8月21日

いつもながら 私の旅は “この手にとまれ”で、 集まった人は 主人を含め10名

添乗員はなし、ビザ、航空券、宿、現地ガイドだけを旅行社に手配してもらっていた。

「ウラジオストックも カムチャッカも“安藤グループ”で空港に迎えに来ていますから・・・」

と旅行社の人に言われていた。

 

週に何便もないウラジオストック航空は新潟発15時40分、乗り継ぎは悪く 名古屋空港を7

時40分に全日空で出発した。

 

再集合の13時40分まで4時間をどう過ごそうか?と言いながら 新潟に着いた。

メンバーはまだ、全員が気心が知れているわけではなく

めいめいにシャトルバスやタクシーで 散っていった。

 

 主人と私は 一たん受け取ったスーツケースを宅急便の受付に 一時預かりをしようと持っていった。

受付の女性に「2,3時間 暇つぶしをしたいのですが どこかお勧めはありますか?」と尋ねると 

「一年前に クアハウス“ゆったり館”が出来まして 先日もお客様にお勧めしましたところ 大変喜ばれました。」

「そこ! そこを教えてください。」というわけで

決めかねていたSさんとTさんの男性組みを誘って 歩き出した。

タクシーに乗れば 10分もかからない所だが 時間がたっぷりある。

10時が開館時間と聞くと 4,50分かけて歩くと丁度よさそうだ。

 

 到着すると 掃き清められ打ち水をした玄関の大理石に 腰を下ろした。

身軽になっているとはいえ 汗だくになっていた。

周りの田んぼから 冷たい風が吹いて濡れたシャツに当たり 気持ちがよかった。

 

真新しいお風呂を満喫して ビールとごろ寝で時間をつぶし 帰りはタクシーで空港に戻った。

映画を観ていた人、レインボータワーに行った人など、時間の使い方は様々だった。

 

更に2時間のうんざりする時間が過ぎた。

新潟空港内

ウラジオストックと 北朝鮮は地図では目と鼻の先、

二日後には 万景峰号がやっと入国許可が出て 新潟港に入ることになっていたが、

空港には 故郷に帰る人、友人に会いに行く人達で一杯だった。

彼らの荷物は 大きなダンボールが山盛りで 他の空港とは 景色がかなり違っていた。

 

 初めてのウラジオストック航空に乗った。

白い機体の垂直翼には VAと青いマークがついていた。 機内に入ると 驚いたことに 

天井パネルの継ぎ目から エアコンの冷気が煙のように噴出していた。

窓際の座席に着くと 窓はひびが入っていて 主翼の様子はかなり老朽化しているように見えた。

「大丈夫? この飛行機・・・・」

なぜだか 座席のポケットに VAマークのウチワが入れてあった。

ウラジオストック航空

 

その疑問はすぐに解けた。

定刻をすでに過ぎていたが、 エアコンは切られていて 機内の温度はドンドン上がっていき 

殆ど満席の乗客は ウチワをバタバタと扇いだ。  

 

1時間30分のフライトで 現地時間19時30分{日本時間 17時30分}、

白樺のうっそうと茂るウラジオストック空港に到着。

 通関の手続きのとき、 シベリア鉄道の旅をしようとしている東京、町田の夫婦と話をした。

「こいつが “どうしてもバイカル湖に行きたい!”と言いましてね・・・」と

奥さんの方を見ながら ご主人が言った。

・・・バイカル湖・・・・歌の文句に出てきたっけ・・・・

 

「安藤グループ」のカードを掲げた若い女性とポーターはすぐに見つかった。

彼女の名前は エレーナ と言って 日本語を国立大学で6年間学んだそうだ。

流暢であった。

 

ウラジオストックの街までは約1時間、道路は広いが 舗装の程度はかなり悪い。

埃が立っているようにも見えないのに 喉がいがついた。 

中央の白線はゆらゆらと歪み、 単調な道の脇には 盛りを過ぎてしまった野の花々が 咲き残っていた。

 

マイクロバスの窓から差し込んだ夕日は オレンジ色を帯びた赤色で

 港町ウラジオストックの説明をするエレーナの顔を照らしていた。

ウラジオストックのガイド
エレーナさん

モンスーン気候で 夏むし暑く冬は非常に寒いと言っていた。

それでも、日本のうんざりする暑さからみれば その夜は 快適な気温であった。

 

 ウラジオストックの街には 市電が走り 帝政時代の名残のクラシックな建物があちらこちらに

見え、 現代的な総ガラスのビルディングと奇妙に同居していた。

 

 夕食は ウラジオストックホテル。 入り口にはカジノがあった。 

バイカル湖行きの夫婦は 確か、このホテルに泊まると言っていた。

ウラジオストック中央駅に程近いここは シベリア鉄道に乗るのに都合が良さそうだ。

 

ホテルの かなり広いレストランには 客は私たち10名だけ。

誰もいないステージには ミラーボールがクルクルと回っていた。

ビーツの赤いスープから始まって 黒パン、 たっぷりのサラダ、 ビーフストロガノフにポテトが付いたもの、  

 
締めくくりのデザートは げんなりするほどの エクレアだった。

 飲み物は 値段を聞かずに注文したが

グラスワインは6ドル、ビールは大ジョッキでも2ドル、ウオッカは1ドル、

要するに、輸入品は高いわけだ。

スープ
ビーフストラガノフ
こってりの エクレア

 

 ウラジオストックホテルから バスで5分ほどのところに 私たちの泊まる

ホテル ガヴァニ があった。 ガヴァニとは 港湾という意味だとか。

中国系の雰囲気のホテルで ビジネスホテルに近いランクだろうか。

まだまだ元気の余っている人達は カラオケに出かけていった。