結合特性

目次へ次へ



雪の結晶はSnowCrystals.comのお許しを得て使用しました。
論文、出来る過程の動画、2cmを超える結晶等が見られます。

雪の結晶はコップ、鼓、六角板など様々な形があり、針のように六角でないものもあります。
しかし複雑な樹枝状を作るときは6角形が基本となるようです。

雪の結晶は、初期の生物、放散虫の形と似ているとも言えるでしょう。雪を構成する水の分子には何も複雑な機能はありません。しかし、六方の基本構造を持つ、という単純な水の分子の特性だけで、環境によりこれだけ多種多様な結晶が出来るということは、組み合わさった分子の特性から様々な生物が出来ることと似ていませんか?

血液の中のヘモグロビン分子は、20種類のアミノ酸が146個集まって作られています。そのアミノ酸の組み合わせ方は10の190乗通りあるそうです。もしランダムな組み合わせから偶然ヘモグロビンが出来るのを待っていたら、宇宙誕生以来の130億年では全然足りません。

進化論に対する反論のひとつとして、生物の眼のような複雑精緻な構造が、偶然による変異で生み出されるのは、ガラクタ置き場をハリケーンが襲い、偶然ジャンボジェットが出来てしまうより難しい、と言われることがあります。

それは、水の分子を出鱈目に積み重ねているうちに偶然美しい雪の結晶が生まれるのを待つのと同じです。上図のような複雑なものは、分子をランダムに組み合わせていては決して出来上がらないでしょう。しかし雪の結晶は現実に存在します。

美しい雪の結晶は「突然変異、淘汰と進化」により出来るのではないでしょう。水の分子が持っている特性と、気象条件による必然的なものであり、いろいろな形があるとはいっても、「偶然に」動物の顔や我が家の家紋が出てくることはありません。

では、多種多様ではあるが統一のとれた美しい雪の結晶が生まれるために水が持っていなければならない最低限の特性とは何でしょう。それは、生命が誕生するために原子分子が持っていた特性に共通する考え方かもしれません。

雪の結晶が温度と湿度によってどう変化するか、六角や樹枝形がどのような原理で作られるのかは論文も出ていますが、美しい複雑多様なバリエーションが生ずる仕組みは、まだ完全には解明されていないようです。生命創発の複雑な過程が判明するのは、いつのことか・・・

目次へ次へ