08.11
4.07
  1.99
  42.69
 189.12
 49.27
 376.00
 104.83
  0.22
1.30
不明
S.53.07.28
5.55
  5.66
  30.35
 103.43
 62.57
 291.82
 103.82
  0.22
1.28
キウリ
S.53.07.12
4.22
B18.38
  28.69
  96.33
 74.60
 263.70
  58.46
  0.35
1.27
不明
S.55.04.11
6.66
  7.79
  21.01
 277.77
 67.21
 373.20
  66.53
  0.36
1.25
キウリ
S.55.06.03
4.64
  9.56
  7.34
  76.83
 42.53
 429.32
  62.50
B 1.58
1.22
ナス
S.53.05.26
4.53
  2.13
  40.16
 280.73
 65.10
 241.32
  41.33
  0.15
1.22
キウリ
S.54.10.30
6.40
  1.32
   0.33
痕跡
   9.31
   3.36
痕跡
  0.007
0.16
水質
標準土壌
6.0〜6.2
2〜3
30
50
50
320
30
2.7
  
  

(注) 1)53年以降55年5月末までの既分析土壌中ECの高いものから順に27点を対象とした。
    2)EC値の計測は、200回振とう/15分のけん濁液したサンプリング溶液を用いる。


X.何故ECと肥料含有量との相関性はないのか。

 有機物と伝導率

    第3表  堆肥材質
   
稲わら(%)
麦わら(%)
落 葉(%)
備       考
 @ 窒素
 A リン酸
 B 加里
 C 石灰
 D 苦土
 E ソーダ
 F 珪酸
 G マンガン
 H 硼素
 I 炭素
0.32
0.18
0.73
0.34
0.09
0.11
5.6
230ppm
1.5ppm
6.2
0.33
0.12
0.51
0.26
0.08
0.15
3.6
178ppm
1.1ppm
6.1
0.34
0.15
0.74
0.47
0.11
0.12
3.5
320ppm
3.1ppm
7.5
(1) E.F.G.H.Iはいずれも水に溶ける電気の
    導体となる。

(2) 他にもいろいろな元素が含有されている。

(3) 腐植酸類も電気の導体となる。

(4) 有機物を多量に施肥すれば、その量に比例して
    EC値は高くなる。

炭素率
19.4
18.5
21.4
  




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