今のカメラってとりあえず誰でも写真が撮れるようにできてますよね。写真の仕組みや技術的なことがわかってなくても、カメラが基本的な露出やピントを合わせてくれます。後は撮影者のセンス次第でいい写真(観る人の心に何かを感じさせる写真)になったり、ただ何かが写ってるだけの写真になったりします。自分の感性にまかせてシャッターを切るだけでいい写真を撮ってしまう、そういうセンスのある人っているんもんです。
僕が初めてU2を聴いた時に感じたのはそんなセンスの良さでした。特にギタリストのジ・エッジ。正直、そんなに技術的にすぐれてると思いませんでしたが、ディレイを活用した独自のサウンドや、曲の中ですごく効果的に響く音の使い方は、多くのギタリストの刺激になったに違いありません。その証拠にこのアルバム発表後、ジ・エッジの影響を受けたと思われるギタリストが次々現れたような記憶が…。当時なにかのインタビュー記事で読んだのですが、彼らはニューヨーク・パンクの影響を受けて音楽を始めたらしいです。というかそれ以前の音楽はぜんぜん知らないということでした。楽器を始めると同時にあの4人でバンドを作り、何の先入観もなく自分たちの感性にまかせてあの独自のサウンドを作り上げたのでしょう。
アイルランドの寒空(アイルランド行ったことないですけど)のような澄み切ったサウンドに、ボノの情熱的な熱いボーカル。彼ら自身が意識している意識していないに関係なく、DNAに刻み込まれたアイリッシュの血も、U2サウンドの独自さの一因をになっていると僕は感じました。そう考えるとやっぱり音楽って面白いですね。