鈴木祥子 鈴木祥子
鈴木祥子
■鈴木祥子
ムダな音が一音もない。
ムダな言葉が一言もない。

「ジョンの魂」はもう10年以上聞いていない。それはあのアルバムが人間ジョンレノンと対峙せざるを得ないアルバムだからだ。生半可には聞けない、そんなアルバムは何枚もない。

川本真琴が「川本真琴」でデビューしたのとは対極的に鈴木祥子はデビュー17年を経て「鈴木祥子」へとたどりついた。前作は全ての楽器をこなし様々なストーリーテリングで愛のカタチを表現するアーティストとしての完成型だったが、ピアノと唄を軸にした本作にもはや仮想恋愛は存在しない。全曲が「鈴木祥子」そのもの。ドキュメンタリーも超越した正しく魂のアルバム。愛についてのたうち回る鈴木祥子にリスナーは必然的に自分との対峙を強いられる。

反省なんて別にしない、だって、してみても仕様が無い 『愛の名前』
あたし、誰を愛してたんだっけ ー? 忘れた 『忘却』

ガールズポップとかでグラビアを賑わせた「アーティスト」の殆どは消費されてどこかへ消えたが、歌うべき歌で自分の世界を築いて来た彼女は残るべくして残った。カーネーションのサポートや曲毎に変化するヴォーカリゼイションも相変らず素晴らしい。

それにしても音楽家として類いまれなる才能に恵まれた鈴木祥子がこうも不幸せな恋愛ばかり経験するものなのか。
いや、おそらく彼女はどんな理想の男性といても同じ悩みを巡らせるのだろう。かといって希望を放棄している訳でもない。ただ愛という価値観なしでは「生きられない」ことがこれまでより明確に提示されているように思う。セックスへの渇望も死んだお姉ちゃんも一個人の中では愛の名の下に同義である。
そして望もうと望まざると自分の本質=性には坑がえない。「鈴木祥子」の唄はその事実のみをまっすぐに伝えている。

さんざん葛藤し「愛しているなら、わたしをひとりにしないで」と歌った後で彼女は最後に
「ここからは、もうだいじょうぶ、ひとりで行くよ、さよなら」と締めくくる。
彼女は「鈴木祥子」へと回帰したのだろうか。俺には何が何だかさっぱり解らない。
それは不快な感情ではない。

                (フジモト)
リリース 2006 Love,painful love
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鈴木祥子 / Love,painful love
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