フォン・ノイマン探査機

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宇宙人は移民船を仕立てて宇宙へ乗り出す前に、無人の探査機を飛ばし調査を行なうだろう、という考え方もあります。

現代の計算機の産みの親フォン・ノイマンは、自己増殖する探査機が可能であることを証明しました。行く先々で物資とエネルギを調達しながら増殖し調査行を無限に継続する、知能を備えた自動探査機、一種のロボットです。

これは技術的にも可能なことであり、もし宇宙のどこかでそれを実行に移した宇宙人があったら、光速の1/40で移動しても400万年で銀河に行き渡ります。では何故我々の周囲には一つも見当たらないのでしょうか。

 ・我々の太陽系がそのような探査機にとって調査に値しないから?
 ・宇宙人がそのような探査機を送り出さないから?

無人の自己増殖型探査機は、生命体を載せた宇宙船よりも広範囲に到達するでしょう。 しかし、移民や通信が不可能なほど遠くを探査する意味はないでしょうし、 無限に増える非生命システムを宇宙に解き放つのは、宇宙の物理的破壊に繋がるかもしれず、 知性ある宇宙人は避けるべきと判断するでしょう。

または、無限増殖による破滅を生じないよう安全装置が組込まれ、探査機の到達距離には制約が生じ、 結果として移民船と同様の到達限界が(スケールが大きくなっただけで)存在し、 前回のシミュレーションに似た未踏査の空隙を生ずるでしょう。地球はその空隙の中にいるのかもしれません。

宇宙人のモラルを人間の基準で一義的に決めてしまうのは乱暴でしょう。 宇宙人の中には敢えてそのような無限自己増殖の探査機を飛ばす種が発生するかもしれません。

しかし現在我々の周辺にそのような探査機が発見されていないのは、上の解釈ののいずれかが正しいのかも知れません。従って、探査機が未だ発見されないことが宇宙人が全く存在しないという結論にはならないでしょう。

次は、移民船も探査機も来ないとしても、何故何も聞こえないのかを考えます。

宇宙関係の画像は、NASA公開のものを使わせていただいています。

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