まだ見つかっていない。

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これはこのパラドックスに対する最も一般的な答でしょう。

問題は「まだ」にあります。もし我々人間が将来宇宙へ乗り出してゆくのなら、 いずれ(数百万年、あるいは数億年後には)宇宙を人間で一杯にしてしまうでしょう。 それなら、我々より僅か(数億年)前に誕生した宇宙人がいたら、とっくに宇宙は彼等で一杯になっているはずです。

しかし実際には宇宙人はおろか、その発信する信号すら捕らえられていません。 では、宇宙人が存在するとして、まだ地球の近くにはやってきていないのは何故でしょう。

  宇宙の距離は越えられない。

恒星間の距離は知的生命がいかに発達しても超えることができない大きな距離なのかも。

現在の化学ロケットでは運べる燃料の量から考えて恒星間旅行は無理でしょう。 しかし、まだ我々が実現していない原理があれば可能かもしれません。

現時点で最も可能性がありそうなのは星間ラムジェットで、 宇宙空間にある水素原子を集めながら核融合させてエネルギを得る方法でしょうか。 光速に近い高速度が得られなくても、超巨大な(小惑星サイズの)宇宙船を作り、 閉じた系の中で自給自足で世代交代を重ねながら、何千年もかけて飛ぶ移民船は考えられます。

移民船の速度を光速の10%、殖民した星から次の移民船を派遣するまでの期間を航海にかかった期間と同じとすると、 移民の波は光速の5%で広がり、銀河の直径10万光年を200万年で横切ってしまうでしょう。

これは多分最速の場合でしょうが、いろいろな悲観的要素を考えても、 殖民により銀河が人間で一杯になるまでの期間は5億年以下だそうです。 それが我々地球人ではなく、10億年前に発生した他の宇宙人でもおかしくないでしょう。 では彼等は今どこにいるのでしょうか?

次は何故我々の近くに宇宙移民の波が押し寄せてきていないのか、を考えます。

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