生命の誕生と進化に関し僕が読んだ本です。最初に参考文献を紹介しましたのは、
一冊の解説書だけに拠ったものではないこと、また、ご意見を頂くときの参考になればと思ったからです。
「面白いほどよく判る進化論の不思議と謎」という簡易解説書では「猿は何故人間に進化しなかったのか」という問題に対して、
「サルは人間という高みを目指して進化しているわけではない」、「サルとヒトは分類上別の系統を歩んでいる。
それは交差しないという前提に立って進化や分類は考えられている」としています。
これは正しい記述でしょうし、著者の方はよく判っておられるのでしょうが、
これでは、「サルとヒトは別の方向へ進化した」という現象を述べているだけで、説明になっていません。
一旦発生した生物が環境によって「進化」することはダーウィンが明らかにし、今でも尊重されています。
しかし、根本となる生命はどうやって発生し、複雑多様な生物構造が出来たのかは、適者生存だけで説明するのは難しいでしょう。
ダーウィン自身も、種の進化とは別に「化学的進化」があったのではないかと考えていました。
参考書には、全ての出発点であるダーウィンの「種の起源」が欠かせません。
この本は書名を知っている人と実際に読んだ人の比が最も大きい一冊でしょう。幸いリーキーの解説の入った最新版が読めました。
進化の要因については、ベストセラーになったグールドの「ワンダフルライフ」と、
ドーキンスの「盲目の時計職人」が異なる二つの見方を述べています。
二人には沢山著書がありますが、「ドーキンスV.S.グールド」、
「ダーウィンウォーズ」や、エルドリッジの
「ウルトラダーウィニスト達へ」で二人の主張の差が詳しく説明されています。
実際に複雑な目の構造がどうやって進化により形成されたか、また環境によりどのように手足の進化退化が生じたかは、
パーカーの「目の誕生」、ジンマーの
「水辺で起きた大進化」が参考になりますし、元来生物は自然に発生し複雑化する性質を備えている、
というカウフマンの「自己組織化と進化の論理」も面白いです。
地球に生命が誕生してから人間が生まれるまでの進化の歴史は、フォーティは
「生命40億年全史」で、ドーキンスは
「祖先の物語」で逆に人間から生命誕生へと、詳しく説明しています。
生物が人間のような知的生命体に進化するためには、どんな環境条件が必要であったかは、
ウェッブが「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由」で可能性を列挙しています。
進化は適者生存とは無関係な偶然の変異によっても生ずるという木村資生の
「分子進化の中立説」もありますが、これは難しくて読めませんでした。
それでも、それでも・・・ 何故アブの翅は2枚なの? 何故ナミアゲハとキアゲハの模様は違うの?
何故全ての生物のコドン(DNA暗号)は同じなの? 宇宙人がいたら、そのコドンは地球人と同じ?
僕はその答はひとつのような気がするのですが、まだここでは尚早でしょう。
さあ、それでは、果てのない進化論のパラドックスの世界へ・・・
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