飼育方法(ミドリフグ編) 「ミドリフグとは?&心の準備」
ミドリフグを迎えるにあたっての準備を手順を追って説明します。なお、ミドリフグ編の中には、金魚編と重複する部分もありますが、ご了承ください。また、金魚編も併せて御覧いただくと、理解が深まると思います。


★ミドリフグとは★

 ミドリフグは、主に東南アジアの汽水域に生息する、小型のフグです。水質は弱アルカリ性、水温は25〜26℃あたりを最も好むようですが、水温や水質が急激に変動さえしなければ、多少外れてても生きるようです。
なお、余談ですが、ミドリフグといわれているものにも何種類かあって、一般的にショップで売られているのは、薄い黄緑色の背中に白いお腹、背中から吻までの間に、丸くて黒い小さい斑点がくっきりとちりばめられています。管理人の家に居るミドリフグは、よく調べてみると、これとはちょっと違う、サヴァヘンシスという種類のようです。ミドリフグと非常によく似ているのですが、斑点がまん丸くなくて不定形で、ハッキリしていないという特徴があります。まだハッキリとはわかりませんが、成長するとサヴァヘンシスのほうは各ヒレが橙色が強くなるようなのでわかるそうです。生態や飼育方法はミドリフグに準じて行えばよいそうです。このほかにもインドミドリフグやクレタムパファーという種類があるそうです。こちらは見た目、すぐに普通のミドリフグとは区別がつきます(月刊アクアライフ2005年2月号より)。このサイトでは、わが家のサヴァヘンシスらしきものもミドリフグとして扱っていきます。

 ミドリフグの生態で最大の特徴は、野生では汽水域に生息するということです。汽水域とは、河川の河口付近の、海水と淡水が混じり合う部分のことで、海水ほどではありませんが、塩分を含みます。そこで飼育にあたっても汽水環境を用意してやることが必要です。淡水でもすぐに死ぬことはありませんが、長生きさせることは無理のようです。汽水フグの生態も種類によっていろいろですが、ミドリフグの場合、成長にともなって徐々に海寄りに生活圏がうつるようなので、逆にどちらかというと、成長するにつれて塩分濃度は徐々に濃くしていったほうが良いようです。ある程度成長したら、海水のほうが調子よく成長も早いという情報もあります。
 ショップで売られているのは3〜4センチくらいのものが多いですが、飼い込むと10センチ程度にはなるようです。ただし、ある程度の広さの水槽が必要になります。


◆飼育のポイント
 細かい話は「ミドリフグ水槽のセッティング」「ミドリフグの購入と日々の管理」中で書くとして、ここでは、特に金魚と比較して飼育上注意すべき点をあげてみます。

「できるだけ単独飼育で」
 見た目に似合わず凶暴です(個体差はあるようですが・・・)基本的には一つの水槽に1匹だけで飼育しましょう。ミドリフグは金魚と違って、一匹だからといって寂しがったりしません。またブリーディングも非常に難しく期待できませんので、雄雌そろえて飼うような必要もありません。一匹に愛情を注いでやりましょう。
 どうしても複数飼育したい場合は、できるだけ大きな水槽に、隠れ場所となる障害物(珊瑚岩やアクセサリー等)を入れて、喧嘩が置きにくくしてやり、また最悪の場合はセパレーター等で仕切ったり、隔離できるように別の容器を準備しておくことが必要です。

「汽水環境で飼育する」
 先にも書きましたが、淡水では当面生かすことができても、長生きしません。またフグの調子も悪くなりがちで、エサ食いもいまいちのようです。せっかく飼っているフグが元気に泳がなければ意味がありませんから、是非とも汽水環境を用意してやりましょう(というか、汽水環境で飼育できないなら、ミドリフグはあきらめましょう。そのほうがフグのためですから)。別項で詳しく説明しますが、水槽飼育の場合、海水の1/4程度の塩分濃度から始めて、ある程度成長してきたら最低でも海水の1/2くらいの濃度まで塩分を濃くしていったほうが良いでしょう。
なお、普通の食卓塩はもちろん、自然塩等も避けましょう(海水に含まれる微量元素が無かったり、また精製度が高すぎるからフグの表皮を傷めることがあるようです)。多少値は張りますが、海水魚飼育用の人工海水の素を使用したほうが良いでしょう(雑菌がほどんど含まれず、様々な微量元素などが海水と同じように含まれています)。

「水温管理が必要である」
 熱帯魚を飼ってたら特に驚くようなことではないのですが、金魚しか飼ったことが無いという人ならば、意外に見落としがちなのが、水温の管理です。野生のミドリフグが暮らす東南アジア地域の汽水域では、水温は23〜27℃くらいの範囲にありますので、四季のある温帯の日本や中国で育成された金魚と違って、低水温にも高水温にも弱いという特徴があります。そのため、冬場はヒーターで保温することはもちろん、夏場も場合によっては冷却ファンやクーラー等を使用するなどして、水温を一定の範囲に維持しなければなりません。



★心の準備

◆ミドリフグを飼うにあたって(もう一度自分自身に問い直してみましょう)

 ミドリフグは、胸びれや背びれをピョロピョロ動かしたり、目をキョロキョロと動かしたり、水槽をのぞき込むと興味深げに近づいてきたり、仕草の一つ一つがかわいらしく、その姿に一目惚れして飼い始めるという方も多いと思います。ただ、普通に飼えば最低でも5年は生きる魚ですし、最初は水槽も小型で済ませていても、成長にともない、ある程度の大きさの水槽が必要になります。
 加えて、金魚等とは違い、常に人工海水の素等を使って汽水環境を維持してやらねばなりませんし、水温も年間一定に保たなければなりませんから、水換え等の作業も手間取り、電気代もいくらか余分にかかります。
 飼い始めの熱が入っている頃なら、これらの管理もかえって楽しく感じられるでしょうが、一時の感情に押し流されて飼い始めた場合、熱が冷めると管理が面倒になり、管理不行き届きで死なせたり、こっそりと近所の川へ放流したり(これはフグにとって死を意味します)することになってしまいます。このような結末を迎えることはフグたちにとって、最も不幸なことです
 また、ミドリフグをはじめとする淡水・汽水フグの多くは、繁殖が難しく、現地での野生種の採取に頼っているのが実情です。乱獲すれば絶滅の危惧があるのはもちろんですが、そこまでいかずとも、野生の生き物を人間の都合で何匹も勝手に連れてくるわけですから、少なからず自然に影響を与えていることには違い有りません。これは多少なりとも、罪なことだと私は思うのです。

 飼うことを決断する前に、貴方の今の気持が一時のものではないのか、今後どんなことがあっても天寿を全うするまで飼い続ける自信があるか、もう一度自分自身に問い直してみてください。

 貴方の気持ちに間違いないならば、その一匹に精一杯の愛情を注ぐ自信があるなら、貴方との運命の出会いを待ちこがれている一匹のミドリフグを迎えに、いざペットショップへ行こうではありませんか・・・。
 
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