一番幸福なのはだれだろう? この秋に始まった新作アニメ「サイボーグ009」、この手のリメイク、リバイバル作品は期待するのが、そもそも間違いなのか、と思えるようなものが多い中、これは健闘をしているといっていいだろう。
ご存知のとおり、「009」は石ノ森章太郎の代表作で過去二度アニメ化されており、原作コミックも人気が高い。
私自身の「009」の体験的記憶は、二度目のTVアニメ化、カラー版のみによっている。原作はちゃんと読んだことはない。第二期の主題歌「誰がために」や009はじめとするサイボーグ戦士たちのキャラや能力以外の話的な部分は記憶からほとんど抜け落ちてしまっている。けれど「好きだった」という気持ちは残っている。そういう理由から、現在の放映を古くて新しい作品として、楽しんでいる。
私より上の世代の人たち(ちなみに現在私は27歳)、すなわち原作、アニメを含めて記憶が鮮明に残っている人たちは、どのように今回のアニメ化を受け止めているいるのだろうか?掲示板などの反応を散見するに、どうやら心中複雑なようだ。もっとも好きな原作漫画の映像化や、リメイク、続編というものが作られるれば、ファンにとってどこかしら不満が吹き出てくる。これは、自分の中で美化されたイメージが厳然と存在し、あるいは「自分ならこうするという」シナリオや演出まで、イメージしてしまうからだろう。これはもはや逃れられない業なのかもしれない。今回の「009」を私のように「面白い」と思ってい者がいる一方、否定的な人間も多い。
「原作を知らずにアニメを見て、下した評価」と「原作を知っている人間の下す評価」がすれ違うのは仕方のないことだ。またその原作に対する思い入れの強さも大いに関わってくる。シリーズや続編がある種恒常化してしまった「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、「ゴジラ」などは、「なるほど、今度はこうきたか。」と作り手のお手並みを楽しむ余裕も生まれてはくるのだろうが。
いま私がハマッている「コメットさん☆」にしても第3作目にあたるリメイク作品である。プロデューサーの神戸明氏の言葉によれば、リメイクを意識せずにオリジナル作品を作る意識で企画が始まっているそうだ(ホビージャパン刊otomex Vol.1参照)要するに前作の実写版に対するリスペクトは基本的にないということだろう。となればオリジナルの「コメットさん」に対して思い入れの強い人には、アニメ版「コメットさん☆」は出来如何に関わらず、やはり受け入れ難い内容なのかもしれない。
「コメットさん☆」に関していえば、そういうタイトルの作品が過去にあったという知識しかなく、始まる前は所詮リメイクという軽い侮った気持ちで見初めて、見事にはまってしまった。前作の実写を知っていたら、こうはならなかったかもしれない。予備知識のないまっさらな状態であったからこそ、むしろ作品を見る眼は澱みがなく、公平で純粋に作品を見ることが出来たというこだろうか?
しかし、今の小中学生の子供たちは「009」という作品自体をまったく知らないだろう。彼らはどのようにこの作品を見るのだろうか?
まったく素の状態で今回の「009」を見られる子供が、少しうらやましい。