歴史年代ゴロ合わせ暗記  

歴史年代ゴロ合わせ暗記イスラム国



イスラム国 


 イスラム国って何?地図とかにのってないじゃん!と、お思いの方も多いでしょう。そう、イスラム国っていうのは、正確には国の名前というよりは、集団の名称・・・。ん?よくわからない?

 では、今回は、イスラム国について少し見てみましょう。

 イスラム国っていうのは、イスラム教スンニ(スンナ)派過激組織がイラクの北部のモスルという地域を制圧後、2014年6月にイラクとシリアの国境地帯に勝手に国家の樹立を宣言しました。これがイスラム国です。

イスラム国が支配を主張する地域


 最高指導者は
アブ・バルク・バグダディ(イラク人)という人。この組織のことをISIS(Islamic State of Iraq and Syria)とかISILIslamic State of Iraq and Levant)などとも言われています。

 組織の人数は正確にはわからないものの一部報道では5万人以上(2014/09)。彼らの目的は、
カリフ制国家の建設です。カリフって何?う〜ん。日本人には聞きなれない言葉ですね。

 カリフとは、預言者ムハンマド(イスラム教の開祖)の後継者のこと。ムハンマドが亡くなった632年〜661年の間は、選挙でカリフが選ばれることになります。しかし、4代目のカリフであったアリーが暗殺された後はイスラムが分裂していくことになるんです。聞いたことあると思います。シーア派とスンニ派(スンナ派)。

 簡単にいってしまうと4代目カリフのアリーの血統を重視する人々のことをシーア派といいます。一方、スンニ派とは代々のカリフをムハンマドの後継者として認める人々のことをいいます。現在ではイスラム教徒の9割がこのスンニ派だといわれており、イスラム国の過激組織もスンニ派ですね。

 彼らは、かつてのカリフ(イスラムの最高指導者)に導かれた理想国家を建設しようとしているんですね。ですから、バグダディ氏は1924年から空位であったカリフの座を自ら名乗ったりしていますよ。

 とはいえ、このイスラム国というのは、国際社会から見るとかなり危険。まず、この集団には、いろいろな国の人たちが集まってきてしまっているんです。ヨーロッパ、アジア、東南アジア・・・。日本人は確認されていないようですが、もしかすると・・・。

 しかも、イスラム国に賛同している彼らの顔や名前はわからない。つまり、彼らが私服に着替えて母国に帰ってきても一般人と見分けがつかない訳です。そんな状態で母国でテロでも起こされたら・・・。

 また、イスラム国は、外国人を拉致し殺害するという恐ろしい映像をネットを通じて世界に配信したりしています。これを見た人々はイスラム国に対して脅威を抱くわけです。「この集団、怖ぇ〜」って。彼らの狙いはソコ!世界中に自分達の恐ろしさを伝え、戦わずに勝つ!という作戦なんですね。まぁ、身代金をもらえれば一番都合がいいわけですが、もらえなくても自分達の脅威を知らしめることが出来ます。

 お金もいっぱい持っています。身代金で得たお金や密輸。企業を脅したりして資金源を稼いでいるんです。ですから、この集団ではお給料もちゃんと出るんです。しかも、かなり高額なお給料。これは人材の確保に有利に働きます。

 しかし、このイスラム国。なぜ、急に大きな勢力へとなっていったのでしょう?

 2003年にはアメリカがバクダッドに侵攻しフセインを逮捕しましたね。そのまま、アメリカ軍はイラク国内に滞在しつづけました。その頃、イスラム国の起源となる集団がイラクでのアルカイダとして勢力を伸ばしてきたといわれています。とはいえ、世界最強ともいわれるアメリカ軍が滞在しているので好き勝手にはできません。しかし、2011年になるとイラク国内はもとよりアメリカ国内や世界からも「いつまでアメリカはイラクに軍を置いておくんだ?」という批判が強くなり、アメリカ軍はイラクから撤退します。ちょうど、その頃、イラクのお隣、シリアが内戦で大変なことに。

 テロ組織イスラム国もシリアでの内戦に参戦、シリアのラッカという町に腰を落ち着かせます。この場所は石油とかが出るんで密輸して経済力をつけていくんです。しかし、シリアにはもともとヌスラ戦線という、こちらもアルカイダの勢力がいます。彼らはイスラム国を快く思いませんでした。「あれ?お前らイラクにいるはずじゃないの?なんで、シリアに来てんのよ。」ってことでイスラム国はアルカイダと袂を分かつことになります。

 とはいえ、十分に力をつけたイスラム国。「そろそろイラクに戻ろうか。」と、イラクに戻ってきます。イラクの政権はシーア派のマリキ政権。対するイスラム国はスンニ派ですね。イラク国内にもシーア派のマリキ政権を面白く思わないスンニ派の人たちが多くいるわけです。彼らは、マリキ政権打倒のためにイスラム国に賛同するようになります。

 そうして、イスラム国は勢力を拡大していったんです。

 このイスラム国に対して周辺各国のみならず世界は危機感を抱き強い姿勢を示そうとしています。

 ただ、このイスラム国を根絶やしにしたところで、抜本的な解決とはならず、また第二、第三とさらに過激化した組織が現れないとも限りません。

 島国であり、宗教的な対立もほとんどない我々日本人には理解しがたい部分が大いにありますが、前途したように現在のテロ組織は国際的。我々日本もまったく関係がなく安心というわけでもないのです。

 「触らぬものに祟りなし」という今までの考えではいけませんね。かといって、悲惨な戦争を経験した我々が武力で相手への攻撃に参加するというのも違うような気がします。

 今、我々にできることは、イスラム社会へ関心を持ち、彼らの考えを知り、理解することが第一歩なのかもしれません。イスラム国、彼らの行動は決して賛同できるものではありませんが、中東地域の安全と安定のため抜本的な解決に積極的に貢献していくことが大切なのでしょう。

 2014/09/10


 
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