熱力学の第四法則?

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宇宙粒子観測器内部(国立科学博物館)と
ハッブル望遠鏡で見た渦巻銀河中心部(NASA)

物理で、乱雑さを示す状態量として「エントロピー」を教わりました。熱力学の第二法則により秩序は徐々に壊れ、最後は均一な混合物で終わる、宇宙は「熱的死」に向かっているというのですが、それはちょっと変では?

異なる気体を入れた二つの容器を一つにすれば、気体は次第に混じり合い、やがて均一な混合気になるでしょう。分子が自然に集まり、あちこちでリーダーの下に集会を開いたりはしません。

しかし、ビッグバンによって均一な状態から始まった宇宙は、そのままの状態には留まりませんでした。ごく僅かの密度の不均一を出発点として銀河が作られ、星々が作られ、そして生命が誕生しました。

これは校庭一杯に雑然と走り回っていた生徒たちが、あちこちで集まって遊戯を始めたようなものです。最初は水素とエネルギーだけしかなかった単純な気体から、超複雑な銀河や生命が自然に生まれてくるのです。

これらの局所的な複雑化は、他の場所でのエントロピーの増加で賄われており、全体としては均一な混合物へと向かっている、というのでは十分な説明になっていません。均一な混合物は、ほんの僅かの不均一の種があれば、また局部的に集まって星々を作り始めてしまう不安定な状態なのです。

カウフマンは「自然は複雑さを好む」とし、熱力学には第四法則があるのではないかと示唆しています。均一状態が局部的に複雑系を生ずるのは、現在の物質が持っている必然の特性であり、その過程のひとつとして生命が、生物が、そして人間が誕生したのでしょう。

やっと生命の誕生まではパラドックスの輪から抜け出ることが出来そうです。次は進化のパラドックスそのものへ・・・


熱力学の法則は以前にも上げましたが、以下のようなものです。

第一法則: エネルギーは創生されず保存される。
第二法則: エントロピーは常に増大する。
第三法則: 絶対零度ではエントロピーがゼロであり、従って到達できない。
第四法則: ?自然は複雑性を好む?

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