かみちゅ!感想ログ
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第一回「青春のいじわる」  
放映:2005/6/28
脚本:倉田英之/絵コンテ:舛成孝ニ/演出:舛成孝ニ・畑博之
作画監督:千葉崇洋
▼あらすじ
突然神さまになったゆりえ。
自分がなんの神さまでどんなちからがあるかわからないゆりえは、友人の光恵と祀と一緒に、自分が何の神様になったか調べようとするが、わからない。
ところが、「風の強い日に屋上で告白すると恋がかなう」という言葉を真に受けたゆりえの思いが引き起こしたのか、巨大な台風が発生してしまう。
▼コメント
ううーん、だめだ、はっきり言っとこう。
少なくとも1話だけをみると、このアニメは
「大林宣彦とジブリと萌え」
で説明ついちゃう内容でした。
あえて、ぱっと見地味な作品が耳目を集める為にそこに引っかかるように意図的にやってることなのかもしれないけど、こうまであからさまだとちょっと引いちゃいます。
そうはいっても細かな芝居作画、気合のはいった美術、のどかなテンポ(これ自体大林映画のテンポに近い気がするんですが)とか作品のムードは好きなんですけど・・・やってることが正攻法過ぎてちょいものたりないかなぁ。
会話劇は舛成作品の肝のひとつだとおもってるんですが、ゆりえ役のMAKOさんは声優初挑戦ということで、不安要素高かったけれど、素人丸出しではなかったので悪くはなかった。そうはいっても全体的に演技の硬さがあって他の出演者との息がまだうまく合ってないという印象をうけてしまった。まあこの辺は徐々に良くなると思いますが。

さて話のほうですが、ゆりえが神さまになった理由についてまったく語られずに、まわりがあっさりそのことを受け入れてくので、ちょっと戸惑う。この点については、そういうもんだと納得して見てくしかないのかな。
と、期待しすぎたせいか、細部は個人的にくすぐられる要素満載なんですが、第1話の全体の印象としては五分五分かなぁ。
ただ、どんな作品になるのかまだ全貌は見えてきていないので、これからに期待ということで。

▼その他
予習として、とりあえず「さびしんぼう」と「時をかける少女」を見といたんですが、連絡船は普通に出てたし、尾道についてはバリバリ尾道ぽかったです。
あとこの作品の肝である「80年代」っぽさもダイヤル式家具調テレビとか、カバーかけた黒電話とか、制服の丈の長さとか、いろいろあって面白かった。「お前はもう死んでいる」の北斗の拳の連載が1983年からなので年代はそれ以降で確定?
▼追記(7/2)
すでにあちこちの感想で指摘されてますが、念のため。
冒頭のお弁当食べるシーンで光恵の後ろ方に読子らしき生徒が!というのと「ハッピー牛乳のんでる」とういう「R.O.D」スタッフ繋がりのお遊びが仕込まれてます。
第2回「神様お願い」
放映:2005/7/5
脚本:倉田英之/絵コンテ:舛成孝二/演出:高島大輔
作画監督:藪野浩二
▼あらすじ
ゆりえをテコに傾いた実家の来福神社を立て直そうとする祀。
ゆりえを来福神社の八島様に引き合わせようとするが、八島様は三ヶ月前から家出してしまっていたことを知る。
八島様を連れ戻す為にゆりえは神様の集まる異界へ向かう。
▼ コメント
なんとなくわかってきた。
要するに、この作品世界とそこに住む人間にとって「神さま」の存在は自明で疑う余地のないものとして普通に存在しているということなのね。
一話の段階では、リアルな日常描写と風景描写に力点がおかれてた上で、ゆりえが「神さまになっちゃった」という現実から幻想への移行に視聴者を誘導することを放棄したようなシナリオに戸惑ったけれど、この作品の世界観自体が、「神さま」というファンタジーと80年代日本の尾道が最初から同居している世界であるために、そういったわかりやすい物語の導入を避けたというわけか。
で、2話目はそういう世界観の説明に対するフォローという機能を果たしている。
1話では神さまの力に目覚めたゆりえだけが他の神さまを知覚できていたという風に見えたけど、祀の妹のみこは霊力があるらしく神さまを普通に知覚でき、力のない祀や光恵も神さまの力持ったゆりえが描いた「眼力」のお札をつけることで知覚できるようになるという今回の話の流れで神さまは能力の違いによって、見える人と見えない人がいるだけということを説明して、登場人物のやり取りのなかで誰も神さまの存在に疑問をさしはさまないことで、この世界における神さまの存在の自明性も説明されている。
これらのことで直接的な説明ではれないけれど、この世界が「神さまの存在が自明で人間と神さまの境界が曖昧で混沌とした世界」であるということが見えてくるのではないかと思います。
ということを踏まえて今回の話を改めてみると、バンドがやりたくて家出してしまった腰の低いへたれ神様な八島様と八島様にやたら馴れ馴れしい祀に象徴されるように、本作は人間と神さまがのほほんと仲良く暮らしている、そいうい作品世界を目指して作られたんじゃなかろうかということがわかってきました。
一話の時点ではちょっと戸惑ったけど、このゆるくてのんびりした世界観はかなりいいかも。

余談ですが、舛成監督って極力台詞による説明を排除して、世界観や状況を描写しようとするのだけれど、今回はさすがにそれを極め過ぎたかも知れないですね。ファン的には「そこがいい」なんですが。

▼その他
・OPが出来てねー、絵が間に合わなかったのか先週のダイジェストになってる。
・EDは今回からちゃんとあります。
脱力絵でキャラがが踊るという、ますなりEDの真骨頂が久しぶりに見れて嬉しいかも、ゆりえがマラカス振ってるのはゆりえ役のMAKOさんが所属するBON-BON BLANCOのマラカス担当だからなのね。
・1話に引き続きキャラがしゃべる時にあごや唇の動きを作画で描いてるのだけれど、これで最後まで通す気なんだろうか。
・祀の家の縁側で三人がだらけてるシーンがいい。
・八島さまを探して町の中、路地を見せるところがいい、こういう狭い路地とか階段とか好きなのよね、風景萌え。
・ちらっと出てきた弁財天さまがいい感じだったんだけど、今後登場したりしないのかな、あとその他有名どこの神様とか。
・みこの大粒涙はやっぱり「千と千尋」だなあ
第3回「そんなつもりじゃなかったのに
放映:2005/7/12
脚本:倉田英之/絵コンテ:こでらかつゆき/演出:畑博之
作画監督::大河原晴男
▼あらすじ
お金に関する相談が増えたのが貧乏神が近づいていることが原因だと知り、対策をはじめるゆりえたちだが、努力の甲斐なく貧乏神の猛威が町を襲う。
一同は貧乏神探索をはじめるが、一方でゆりえは、行方不明になった猫のタマも探していた
そして見つかったタマに貧乏神が取り憑いていた。
▼ コメント
さすがに1話、2話が凄すぎた為に今回は格段に作画がダウンして見えてしまう。
ほのぼのしてる割にはお金が絡んで俗ぽかったり、町中が壊滅的な危機になったり、かと思ったらゆりえの力で元にもどったり、かなり大変なことが起こってると思うんだけど、やっぱりほのぼのしているのは、やはりこの世界自体が基本的にメルヘンワールドだからなのかな。てかゆりえの力強すぎな気が。
今回は話の中身そのものより、タマ=斎藤千和の紹介とタマとゆりえのことを描くのが中心という感じだった。

▼その他
・OPがまた前回のダイジェストだった。
・ゆりえの部屋に二宮くんが書いた「お前はもう死んでいる」が張ってある。
・ゆりえのお母さんが妙に可愛かった。お父さんも意外と存在感ある。
・タマの家出理由が八島様とおなじで外の世界に夢を見るというものなのは、都会に夢見る80年代代の気分ってことなのかな。
▼追記(7/14)

二回目をみると大河原晴男作監のクセははっきり出てると思うけど作画に関してはは実際のところ普通に良くて、気にするほど悪いわけじゃない。
大河原氏は舛成監督の作品では、ココロ図書館・リスキー☆セフティ・R.O.D−THE TV−と常連で作監として参加していてシリーズの屋台骨を支えているのだけれど、それがちょっと悪く見えてしまうのは、やはり1,2話のレベルが尋常じゃないせいだと思う。ていうかあれと比べるのは酷というもの。
第4回「地球の危機」
放映日 2005/7/26
脚本:倉田英之/絵コンテ:こだま兼嗣/演出:小坂春女
作画監督:長町英樹
▼あらすじ
八島様に勧められて入った神様協会からはじめての依頼がくる。
その依頼の内容は、不時着した火星人とコンタクトをとるという総理大臣からのもので、ゆりえは国会議事堂へと連れてこられる。
▼コメント
予告のあらすじを読んだときはどうなるのか予測がつかなくて、ちょっと不安だったけど、ふたを開けてみれば、意外なくらい面白かった。
見ている途中は、国とか宇宙とか出すと世界観が広がりすぎて、ボロが出て突っ込みどころが増えるので、あくまで尾道周辺、ご町内での出来事に話を留めておくべきなんじゃないかなとは思った。
でも、「牛歩戦じゅつ」と「専守防衛」があまりにも面白かったので、それもなんかを許せてしまった。
今回私が面白く感じてしまったのは、政治風刺ネタを装った80年代ネタだったことに集約されるんじゃないかと。
「牛歩戦術」も、総理大臣の人が80年代といえばこのひとにそっくりだったことも、「総理大臣は嘘をつかない」も、「専守防衛」も、日米安保も、80年代の子供が印象に残る政治に対するイメージそのもので、それをゆりえの目線で追体験したような、感覚を味わってしまった。
子供が権力から宇宙人を守ろうとするのも当時大ヒットした「E.T」を彷彿とさせるプロットだし。
80年代に子供時代をすごした人間にとっては、苦笑と懐かしさの入り混じった不思議な味わいを醸し出したというか。

とはいうものの いきなり火星人が!とか総理大臣が!という超展開に頭をついていかせるのは大変だった。ゆりえがいままでどおりふにゃっとした感じで対応するのと火星人ちゃんとの交流がほのぼのしてていた為になんとか世界観をつなぎとめてはいたけれど、こういうエピソードはもう少しあとのほうにアクセント的に入れるべきではなかったかとは思う。
まあでも、要するにもうこの世界は、神さまでも宇宙人でも、地底人でも何でもありのメルヘンで、いちいちそこに突っ込まないのが正しいわけだ。
でも、それでもあえて突っ込ませてもらうとするなら、相手が子供とはいえ総理大臣が平気で神さまに嘘をつく神経はどうなんだ?
神さまの権威ってどうなってるの?
そもそもこの国には、総理大臣よりぶっちぎりで権威があって、しかも日本の神さまの総元締めを祭神としていて、引退したけどかつて御本人も「神さま」だったお方が御存命しているはずなんだけどねー、まあこれはタブーだから今後触れられることはないと思うけど。(町内だけで、国家権力出されなければこんな突っ込みはしないんだけどなぁ)

まあ、それはそれとして今回はなんといってチームしあわせ・猪鹿蝶。
サザエダンスといい、名前もらって喜ぶところといい、いい味出してました。

▼その他
・やっとこOP正式版公開。コンテはR.O.Dの石浜真史氏。ゆりえたちの日常風景と神さまたちが同居する「かみちゅ!」の世界観そのままを表現したようなOP。スタッフクレジットを小物や背景に描き込んであるのがポイント。
・OPの二宮君の習字→「まったりとしていて」「君に胸キュン」「たわば」
・OPクレジット「脚本 倉田英之」→「だまって俺についてこい」
・今回絵コンテを担当したこだま兼嗣氏は名探偵コナンの監督を務めたベテラン。
・ゆりえの家の外観が、大林監督「ふたり」の事故現場の家にそっくり。直前にBS2で放映したふたりを見てたので気づいた。
・出だしの食事の時に試験勉強でゆりえが「専守防衛」のところを読んでいて伏線になっている。
・国会議事堂内の美術がやたらリアルだ。
・「こわくない」はやっぱナウシカ?
・ピコピコポンポン→もしかしてこれ?
・ゆりえの字が下手は二宮君に字をならう伏線?
・メガミマガジンで千葉崇洋さんのコメントでゆりえはいつもなにか口にくわえているそうで、今回も箸や指をくわえていた



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