雪が降る条件

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右は最初の生命形態、バクテリアが堆積したストロマトライト(群馬県立自然史博物館)
左は僕の車のルーフに出来始めた霜です。

生命は起こりそうもない反応によって生まれ、それは莫大な時間があったからだ、という考えは弱くなりました。。 現在の主流は、生命の起源は十分起こりそうな、効率のよい化学反応が積み重なったものだが、 その道筋がまだ見つかっていないだけだ、ということのようです。

生命は地球の誕生後間もなく発生しました。原始地球の環境は宇宙の中では珍しくはないでしょうし、 誕生までの時間が短かったことから、生命誕生の確率は高いのかもしれません。

しかし生命の誕生は早かったのに、生物が進化し始めるまでには30億年という時間を要しました。 これは進化の原動力となる変異が非常に起こりにくかったということではなく、生物が進化するための環境条件が揃わなかったとも考えられます。

水には雪の結晶を作る特性が備わっており、自然に見事な結晶が出来ます。しかし雪が出来るには冬にならねばならず、 南の島には、いつまで待っても雪は降りません。30億年は、進化の条件が揃うのを待つ時間だったのでしょう。

生命はかなり容易に誕生するので、おそらく火星でも、太陽系の他の惑星や衛星でも、ある時期には同じように誕生したでしょう。 それは酸素と水素が結びついて水を産むのと同じ必然だったかもしれません。 しかし水が複雑な雪の結晶を作る条件はなかなか揃わないのと同様、生命が生物として進化する条件は地球では ごく最近になって整ったもののようです。


これまで、「生命」と「生物」を使い分けてきました。

「生命」の定義の中で最も簡単なのは、カウフマンの「進化的・自己複製的な分子システム」でしょう。 この定義により最初に誕生したのはRNA(リボ核酸)だとする説があります。 RNAは今もDNAからのタンパク質合成指令の仲立ちとして活動しています。

「生物」は一般には「生命活動を示すもの」ですが、「外界と内部を区別する膜を有する」という定義もあり、 RNAを「生物」と呼ぶには抵抗があるので、僕は生命活動がある規模になり原始生命体として細菌の形を取った段階からを 「生物」と呼びたいと思います。

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