キリンの首が長くなったのは高い木の葉を食べやすいから、というのなら、何故他の動物も皆首が長くならなかった?
退化した羽が何の役にも立っていないのなら、進化の途中でまだ飛べない羽を持っていることが、何故有利だった?
お腹の皮がたるんだリスは、どうしてそれが滑空に役立つことに気が付いた?
これらは「サルは何故人間に進化しないのか」と同様、進化論に対する素朴疑問のひとつでしょう。
ダーウィンはこれら―このままの形ではありませんが―に対し、丁寧に回答しています。
競争による進化は、狩るものと狩られる側の間でも起こるし、同じ種族の中でも起こるので、
キリンの首はキリン仲間だけの間の競争の結果であり、シマウマの首を長くする圧力にはならなかったのでしょう。
一旦分岐した進化の枝、例えばシマウマとキリンは交差することはないとされ、
進化は不可逆であるという「ドロの法則」があります。しかし環境が要求すれば、一旦陸に上がった生物が海に戻ることもあり、
人間が再び毛で覆われるようになることもあるでしょう。
進化途中の羽と、退化した羽は同じではないのです。進化の初期には羽は手足としての機能を維持したままだったでしょう。
羽の役割が増加するにつれ、手足の機能が退化していったと思われます。しかし羽が退化するときには、失った手足の機能は戻ってはこないのです。
不荷逆だということは、一旦離れてしまった変異がまた接近するには、
混ぜたトランプが最初の並びに戻るような確率的困難がある、ということでしょうか。
シマウマはキリンになる、サルは人間になるチャンスを逃しているのでしょう。
将来、環境変化によりシマウマの首が伸び、サルの惑星が出来る可能性は、完全にゼロではないでしょう。
しかし変異は「徐々に」かつ「隣接領域に限って」生ずるので、「突然変異」といっても本当にランダムに生ずるのではなく、
人間の背中に翼が生えてくることはまずないでしょう。変異の方向と程度には制約と限度があるようです。
何故、同じように飛ぶ機能を強化したハチの翅は4枚で、アブの翅は2枚なのかは、まだ僕はよく判りません。
これから少しずつ取り組んで行きます。皆様のご意見をお待ちしています。
進化と退化
ここでは機能が増加する方向を進化、減少するのを退化としていますが、どちらも進化論で扱う「進化」です。進化の頂点がヒトなのではなく、ヒトを目指すことが進化でもありません。
「サルがヒトになるチャンスを逃がした」と書きましたが、その反対もあるので「ヒトは鳥になるチャンスを逃がした」のですし、
サルはヒトに「なりたがっている」などということはないでしょう。
「進化の圧力」とは、生物を変化させる何らかの要因であり、ダーウィンも、自然選択は重要だが、
唯一のものではないことも確信している、と言っています。ではそれ以外には何が・・・
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