進化の圧力と速度

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何故キリンの首はもっと長くならないの? また何故中間の首の長さのキリンやスーパーサウルスの化石が見つからないのでしょう?

首が長くなりすぎると欠点もあります。高い位置の脳まで血液を押し上げるには強力なポンプが必要ですし、 水を吸い上げるのも大変です。長くなりすぎたキリンは、立ちくらみや心臓病に悩まされたかもしれません。 実際はキリンには立ちくらみ防止機構がありますが、限界はあるでしょう。

一旦特定の方向に変異が始まると限度まで行く速度はかなり速いので、首が中間の長さのキリンや首長竜は実際にいたのでしょうが、 その化石はほとんど残らなかったのでしょう。

ダーウィンは家畜や園芸品種について、放射線などで遺伝子を直接弄らなくても、 人間が意図的に選択するだけで短期間で改良改質されることを進化の証拠としてあげていました。 その当時既に、煤煙により黒い蛾の方が目立たないので近郷の蛾が黒くなっていたことをダーウィンが知っていたら、 大変喜んだと思います。(R・田中君、汚れて黒くなったのではないです)

ダーウィンが研究したフィンチ(ガラパゴスの鳥)は、その後も綿密な研究が続けられており、気候の変動により、 1人の研究者の観察期間内に身体や嘴の大きさが変化することが観察されました。 トウモロコシの油分が多いものと少ないものを意図的に選別することで、20世代の内に油の含有量を3倍にすることが出来ました。

前回、進化は「徐々に」生ずるとしましたが、これは変化の程度についてであり、 時間的には個々の進化は数億年の生物の歴史から見れば「瞬間的」とも言っていいほど短期間に起こり得るので、 種として安定するまでの期間はかなり短く、同一種の中で進化の途中の「中間型」を観察できる機会は非常に少なく、 これが「首の短いキリン」が見られない理由でしょう。

但し、地域や環境別に種として安定しているものについては、フィンチその他の変種の多い生物を見れば、 様々な段階の異なる進化の結果を見ることが出来ます。


今回のキリンを我が家のバアに見せたら、「まあ、太ったキリン」・・・
まさかとは思いますが、本物はこれです。


Wikipedia: Giraffe standing

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