進化と多様化

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左はナミアゲハ、右はキアゲハ。
前翅の3本筋がはっきりしているのがナミアゲハです。


生命の誕生は原子分子の持つ特性による必然の結果だ、という推論になりました。

次の疑問は、何故生物にはこんなに種類が多いのか、ということです。生命の本質が自己複製能力を持ち、最も複製が行われやすいものが増えてゆくことであるなら、何故生物はバクテリアの段階で留まらなかったのでしょう?

進化の推進力は自然淘汰、「軍拡競争」だという説があります。しかし、それだけでは進化の全てを説明することは出来ないでしょう。敗者は淘汰されていったのなら、何故今でも、シーラカンスやカブトガニが残っているのでしょうか?

それぞれがニッチを見つけて安定しているとしても、何故現在でも生命の主体はバクテリアなのでしょう? バクテリアは、他の生物が進化していった後に残る方が有利であるというのなら、進化するか、残るかを決めた「淘汰圧力」とは何?

軍拡競争による淘汰圧力だけでは、現在の生物の多様性は説明できないでしょう。 何故ナミアゲハとキアゲハは翅の模様を変えて別種になる必要があった?  なぜ同じように狩もし蜜も漁るアブとハチの翅が2枚と4枚で違うのか? ご意見、お待ちしています!


進化の過程には、軍拡競争や淘汰圧力とは独立した、気まぐれなランダムさも含まれているのでしょう。 進化の過程では、有利でも不利でもない中立なものも生じ、それも遺伝してゆくものと考えられます。

グールドは、「生物には適応形態でもなければ生き残りを促進させることとは無関係な特徴がいくらでもある」と言っています。 進化論のパラドックスの多くは「進化は全て突然変異と淘汰による」と誤解してしまうことから生ずるようです。

こちらの合成画は、 左半分がオオスズメバチ、右がナガヒラタアブ。

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