愛媛県議会議長 森高康行
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本会議質問


平成29年12月5日(火) 一般質問 森高議員(自民)

 年初から夏までは雨乞いをし、夏以降は豪雨・台風災害に備えるという気候変動期になりました。また、北朝鮮による核・ミサイル実験の蛮行が繰り返され、アメリカ本土を狙えるという発言以来、戦端が開かれる危機が現実問題として語られております。さらに、本県でも、大量殺人発生につながりかねない暴走車事件も記憶に新しいことです。このように自然災害、戦争、テロなどあらゆる危機に備えることが、政治、行政に求められるようになってきました。これまで以上に県民の安心・安全・安定を目指してまいりましょう。  去る10月26日に熊本県で開催された第158回全国議長会総会において、在職30年自治功労者表彰をいただきました。ふるさとの支援者はもとより、先輩、同僚に感謝申し上げ、人生の節目である還暦の贈り物として、これからの人生の糧としてまいります。


1.えひめ国体・えひめ大会における皇室の方々の御来県についての所感はどうか。

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 11方9組の皇室の御来県は県政史上最大であり、短期間に、東は四国中央市から南は愛南町まで県内各地をめぐっていただき、各種競技を御覧いただくとともに、多くの県民と直接触れ合っていただき、国安かれ民安かれを実践していただけました。
 私は、県相撲連盟会長として、西予市野村町で開催された国体相撲競技にお成りいただいた秋篠宮家の眞子内親王殿下を乙亥会館でお出迎えし、御先導を努めましたが、殿下は、自然発生的に集まられた約500人の方々の御婚約おめでとうやかわいいの声にお応えになっておられました。相撲では激しいぶつかり合いによる負傷があり、救急車で運ばれる選手も目前でありましたが、大変お気遣いをいただいておられる姿が印象的でした。
 さらに、9月29日の24年ぶりの御来県を歓迎して実施された天皇皇后両陛下の奉迎パレードは、主催者が準備した4,000のちょうちんも全て配布されるなど、皇室と県民のきずなが深まるひとときでもありました。
 今回の一連の皇室の方々の御来県について、心に残るエピソードなどもあったと思いますが、中村知事の所感はどうか、お聞かせ願いたいのであります。

【答弁者:中村時広知事】

 えひめ国体・えひめ大会では、天皇皇后両陛下を初め、数多くの皇室の方々に御来県をいただき、開・閉会式など大会関連行事への御臨席、剣道等21競技の御観覧、県美術館など24施設の御視察等々で県内各地をめぐっていただき、14万人近い県民の皆さんに奉迎をいただきました。
 天皇皇后両陛下におかれましては、国体総合開会式で水樹奈々さんが歌う国体・大会テーマソングに合わせ、会場と一体になって手拍子をしていただいたこと、県美術館で安倍能成展、「紫舟」作品展を大変興味深く御覧いただいたことなどが特に印象に残っています。
 また、私から皇后陛下にみきゃんのピンバッジをお渡ししたところ、翌日、それをさりげなく着用されていたというエピソードもありました。そのお姿を拝見し、驚きとともにお優しい心配りにとても感激した次第でございます。
 このほか、強い雨の中、本県の自転車新文化の取り組みや造船所を熱心に御視察いただいた皇太子殿下、長浜高校の水族館部員と親しく御交流いただいた秋篠宮同妃両殿下など、皇室の皆様方には愛媛が誇る歴史や文化、産業や観光資源、特産品などにも数多く触れていただきました。
 行く先々での県民の奉迎に常に笑顔でお応えになられた皇室の方々のお姿は、いつまでも県民の皆さんの記憶に残るのではないかと思います。


2.えひめ大会の結果をどのように総括し、この成果を踏まえ、障がい者スポーツの振興をどのように進めていくのか。

 10月28日、皇太子殿下の御臨席を仰ぎ開幕した全国障害者スポーツ大会愛顔つなぐえひめ大会では、県内各地で陸上競技やバレーボールなど13競技と3つのオープン競技が実施され、全国から参加した約3,300名もの選手による熱戦が繰り広げられました。
 台風22号の接近により一部の競技が中止になるなど影響も出ましたが、開催県である本県からは総勢288名の選手が出場し、悪天候にも負けず、個人競技で金メダル54個を含む121個のメダルを獲得し、陸上競技と水泳で10個の大会新記録を樹立したほか、団体競技では、グランドソフトボールが優勝、知的障がい者の女子バレーボールが準優勝を果たすなど、過去最高の成果をおさめました。
 また、大会運営に携わられた大勢の県民ボランティアも、温かいおもてなしの心で全国からの参加者との交流の輪を広げていただいたところであり、改めて選手の皆様を初め、全ての大会関係者の御努力と御苦労に対し、深く敬意と感謝を表するものであります。
 えひめ大会では、本県選手の活躍を通じて、障がいのある方々の誰もが、新たな可能性に挑戦することで新しい自分へと成長できることを感じていただいただけでなく、県民一人一人が選手たちの全力で戦う姿から勇気や感動をもらいました。
 また、障がい者との触れ合いを深めることで、障がいを理由とする不当な差別的扱いや障壁をなくし、障がいのある人もない人もともに支え合いながら暮らせる共生社会の実現に向け、どのようにかかわっていくかを考える上でも、大きな意義を持つ大会となったと考えております。
 今後、えひめ大会で生まれた機運を一層高め、障がい者の社会参加の促進や共生社会の実現に向けた歩みをとめることのないよう、その牽引役の一つとなる障がい者スポーツの振興に引き続き取り組むことが不可欠であると考えるのであります。
 えひめ大会の結果をどのように総括し、また、この成果を踏まえ、障がい者スポーツの振興をどのように進めていかれるのか、明らかにされたいのであります。

【答弁者:中村時広知事】

 県では、えひめ大会に向け、県障がい者スポーツ協会が核となり、競技団体等と連携した選手の育成指導体制の強化や練習環境の整備、競技力向上のための県外大会や合宿参加への支援などの取り組みを進めてきたところであり、大会本番では、本県選手が大勢の県民による熱のこもった応援を追い風として、これまで培ってきた力を存分に発揮したことが、過去最高の成績につながったのではないかと考えています。
 また、県内各地域で県民の障がい者スポーツに親しむ機会がふえるとともに、団体競技育成の拠点づくりや競技人口の少ない種目等へのサポート体制の強化など、心強い動きや取り組みも生まれてきたところであり、えひめ大会は、障がい者スポーツ全体の裾野拡大や底上げにも大きく寄与したものと評価しています。
 県としては、県障がい者スポーツ協会や競技団体等との連携のもと、えひめ大会で培われた育成指導体制や練習環境、ボランティアによるサポート体制等をしっかりと継承し、裾野拡大や競技力向上に引き続き取り組むとともに、企業や団体等による支援の輪をさらに広げ、パラリンピック等を目指すトップアスリートへの支援や次世代アスリートの発掘を図るなど、オール愛媛で障がい者スポーツのさらなる振興に取り組んでまいりたいと思います。


3.高校段階での特別な教育的ニーズのある生徒への多様な学びの場の確保や就労支援にどう取り組むのか。また、特別支援学校へのエアコン設置の考えはどうか。

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 障がいのある児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するためには、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導を行うとともに、快適な教育環境を整備するソフト・ハード両面の対策が重要であります。
 中央教育審議会のインクルーシブ教育システムに関する報告では、障がいのある方とない方がともに学ぶ仕組みを構築するためには、連続性のある多様な学びの場として、通常の学級のほかに、通級による指導を初め、特別支援学級及び特別支援学校を準備し、それぞれの教育環境の整備、充実を図っていくことが必要であると示されています。
 これまで通級による指導の制度化など、小中学校における多様な学びの場が拡充されてきました。中学校での通級による指導を受ける生徒数は、全国で平成5年の296人から、26年には8,386人と約28倍に増加しており、本県では、ほとんどの生徒が中学校卒業後、高校に進学している現状があります。
 こうした中、来年4月から高校においても、通級による指導を実施可能とする国の法令改正に呼応し、本県では、新居浜商業高校をモデル校として実施されることが公表されました。高校へ進学した特別な教育的ニーズのある生徒が、引き続き通級による指導を受けられることは有意義であり、今後とも高校における多様な学びの場の拡充に取り組んでいただきたいと考えます。
 また、高校段階で障がいのある生徒が生涯にわたって自立し社会参加していくためには、職業的な自立の実現が重要となります。しかし、複雑な仕事を理解して身につけることや対人関係における困難さなどを正しく把握した支援が必ずしも十分でないことから、就労先が見つかりにくかったり、就職できても早期に離職したりする課題が指摘されており、生徒一人一人の障がいの状態に応じたキャリア教育、職業教育のさらなる充実も望まれるところであります。
 さらに、夏場の快適な学習環境の確保といった観点から、特別支援学校へのエアコンの設置促進についても、ぜひ実現してほしいと思います。
 完全参加と平等という国際障害者年に定められたスローガンの実現に向けて、全国障害者スポーツ大会えひめ大会が開催された本年こそ、大きな前進を期待しています。
 県教育委員会では、高校段階での特別な教育的ニーズのある生徒への多様な学びの場の確保や就労支援にどう取り組まれるのか。あわせて、特別支援学校へのエアコン設置の考えもお聞かせ願いたいのであります。

【答弁者:井上正教育長】

 県教育委員会では、障がいのある生徒の多様な学びの場を確保するため、来年4月から新居浜商業高校をモデル校として通級指導を導入することとしております。通級指導教室には専任の教員を配置し、希望する生徒が放課後等に週1時間程度、障がいによる学習や生活面での困難を改善、克服するための個別指導が受けられるよう準備を進めているところでございまして、同校への導入効果を踏まえ、他校への拡充等を検討していきたいと考えております。
 また、就労につきましては、知的障がいの特別支援学校2校に就労支援コーディネーターを配置しまして、特別支援学校の生徒に加え、県立高校に在籍する障がいのある生徒につきましても、就労に関する相談やインターンシップ受け入れ先の開拓、関係機関との連携等に対応するなど、高等学校段階での障がいのある生徒の就労と職場定着支援の強化に努めているところでございます。
 さらに、特別支援学校のエアコン設備は、これまで体温調節の困難な児童生徒の教室等に優先して整備してまいりましたが、昨今の夏場における異常な気温上昇等もあり、児童生徒の健康に一層配慮した教室環境の充実が必要と認識しておりまして、県教育委員会といたしましては、全教室へのエアコン設備の早期整備を検討してまいりたいと考えております。


4.本県とオレンブルグ州との交流の現状はどうか。また、今回の文化交流事業を今後どのように生かしていくのか.。

 本県とオレンブルグ州とのつながりは、平成24年の坊っちゃん劇場によるミュージカル「誓いのコイン」のロシア公演がきっかけになったもので、その後、私自身も西原県議とともに、昨年10月末から11月初旬にかけて訪問団の一人として現地を訪れ、交流の促進にも当たった次第であります。
 さらに、本年4月には、先方よりの訪問団を迎え入れ、政治、行政、大学、文化交流と続いてきた貴重な取り組みであると思います。
 私は、お互いの地域を理解する一番の近道は、その地域の伝統や風習などにより培われ、長年守り育てられてきた心やわざが息づく芸術文化による交流ではないかと考えております。本県とオレンブルグ州とははるか遠く離れていますが、お互いの地域の住民がそれぞれの芸術文化に直接触れることで心のつながりを深め、言語の壁や距離を超えて理解し合えるものと確信しており、その積み重ねにより幅広い分野における交流の芽が生まれてくると思うのであります。
 このような展望のもと、坊っちゃん劇場のミュージカルを通じて生まれたこの両地域のすばらしいつながりを、芸術文化を核にしながらさらに進展させることは、国際交流の促進においても重要なことであり、今議会に提案されているオレンブルグ州との文化交流事業を契機として、交流がさらに進展していくことを期待しております。
 現在、世界では多くの国々が、特に近隣諸国との間での国際紛争、国際問題を抱えており、我が国においてもさまざまな課題に直面しております。幸い我が国とロシアとの関係は、シベリア抑留や北方領土問題など、さきの大戦後の未解決の課題はありますが、昨年12月の安倍、プーチンによる日露首脳会談において、政治、経済、人文科学や地域間などさまざまな分野における人的交流の拡大を目指し、両国関係のさらなる発展につなげることを合意するなど、比較的良好な関係を維持しております。引き続き、地域レベルで地道に交流を続けていくことは、両地域の発展はもとより両国間の平和的関係の構築にも重要と考えており、本県とオレンブルグ州との交流を大切に続けていただくことを願っています。
 本県とオレンブルグ州との交流の現状はどうか。また、今回の文化交流事業を今後どのように生かしていくのか、お聞かせ願いたいのであります。

【答弁者:西本牧史企画振興部長】

 オレンブルグ州との交流については、昨年11月の本県訪問団の派遣に続き、本年4月にはロシア側から州政府や大学、民間で構成される訪問団が来県し、オレンブルグ国立大学と学術交流協定を結ぶ愛媛大学で交流イベントを実施するとともに、県武道館の視察やしまなみ海道でのサイクリング体験などを行ったところでございます。
 また、9月には、愛媛大学の学生14名がオレンブルグ国立大学の短期研修に参加したほか、あすからはオレンブルグ柔道交流訪問団が来県し、県武道館を会場として、新田高校や松山大学などとの合同練習や親善試合を行うとともに、松山東雲学園において茶道や書道などの文化体験を行うこととしております。
 このような中、州知事から、来年1月25日のオレンブルグ国立大学の創立記念日に合わせ招待があったことから、今回の補正予算案において、本県の伝統芸能等の紹介を行うほか、来年度のオレンブルグ訪問団の招致など、今後の相互交流の進め方を州政府と協議するため訪問団を派遣する経費を計上しておりまして、この機会に互いの芸術文化への理解を深めるとともに、民間交流の促進も図りながら、持続的に地域間交流が進展するよう取り組んでまいりたいと考えております。


5.チェジュ航空により再開した松山−ソウル線のこれまでの利用状況はどうか。また、安定運航に向けて、今後どのように利用促進を図っていくのか。

 11月2日、県民が待ち望んでいた松山−ソウル線が再開いたしました。我が国では、韓国側の所作に起因する出来事で戦後最悪の嫌韓論が高まっておりますが、反面、2017年の韓国からの訪問者が年間700万人に上る見込みであり、最高記録を更新中という現実に複雑な感情は禁じ得ませんが、私自身ライフワークとして交流を重ねてきた立場からは、心から歓迎するものであります。
 就航当日は、第1便で韓国からチェジュ航空の李副社長らが来県し、松山空港で就航記念式典が開催され、県議会からは渡部副議長も出席し、松山空港国際線初のLCCの就航を祝いました。
 チェジュ航空では、就航記念キャンペーンとして片道2,000円からの特別料金を設定するなど、LCCならではの割安な料金設定となっており、韓国から多くの観光客が来県していただくことはもちろんですが、本県からも韓国を訪ねる方がふえることを期待いたします。
 近年、若者の海外旅行離れが進んでいると言われておりますが、特に大学生を初め若い世代の方には、LCCの就航を機にぜひとも海外に出向き、見聞を広めてほしいと思います。
 一方、地方空港の国際線を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県の人口規模や近隣空港との競争などを考えた場合、アシアナ航空の二の舞にならないかが心配であります。昨年度まで搭乗率の低迷が続いていた松山−上海線については、インバウンド客の増加により、今年度は安定運航が続いていると伺っていますが、松山空港の国際線は、これまでも国際情勢や為替相場の変動などにより大きく影響を受けてきた経緯があるだけに、少々の外部環境にも負けない安定した利用客を確保していくことが極めて重要であると考えます。
 チェジュ航空により再開した松山−ソウル線のこれまでの利用状況はどうか。また、安定運航に向けて、今後どのように利用促進を図っていかれるのか、明らかにされたいのであります。

【答弁者:中村時広知事】

 再開した松山−ソウル線は、就航1カ月でありますが、インバウンドを中心に延べ3,000人もの韓国人旅行者が利用しており、搭乗率は11月が90%、年内も80%を超える見込みであり、順調なスタートが切れたと認識しておりますが、引き続き高い搭乗率を維持するため、今回の補正予算では、インバウンド対策として、無料送迎バスの運行を初め、観光施設等の無料券や民間店舗等の特典つきクーポンブックを配布するほか、韓国では、仁川空港シャトルバスへのラッピング広告や旅行商品造成への支援により、本県のさらなる認知度向上と誘客促進を図ることとしています。
 また、アウトバウンド対策では、就航記念モニターツアーの造成を支援するほか、本県の低いパスポート所有率を引き上げるため、ソウル線を利用して初めて海外旅行をする若者に対して旅行商品の割引を実施するとともに、近隣県からの高速バスや空港駐車場の料金助成を行い、利用圏域の拡大を図ることとしております。
 今後とも、SNSを初め各種媒体を活用し効果的な情報発信を行うとともに、格安な航空料金や乗り継ぎの利便性をアピールし、ビジネスや若者の利用を呼びかけるなど、新規需要の開拓とリピーターの獲得に努め、安定した高い搭乗率を確保し、安定運航を図ってまいりたいと思います。


6. ものづくり企業の海外販路開拓支援をどのように展開していくのか。

 中村知事におかれては、本県経済の活性化に向け、実需の創出という独自の視点から愛のくにえひめ営業本部を立ち上げるとともに、みずからが先頭に立ち、本県のすぐれた技術や産品の販路開拓に向けて素早く取り組み、大きな成果を上げておられることを大変心強く感じているところであります。
 中でも、本県が全国に誇れるものづくり産業については、それぞれの地域に根差し、地域特有の資源を巧みに活用した多種多様な企業が県内各地に集積しており、知事は就任直後、その品質や技術力などの優位性にいち早く着目され、営業ツールとしてのスゴ技データベースを取りまとめられるとともに、国内の大手メーカーや商社等はもとより、海外に向けても県議会とともに積極的なトップセールスを展開されておられます。
 改めて申し上げるまでもありませんが、ものづくり分野で成約を勝ち取るまでには大変な時間と労力を要すると伺っていますが、一旦成約に結びつけば、受注額の大きさやその後の継続取引等も期待できることから、地元経済への大きな波及効果が期待できる分野でもあります。  本年1月、知事は、県商工会議所連合会が実施したフィリピン経済交流ミッションに同行され、ビジネスマッチング商談会や現地経済界との交流のほか、フィリピン経済特区庁との経済連携に係る覚書を締結されるなど、精力的な営業活動を展開されたと伺っていますが、今後とも、本県ものづくり企業の有する日本屈指の高い技術力やすぐれた製品を海外に売り込んでいだたくことが、本県経済を活気づけることになると大いに期待しているところであります。
 県では、ものづくり企業の海外販路開拓支援をどのように展開していかれるのか、お聞かせ願いたいのであります。

【答弁者:中村時広知事】

 県では、県内ものづくり企業のすぐれた技術や製品の海外での販路開拓を支援するため、経済成長著しい東アジアや東南アジアをターゲットとして、これまで6つの国や地域を訪問し、トップセールスを初め商談会の開催やマッチング機会の提供のほか、現地政府機関等との経済交流に関する連携協定の締結に取り組んでまいりました。
 昨年度までの海外でのものづくり分野の県関与成約額の累計は、把握できたものだけで約10億円と海外全体約50億円の2割程度を占めておりますが、お話のとおり、成約を得るには時間を要しますことから、継続的なフォローアップに粘り強く取り組むとともに、今年度から新たにJICA事業を活用した海外進出案件の支援に努めるなど、さらなる成果獲得を目指すこととしています。
 また、来年1月には、本県企業の最も関心の高いベトナムを再度訪問し、県商工会議所連合会による経済交流ミッションと連携してトップセールス等を実施するほか、現地政府機関と経済協力に関する覚書を締結するとともに、新たにカンボジアを訪問し、県外国人技能実習生受入協議会が行う政府機関との受け入れ協定締結に立ち会うなど、引き続き先頭に立って県内ものづくり企業の海外販路の開拓に全力で取り組んでまいりたいと思います。


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7.東予東部圏域振興イベントの開催に向けて、今後どのように取り組んでいくのか。

 東予東部に位置する3市は、それぞれの地域の特性に起因して、私の地元四国中央市では、法皇山脈が育んだ銅山川に建設されたダムの恩恵により製紙業が、新居浜市では、別子銅山の採掘により礎をなした住友グループを中心に発展した中小機械産業が、西条市では、豊富な水資源を生かした食品産業や電気・電子産業などが集積し、3市の製造品出荷額の合計は2兆円余りで、県全体の50%を超え、四国中央市だけでも高知県と同規模であり、まさに本県経済を牽引している誇らしい地域であります。
 一方、本年10月末現在の東予地域の有効求人倍率は、過去最高となる1.80となるなど好調な雇用状況にあるものの、担い手不足が顕著になりつつあるとも言えます。優秀な技術者の引退が相次ぐ一方で、進学や就職を契機とした若者の県外流出が続いており、愛媛県人口ビジョンでも、2040年には東予地域の人口が2010年比で約26%減少すると予想されており、全国平均を上回る減少率となっております。
 足元の人手不足感は、製造業以外にも飲食やサービス、介護、福祉など悲鳴が聞こえることはもとより、地域産業発展の中核となる人材をどう確保していくのかが重要かつ喫緊の課題となっており、こうした中開催される本イベントは、観光客誘致による交流人口の拡大だけでなく、若者の移住、定住にもつながる息の長い取り組みのきっかけになってほしいと願っております。
 イベントを成功に導くためには、観光客へのわかりやすいアピールや仕掛けも必要だと思いますが、地域住民がイベントに参画することにより、地域の自然の魅力やその恵みのもとで育まれた多様で高度な産業の価値に改めて気づき、地域を元気にするためみずから行動を起こす契機となることが何よりも重要であります。成功と総括された瀬戸内しまのわ2014やえひめいやしの南予博2016では、住民が主体となった多くのプログラムが生まれ、イベント終了後も継続することによって活性化につながったと聞き及んでおります。
 今回の取り組みでも、ぜひ地域住民の方々はもとより、元気な地元中小企業が主体となった多くのプログラムが生まれることを期待しますし、一過性に終わることのない住民、企業主体のイベントに仕上げてほしいと願う次第です。
 折しも、先日、県と新居浜、西条、四国中央の3市、関係機関等で構成する実行委員会が設立され、いよいよ東予東部地域で初となる広域イベント開催に向けた準備が本格化すると期待しているところであります。
 東予東部圏域振興イベントの開催に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、明らかにされたいのであります。

【答弁者:中村時広知事】

 東予東部圏域振興イベントにつきましては、先月24日に、県、新居浜市、西条市、四国中央市、商工団体、観光団体等で構成する実行委員会を設立し、東予アクティブライフの創造をテーマに掲げ、石鎚山、赤石山系、法皇山脈などの山とその恵みに育まれたものづくり産業、勇壮華麗な祭りに代表される文化と風土など、当圏域ならではの資源に新しい風を吹き込むことにより、これまでになかった地域の魅力と誇りを生み出し、観光振興のみならず、産業を支える人材の確保も目的とした基本計画を策定したところでございます。
 今年度は、実行委員会において、具体的なプログラムの内容を固めて実施計画を策定するとともに、イベントの成否は地元の住民や企業が主体性と熱意を持って取り組めるかどうかが鍵を握りますことから、地元3市と協力し、シンポジウム等を開催するなど機運醸成に注力することとしておりますが、圏域初の広域イベントとなりますことから、イベントプロデュースの経験豊富なアドバイザーを委嘱し、既に助言やサポートをいただいているところであり、今後、圏域が一体感を持ち、地元の方々が地域の魅力や産業の価値に気づき、みずから行動を起こすきっかけになる意義あるイベントにできるよう、地元3市や関係団体等と連携、協力し着実に準備を進めてまいりたいと思います。
 恐らく山岳地域をテーマにイベントが数多く組まれていきますので、議員の皆さんにも、大勢の方々に御参加をいただきますようにお願い申し上げたいと思います。山登りでありますから、今から脚力を鍛える準備に入っていただいたら幸いに思います。


8.北朝鮮の脅威に対する県警の現状認識はどうか。また、ミサイル発射等に対し、県警ではどのように取り組んでいるのか。

 当時中学2年生の横田めぐみさんが北朝鮮に拉致され、先月15日で丸40年が経過いたしました。北朝鮮は、横田めぐみさんを初め多くの日本人を連れ去り、今も拉致したままであります。県内においても、大政由美さんや山下綾子さんら15人について県警がホームページで公表されていますが、拉致の可能性を排除できない行方不明者と捉え、今なお捜査、調査を続けていただいております。
 北朝鮮は拉致問題だけでなく、国連安保理の決議に反して、本年9月3日に6回目の核実験を実施したほか、太平洋上で過去最大級の水爆実験を行うことを示唆しています。また、一部報道によると、北朝鮮が東部の豊渓里でさらなる核実験を行った場合、地盤が崩落を起こして放射性物質が拡散する可能性があるということも言われております。
 さらに、北朝鮮はミサイル発射を繰り返しており、本年8月には、ミサイル4発を同時にグアム沖に発射する、島根県、広島県、高知県の上空を通過するなどと予告し、我が国において、中四国にPAC3を配備するなど厳戒態勢が敷かれる中、8月29日及び9月15日に火星12と称する弾道ミサイルの発射を強行しました。この2発の弾道ミサイルは中四国ではなく、北海道の上空を通過し太平洋上に落下したわけでありますが、先月29日には、またもや日本海に向けて発射するという暴挙に出ました。弾道ミサイルが発射される方向によっては、ミサイル本体またはその一部が本県に落下する可能性が十分に考えられ、住民の生命、財産が重大な危機にさらされている状況と言わざるを得ません。
 このように北朝鮮は拉致問題、核開発や核実験、ミサイル発射など、国際社会からの制止に耳をかすことなく数々の蛮行を繰り返しており、その脅威が確実に強まっていることは紛れもない事実なのであります。
 そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 北朝鮮の脅威に対する県警の現状認識はどうか。また、ミサイル発射等に対し、県警ではどのように取り組んでいるのか、明らかにされたいのであります。

【答弁者:林学警察本部長】

  北朝鮮は、過去に重大な国際テロ事件や拉致容疑事件を引き起こし、現在もよど号ハイジャック事件の犯人グループを保護するなどしており、とりわけ現在進められている核・ミサイル開発は、我が国の安全に対するより重大かつ差し迫った脅威であると認識をしております。
 このため、県警察では、こうした北朝鮮の動向を踏まえ、情報の収集、分析はもとより、平素から伊方原発等の重要施設における警戒警備を行うなど、テロ対策に万全を期しております。先般の北朝鮮によるミサイル発射時には、直ちに被害の確認、警戒警備の徹底、関連情報の収集等を行うとともに、機動隊の出動態勢を確保していたところであります。
 今後とも、北朝鮮によるミサイル発射を初め、あらゆる緊急事態に備え、消防や自衛隊、自治体など関係機関との緊密な連携を図りながら態勢の構築に努めるとともに、警戒警備の強化等にも取り組み、県民の安全と安心の確保に万全を期してまいりたいと考えております。