新しい生命

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左は噴出す水。右は最初の細胞、原始リボソームの模型(群馬県立自然史博物館)


DNAから元の生物を再現することは将来可能になるかも知れませんが、全く新しいDNAを作ることで新しい生命、新しい生物が出来るのでしょうか?

カウフマンは、ATGCによるDNAが唯一の生命機構ではないだろうと示唆しています。 科学技術振興事業団ではATGC以外の人工塩基対を創生してDNA鎖を作成し、生物が使っていないアミノ酸を結合させ、 人工タンパク質の合成に成功したそうです。自己複製能力を持つ、ATGC以外のシステムが可能なら、 それを基本として全く異なる「生命」が進化するかもしれません。

生命は、ゼリー状の塊の中か、濃い原始スープの中か、海底火山の熱水の中かで、 原子分子の持つ基本特性によって必然的に生まれ、自己組織化により自然に複雑化して行ったのでしょう。 しかし、その基本特性とは何で、どよのうに作用したのかについては、これまで様々な仮説が上げられていますが、 本当のところはまだ謎のままのようです。

その謎が解ければ、地球で発生したDNAシステムが生命として必然的に出現する唯一のものなのか、 他の宇宙で生命が誕生しても、地球で発生したのと同じDNA暗号システムが生まれるのかどうかが判るでしょう。

雪の結晶から生命の誕生へと考えてきたこの路は、現在は未開の原野の手前で行き止まりのようです。 このページでは、生命の誕生は宇宙にたった一度だけ起きた偶然ではなく、原子分子の持つ特性による必然であり、 他の宇宙で生命が誕生してもそれは地球と同じDNAシステムになるのではないか、という推論で留めておきます。


雪道を独り歩いていったキツネ。巣晴らしい十勝の自然の頁、
山と海の辺 から、お許しを得て使わせていただきました。

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