Stand Sly & the Family Stone
Stand!
■ I am everyday people...
 ミュージシャンやバンドについて書くときは、その置かれた環境や主な拠点、それに時代背景も考慮にいれなければならないときがある。
 スライ・ストーンことシルベスター・スチュワートが主な拠点に選んだのはサンフランシスコだった。当時、フラワー・ムーブメントがその地で隆盛を極め、ヒッピー文化の香り漂う自由な雰囲気だったようだ。そんなゆる〜い感じゆえに、当時はまだ珍しかった、白人黒人&男女混成バンドが成立したに違いない。スライの生まれ育ったテキサス州ではこうはいかなかっただろう。彼(彼ら)の思想のひとつ、人種の壁を取り払う、ということを自ら体現したのである。
 それはアルバム「Stand!」からの先行シングル「Everyday People」で結実している。ポップチャート(白人)とR&Bチャート(黒人)の両方で1位を獲得したのだ。

  俺が正しいこともあれば間違っていることもある
  俺の信念は、俺の歌の中にある。
  落ち込んでいる奴がうまくやってる奴を妬むこともある
  黒い奴を受け入れない黄色い奴がいたり
  赤いヤツを受け入れない黒い奴がいる
  そして白い奴を認めない赤いヤツがいる
  いろんな人間がいて、いろんな生き方がある
  俺は、ごくごく平凡な人間さ
      (「Everyday People」より一部抜粋)

 1969年8月に彼らが出演したウッドストックでの好演もあってバンドは一気にスターダムにのし上がっていく。特に「I Want To Take You Higher」で観客に「Higher!!」を連呼させるスライのアジテーター(扇動者)ぶりは、これぞスライ!!!という真骨頂である。

 ひたすらラブ&ピースなウッドストック(ニューヨーク近郊)とは対照的に、ストーンズがその数ヶ月後におこなったオルタモントでのフリーコンサートでは黒人少年が刺殺されてしまう。それがサンフランシスコというのが何とも皮肉であり、同時にフラワー・ムーブメントの終焉をも意味していた。
 加えて、キング牧師の暗殺による公民権運動の停滞、ベトナム戦争の激化、黒人街のスラム化など、その環境や時代背景が大きく変化することとなる。スライ自身も様々なプレッシャーからか麻薬におぼれ、自分を見失っていくようになる。
 そんな中71年に出た名盤「暴動」は開放的で自由な「Stand!」とはうって変わって、重く暗いものになっている。これらのアルバムを時代背景に沿って聴いてみると、よりスライのことが理解できるのかも知れない。

 1月の終わりにスライからプレゼントが届く。スライのマスターテープを使ったトリビュート盤が「Sly & the Family Stone」名義でリリースされるのだ。
 Maroon 5が「Everyday People」をどう料理するか、今から楽しみだ。 (1号)
リリース 1969 暴動
おすすめ曲 I Want To Take You Higher
これも聴くべき!!
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