ウイグル自治区問題について
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最近、ウイグル自治区の問題についてニュースでも取り上げられるようになってきました。
そこで、ちゅっとだけ、このウイグル自治区の問題について触れてみたいと思います。
まず、ウイグル自治区に住む人たちですが、私たちが想像する中国人(漢民族)とはちょっと違います。そりゃそうです。ウイグル人とはトルコ系民族ですからね。
では、なぜトルコ系民族の人々が中国人となり、そして現在中国政府に反感を抱いているのでしょう?
地図を見て驚いた方も多いのではないでしょうか?結構デカイ・・・。なにしろ中国全土のおおよそ1/6の面積をですからね。
この地は古くは漢や唐に支配された時代もあり、13世紀にはモンゴルによって征服されます。
その後はモンゴルの支配からティムール帝国。そのティムール帝国も16世紀始めごろには衰退し、西の地域ではトルコ系の国々ができ、東の地域では小さい勢力が分裂していく時代となります。
ちなみに、この辺りの地域を「トルキスタン」という場合もあります。西トルキスタンの地域は、その後ロシアの支配下となり、ソ連崩壊と共に独立を勝ち取ります。ウズベキスタンとかカザフスタンとかがそうですね。
一方で東トルキスタンの地域は18世紀半ばに清によって征服されます。そして1955年には東トルキスタンはウイグル自治区となりました。
簡単に言ってしまえば、このような時代の流れがある訳なのですが、しかし、ウイグル人といわれる人々と中国に住む漢民族の人たちとでは、文化や宗教、言葉も違うわけです。
ウイグル人には、ウイグル文字、ウイグル語があり、宗教はイスラム教を信仰しています。そこで、ウイグルに住む人々は自然の流れで自分達の文化や歴史を守りたいと分離独立を訴える人々も出てくるのですね。
でも、中国だって「俺たち民族違うので独立したいんですけど」と言われて「はい、わかりました」とはいえない。広大な領土と資源を失うことになりますから、そりゃそうでしょうね。
なんとか、ウイグル人の独立運動をやめさせなければならないわけです。
さて、ここからは中国政府が関与しているかどうか?ウイグル自治区の独立運動をやめさせる為の行動なのかどうか?定かではありませんが、実際に起きているウイグル自治区の問題について書いていきますね。
ウイグル自治区には、1960年ごろから鉄道などが整備されたこともあり、漢民族がどんどん入ってくることになります。広大なウイグル自治区には石油や天然ガス、ウランなどの資源が眠っているのですが、その職を求めて漢民族が流れ込んできたわけです。そして、ウイグル自治区でも漢民族が優遇されているという現実もあり、結果ウイグルの人々の仕事がなくなってしまったのです。
そこで、中国政府はウイグルの人々に本土にて仕事を斡旋する動きを見せています。しかし、これがウイグルの人々曰く、なぜか結婚適齢期の若い女性ばかり・・・。その数、50万人とも60万人ともいわれています。その若い女性らも本土にて安い賃金で働かされ、なかなか帰ってくることもできない。これでは、ウイグル自治区を出た若い女性が漢民族と結婚していまうことも考えられ、結果ウイグル民族が減ってしまうと嘆いています。
また、学校ではウイグル語を教えても現代では役に立たないという理由で中国語を教えています。さらに、貧しい家庭には政府が無償で北京や上海にて国内留学をすすめています。しかし、帰ってきた若者達は完全に漢民族化しており、すっかりウイグルの文化、言語を忘れてしまっている。これはウイグルの文化、言語の抹殺に他ならないと危機感を抱いているウイグルの人々も多くいます。
さらに信仰。ウイグルの人たちの多くはイスラム教を信仰している訳ですが、彼ら曰く、観光客が来るような場所には、政府が支援し立派なイスラムの教会(モスク)を建てているが、その他の小さなムスクはどんどん壊されていく。しかも、政府の支援して建てたモスクには、ウルグル人の多くが入ることができないところもあるそうです。「こんなの中国政府が海外向けに宗教の自由をちゃんと保障してますよ。というアピールでしかない!」という批判の声も多いのです。
そしてウイグル自治区が核実験場となっている問題やウイグル人への不当逮捕、拘束などもウイグルの人々が不満を抱える原因となっています。現実問題、これらにより多くの方が命を亡くされているようです。
これらの現実にウイグル自治区に住む人々は自分達の言語、文化、民族自体も消滅してしまうと危機感を強く抱き、命をも顧みない行為に出て中国政府に訴えかけているのです。
間違った中国に対する感情をあおらぬようになるべく、やわらか〜い文章で書いたつもりですので伝わりにくかったかもしれませんが、この問題はウイグルの人々にとっては命をかけるほどの深刻な問題なのです。
現在では、ウイグルに大きな組織が2つあります。ドイツのミュンヘンに本部のある世界ウイグル会議とアメリカのワシントンに本部のある東トルキスタン共和国亡命政府です。
彼らは平和的に中国からの独立を目指し、その考えを世界に知ってもらいたいとテレビへの出演や著名人との会談などの行動を現在も継続して行っています。
ただしです!誤解を招くかもしれませんが、ちょっとだけ・・・。
どうしても、人間の感情としては、弱い方を応援したくなりますよね。かわいそうです。ですが、独立というのはあまいものではありません。それは、歴史が証明しています。貨幣も変われば、政治体制も変わり、各国とのパイプも1から作らなければなりません。ならば、各国が協力して独立後は支援してあげればいいという考えもありますが、それは、独立した国の成長を遅らせることにもなりかねません。
そこに住み、苦しい生活を虐げられている人たちでは、冷静さを失い大きな変化に期待を膨らませてしまいます。しかし、独立とは大変な責任と義務が覆いかぶさり、痛みをともなうものです。
とはいえ、現在のウイグル自治区に済むウイグルの人々の状況では、独立を叫び、過激な運動を起こすのも理解できます。また、それらによって世界の目が彼らに向けられたのも事実です。
中国政府は彼らとの話し合いの場を多く設け、真摯な対応により、双方にとって幸せな未来に向けての解決策を検討してもらいたいと心から感じます。
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