ミュージシャンやバンドについて書くときは、その置かれた環境や主な拠点、それに時代背景も考慮にいれなければならないときがある。
スライ・ストーンことシルベスター・スチュワートが主な拠点に選んだのはサンフランシスコだった。当時、フラワー・ムーブメントがその地で隆盛を極め、ヒッピー文化の香り漂う自由な雰囲気だったようだ。そんなゆる〜い感じゆえに、当時はまだ珍しかった、白人黒人&男女混成バンドが成立したに違いない。スライの生まれ育ったテキサス州ではこうはいかなかっただろう。彼(彼ら)の思想のひとつ、人種の壁を取り払う、ということを自ら体現したのである。
それはアルバム「Stand!」からの先行シングル「Everyday People」で結実している。ポップチャート(白人)とR&Bチャート(黒人)の両方で1位を獲得したのだ。
俺が正しいこともあれば間違っていることもある
俺の信念は、俺の歌の中にある。
落ち込んでいる奴がうまくやってる奴を妬むこともある
黒い奴を受け入れない黄色い奴がいたり
赤いヤツを受け入れない黒い奴がいる
そして白い奴を認めない赤いヤツがいる
いろんな人間がいて、いろんな生き方がある
俺は、ごくごく平凡な人間さ
(「Everyday People」より一部抜粋)