そう言うとサンタさんはスタスタと歩き始め、僕らもそれに従うしかなかった。途中コンビニに寄ったその姿は「小太りのオッサン」以外の何者でもない。ずれたジャージを時々たくし上げる姿を見ていると、このまま取材を打ち切って帰りたくなってくる。だけど、このオッサン、いや失礼、サンタさんに興味を抱き始めたのも事実だ。
 それを見透かしたかのようにサンタさんが「ニヤリ」と笑って、ある古ぼけたビルを指さした。
 このあたりは最近いろんなショップが増えていて、雑誌でもよく紹介されている。
 事務所(?)は4階にあり8畳もないような部屋だった。家具は机だけでガランとしている。

---ここでは主に何をされているのですか?
 「まぁ、以前は商談とかに使ってたけどね。今は倉庫みたいなもんかな。それから、パートさんに商品包んでもろたりもしてるし・・・あとは屋上でトナカイに飯食わせたりしてるなぁ。

---あのー、ぶっちゃけ、サンタさんというより普通に商売とかされてるんですよね?
 「昔はやりやすかったけどね。今はもう高層ビルとかでごっつい高く飛ばなあかんからね。言うとくけど上の方ものごっつい寒いよ。ほんま、ものごっついよ。鼻一回とれてもたからね。ボロンて。」

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