また一つ、街の中心から、映画館の灯が消えていきます。
映画ファンの長い列が続き、館内は、満席の盛況でした。

      岡山松竹 さよなら興行 (2006.2.20〜24)

 「砂の器」は、松本清張、 原作の同名推理小説を映画化したものです。

 私にとっては、32年前に見た、忘れられない名画のひとつでもあり、もう一度是非
 見ておきたい映画でした。ですから、とても嬉しかった。

 四季折々の自然の風景を背景にして流れる、東京交響楽団の演奏。
 病を背負う父親は、逃げるように故郷から姿を消していきます。
 手を引く、幼い男の子の親子遍路の続くこのシーンは、哀れで、壮絶でした。

 制作後、すでに32年経過していますが、時代の流れに消える事のない、秀作の

 一つだと私は思います。

 幾多の困難から成人した主人公(和賀英良)は天才音楽家として成功します。彼
 の過去をしる恩人の出現で、自分の宿命を呪いながら、殺人という罪を犯してしま
 います。迷宮入りと思われたこの殺人事件を追う、二人の刑事の執拗な捜査が続
 きます。彼の生い立ちを知る中で、当時のこの病気に対す社会の無理解さが胸に
 迫ってきます。


封切  昭和49年10月19日   上映時間 2時間23分
原作・松本清張   監督・野村芳太郎   脚本・橋本忍、山田洋次
出演・丹波哲郎、森田健作、加藤剛、島田陽子、山口果林、佐分利信、緒形拳、渥美清



  シネマと私へ  美しき野獣