【CHAPTER2−02】



→ 草園 →  アルーアの私室 →  草園 →  養花場 →  アルーアの私室 →

→ 草園 →  大聖堂中庭 →



《草園》

セス
 「アルーア!」

 「よかった。無事再生できたのですね」

アルーア
 セス司祭

 私にマインドという力の
 存在と、そしてその使い方を
 教えてくれた人…

 まだおさない頃、

 感情の高ぶるまま
 暴走をはじめるマインドに
 なすすべもなく
 おびえていた私に

 …決して幻などではない。
 その証拠に、
 ボクの目にも見えているよ

 それは、君の思念なんだ…

 そういって、
 落ちつかせてくれたのだ

 もちろん、
 彼自身、強力なマインド使い
 でもある

 まるで脳手術のように
 精密にマインドを制御し

 記憶に傷一つ残さず思念を
 破壊してしまうその力に
 およぶ者は…

 私たちシスターズの中にも
 まだ誰もいない

セス
 「それにしても、あれだけのダメージから
 これだけの短期間で回復してしまうとは」

 「さすがは教皇がその力を見こんだだけのこと
 はある…」

 「ボイス司祭たち、根源派の司祭たちはあなた
 の容態について、いろいろとささやきあってい
 たようですが…」

 「私は信じてましたよ。
 あのアルーアがこれくらいのことで死ぬはずが
 ない、とね」

 「まあ、私自身、そんなヤワなきたえ方を
 した覚えはないし…」

 「もっとも、これほど早く退院できるとは思い
 ませんでしたけどね」

アルーア
 いつも変わらない…

 激しい破壊衝動を帯びた
 マインドを単なる思念に
 戻してしまう…

 静かに落ち着いた眼差し…

 いまは審問官を引退し、
 この草園の管理を
 任されているけど…

 まだその心から
 かつての審問官としての誇りは
 消え失せてはいないはずだ

セス
 「まあ、しばらくは無理をせず…
 ゆっくりとすればいい」

 「教えたでしょう?
 マインドとはある意味分裂した自我とも言える」

 「彼らを制御するには、まず自らを完全に制御
 できるようにならなければならない、と」

 「焦りは禁物ですよ、アルーア。
 時には十分な休養も必要です」

 「ああ、それと…」

 「今度ミッションが発令されたら
 私のところまで来てください」

 「君に、伝えておきたいことがあります…」

 「まあ、それ以外に何かわからないことや
 聞きたいことがあればいつでも来てください」

 「私はこの草園にいますから…」


セス
 「ああ、アルーア…。どうしました?
 何か聞きたいことでも?」

 『  マインドについて
   セントラルについて
     教会について
  ちょっと話しかけただけ』


 (※『マインドについて』を選択した場合)

 『マインドの特徴について
  マインドの能力について
  マインドの管理について』


 (※『マインドの特徴について』を選択した場合)

 『属性について
  相性について』

セス
 (※『属性について』を選択した場合)

 「思念的な生命体であるマインドは、それぞれ
 決まった感情属性をもっています」

 「それはにわかれ、彼らの行動
 パターンを決定しているのです」

 「のマインドはその激しい情動エネルギーから
 攻撃力に優れています

 「のマインドはそのゆたかな情動特性から、
 高いヒーリング能力を誇ります

 「のマインドはその情動反射性能の高さから、
 敵の思念状態を変化させる力を持ち…」

 「そしてのマインドはその特殊な情動スペクト
 ルによってさまざまな特殊攻撃をあやつります

 「…確かに激しい怒りは怨属性のマインドに力
 を与え、その結果強力な思念攻撃力を放つこと
 ができますが…」

 「それだけではやがてこちらの思念パターンを
 見切られ、やがては敵に精神核への侵入を許し
 てしまうこととなるでしょう」

 「優れたマインド使いはすべての感情を制御し
 使い分けなければなりません」

 「マインド使いである以上、たとえ怒りであろ
 うと、それは冷静な判断のもとに発せられなけ
 ればならないのです…」

セス
 (※『相性について』を選択した場合)

 「という、マインドたちの持つ
 四つの属性…」

 「それらはすべて、ある相関関係のもとに関連
 付けられており、それぞれに得意もしくは苦手
 とする属性が存在します」

 「たとえば愛に強い死に弱く

 「また死に強い怨には弱く

 「そして怨に強い愛には弱い
 …という風にね」

 「ただしだけは、特殊な情動スペクトルを持
 つため、他の属性との関連性を持ちません」

 「…つまり、どの属性に対しても強くもなく弱
 くもない、と言うわけです」

 「マインドを発動し、そのアビリティを使用す
 る時は必ずこのことを忘れずに、念頭において
 おくのですよ、アルーア」

 「あなたの思念をいたずらに消費したくなけれ
 ばね…」


 (※『マインドの能力について』を選択した場合)

 『マインドシールドについて
     開放について   』

セス
 (※『マインドシールドについて』を選択した場合)

 「思念戦闘を行う場合は、つねにできるだけ
 多くのマインドを具象化させなさい」

 「彼らは思念攻撃のオプションとしてだけでは
 なく、あなたの精神核を防護するシールドとし
 て機能します」

 「彼らの数が多ければ多いほど、そして彼ら自
 体の思念防御が強力であればあるほど…」

 「マインドシールドはその効果を発揮します。
 ただその逆もしかり…」

 「敵の思念攻撃によってマインドを失ったり、
 あなたの能力がまだ、強力なマインドを具象化
 するに至っていない場合…」

 「あなたの精神核はそれだけ敵の前にむき出し
 となっているのです」

 「充分注意しなさい。アルーア」

セス
 (※『開放について』を選択した場合)

 「マインドは独立した一個の生命体であると同
 時に、あなた自身の思念でもあります」

 「それだけに、その生死には充分慎重でなけれ
 ばなりません」

 「…しかし、あまりにも巨大な思念攻撃力を持
 つ相手を敵とした時…」

 「なすすべもなく思念を破壊される前に打つこ
 とのできる最後の手段があります。それが…」

 「マインドの開放です」

 「これはマインド使いの能力が高ければ高いほ
 どその威力を増し、敵の精神に多大なダメージ
 を与える
ことができます。しかし…」

 「マインドの開放にはいくつかの制限と…
 それにともなう大きなデメリットがあることを
 忘れてはなりません」

 「まず…
 具象化したマインドを開放することはできない
 いうこと」

 「開放とはすなわち、強烈な思念エネルギーを
 一気に解き放つということです」

 「…だから、その場合マインドは具象化する前の
 思念体の状態でなければなりません」

 「つまり…
 開放の対象となるのはメモリに存在するマイ
 ンドのみであり、フィールドに展開されたマイン
 ドを開放することはできない
のです」

 「そして次に…
 開放されたマインドは、その全情動エネルギー
 を使い果たして、破壊されてしまう
ということ」

 「何らかの回復手段をもたない限り、そのマイ
 ンドを思念戦闘に展開することは不可能となり
 ます」

 「…このように、開放には多大な制限とデメリ
 ットがともないます」

 「ですから、マインドの開放はあくまでも最後
 の手段
と考えてください」

 「できれば、使わないにこしたことはありません」

 「何度もいうように、マインドはあなた自身で
 もあるのですからね、アルーア」


 (※『マインドの管理について』を選択した場合)

 『 マインドの具象化について
  マインドの存在領域について
      回復について   』

セス
 (※『マインドの具象化について』を選択した場合)

 「マインドがいったい何であるのか?
 それはいまだ解明しきれていない謎です」

 「現状でわかているのは、私たちのよう
 な特殊な資質をもつ者だけが、その存在を知覚
 し、制御することができるということ…」

 「そして、マインドが思念物質という二つの
 相を持つ存在である、ということです」

 「マインドは通常、術者の思念の一部として存
 在しています。まるで単なる想い出や、心配事
 のように、心のかたすみにね…」

 「しかし、ひとたび術者によって想起されると
 それは独自の意思をもつ生命体として具象化し
 思念的な行使力を持つのです」

 「その存在特性は、ある意味に似ている、と
 言う者もいます」

 「運動中、光は質量を持たない波動として存在
 しますが、一方停止状態では質量を持つ物質と
 して存在する…」

 「その、物質世界とエネルギー的世界のエッジ
 を行き来する様がマインドを思わせるのだと…」

 「確かに、マインドとは…
 精神世界という深い暗闇にともる、おぼろげな
 光のようなものかも知れませんね」

セス
 (※『マインドの存在領域について』を選択した場合)

 「マインドは通常我々の記憶組織の中に思念体
 として存在します」

 「そして我々が彼らの力を必要とし、具象化さ
 せた場合、マインドは物質世界に出現します」

 「我らマインド使いはマインドを具象化させる
 実空間をフィールドと呼び…」

 「そして彼らを具象化させる前、もしくは具象
 化を解いて思念体に戻すための記憶内の領域を
 メモリと呼んでいます」

 「…また、マインド使いが記憶のバックアップ
 を取るための人工的な記憶領域がありますが、
 それはバンクと呼ばれています」

 「マインドを育て、そして自らもマインド使い
 として成長するためには、この三つの記憶領域
 をたくみに使いこなさなければなりません」

 「本来バンクには解理院の脳調整ユニットから
 アクセスしますが、私たちのようにつねに戦場
 にある身には、そうも言っていられません」

 「…そこで私たちはブレイン・フラッシャー
 使います」

 「これは民生用の脳調整ユニットに過ぎません
 が、それでもバンクへのアクセスが可能で…」

 「また、我らマインド使いにとってはそれ以上
 の使い方をすることもできます」

 「もしまだ行ったことがないのなら、ぜひ一度
 行ってみてください」

 「このセントラル教会領では確か、バザールを
 越えたスラムに一台、設置されています」

セス
 (※『回復について』を選択した場合)

 「思念的生命体であるマインドはあなたの記憶
 組織の内部に生息しています」

 「だから、彼らを具象化させて思念戦闘に放ち
 その結果ダメージを受けた場合でも…」

 「ただちに具象化を解き、記憶組織内―つまり
 メモリ内に戻せば生命力や思念力はもとより、
 ほとんどの思念状態異常は回復
させることがで
 きます」

 「マインドは流れる水のように扱うこと。
 …つまり、状況に合わせてマインドの具象化を
 あやつることが、思念戦闘では重要なカギにな
 るのです」

 「わかりましたね、アルーア」

セス
 (※『セントラルについて』を選択した場合)

 「このセントラルは大きく3つのエリアにわか
 れています」

 「まずはこのセントラル教会領
 我らが大いなる家たる教会があり、セントラル
 の中枢といえます」

 「そしてミナミ・セントラル
 大戦前に存在した旧セントラルの面影をもっと
 も色濃く残した場所です」

 「もっとも栄えていますが、それだけに悪徳も
 強く、はびこっています」

 「神の道を見失った人々を救うべく、我ら教会
 もこれまでに多くの司祭を送り込んではいます
 が…残念ながら、うまくいっていません」

 「あと、尼崎ブレイクタウンですが…」

 「ここは古くからの重工業地帯として数多くの
 自動工場が設置され…」

 「崩壊後の世界の再生に大きな役割を果たして
 きましたが、ようやく復興が落ち着きはじめた
 いま、その必要性はうすれ、急速に衰退しよう
 としています」

 「…ただ立地的、また工場長に大きな自治権を
 与えていることなどから…
 厳密な意味でセントラルとは言えませんがね」

 「最近ではクリーチャーの出現も多く、第一級
 危険地帯に指定される日もそう遠くはないでし
 ょう」

 「このセントラルにおいて、我らが守るべきエ
 リアは以上です。…その他のエリアに関しては
 我らが関わるべきではない」

 「それは、教会が最早神の光を届けることは不
 可能と判断した汚れの地ですからね」

セス
 (※『教会について』を選択した場合)

 「我らが大いなる家、教会。
 それはあの愚かしき大戦によって崩壊した世界
 を再生さえるべく神がもたらされた文明
 の浄化システム
です」

 「大戦後まもなく、オルデラ教皇を中心とする
 最高頭脳群によって設立され、いまや失われた
 世界秩序を急速に再生しつつあります」

 「新東京をはじめとする近隣のコミューンの侵
 攻は、ひとえに神の加護を一身に受ける、我ら
 教会の威光をおそれてのことでしょう…

セス
 (※『ちょっと話しかけただけ』を選択した場合)

 「ここでこうして草花の手入れをしていると、
 やはり彼らにも思念があるのだ、と思うことが
 あります」

 「彼らにも喜びや恐怖があり、そしてそれを誰
 かに訴え、わかち合いたがっているのだ、と…」

 「私たちと、同じようにね」



《アルーアの私室》

アルーア
 休養といわれても…
 別にすることもないわ

 それにしても、あの
 ヴィ・ラザフォードという男…
 気になる

 あの廃墟のような場所で
 行われていた実験の数々…

 あの男はまるで神を気取って
 でもいるかのようだった

 アンドロイドに心を持たせ
 そして、死者の蘇生さえも…

 どれをとっても
 恐るべき背徳の行いだ

 まあ、あそこにあった実験機器
 や記録はもう分析に回されて
 いるだろうから…

 やがて正式なリポートが
 発表されるのを待った方がいい
 だろう






アルーア
 ずいぶん溜まったものね

 この子たちの中に
 こめられた思念…

 それに呼びかけられて
 ガレキや石の下から
 拾い上げているうちに…

 いつの間にか
 こんなに集まってしまった

 遠い過去の
 もう本人さえ存在していない
 記憶の残り香に過ぎないけど…

 何よりも
 誰よりも私をなぐさめ
 元気づけてくれる…







 あそぼうよ
 見て! こんなに大きいよ
 いじわるしないでよぅ
 大丈夫
 泣かなくてもいいよ
 ゆっくりおやすみなさい
 ゆっくり
 ゆっくりね



アルーア
 やわらかな陽射しが
 入って来る

 外には誰もいない

 この辺りは人通りが
 ほとんどないから、
 ありがたい

 いきなり飛び込んでくる
 誰かの思念に

 心をわずらわされなくて
 すむもの



アルーア
 周囲に漂う思念…
 場所にとどこおった思念…

 そして
 心の底に渦巻いている
 私以外の思念…

 いつも誰かが目覚め
 私の心を
 揺り動かしつづける

 深い眠りにおちいる前に
 誰かの思念が
 私の心をノックする

 深い眠りなど
 マインド使いには永遠に
 手に入らないのだろうか…

 一度でいい

 何にも…誰にも邪魔されず
 ただ、眠りたい



《草園》


セス
 (※私室でガラクタを調べた後、
 『ちょっと話しかけただけ』を選択した場合)

 「あのクセはまだ治っていないのですか?
 アルーア…」

 「古い思念の染みついたガラクタ…
 君はそれをとても大切に拾い集めていた」

 「シスターズのみんなは想い出集めと呼んで
 おかしがっていたけど」

 「君にとってそれは、自分自身の想い出を
 拾い集めるような、そんな思いなのでしょう?」

 「私にはわかりますよ。
 教会に生まれた私たちには、幼い頃の想い
 出など、ありませんからね」



《養花場》

ボイス
 (※私室に戻った後)

 「おいっ!」

 「ふん、もう治ったのか、アルーア?
 さすがに悪運だけは強いようだな? え?」

アルーア
 彼は司祭ボイス

 マインドを
 神理から外れた能力と
 決めつけ

 私たちのような
 マインド使いを
 教会から排除しようと企む…

 根源派の中心的存在だ

 高位司祭クラスの深層思念を
 読むのは禁じられているから
 くわしくはわからないが…

 教会内に根源派の司祭は
 かなりいるらしい

 私にとっては
 どうでもいいことだけど…

ボイス
 「最近この神聖なる教会領でも、何かと物騒な
 騒ぎが起こるようになった」

 「まったく嘆かわしいこと…。
 それもこれも、うぬらのような罰当たりどもが
 大きな顔で教会内をうろついているからだ」

 「我らが神は人の心をのぞき見するような、
 そんなゲスな力をお授けにはならん!
 絶対にな!!」

 「心の底から悔い改めよ!
 そしてワシらと会ったら通路の端へどけ!」

 「そうでもせんとこの神の怒りは解けん!!
 わかったな!?」



ボイス
 (※ボイスに会った後)

 「まったく、うぬらは師弟そろってとんでもな
 いのう!」

 「あのセスめ、審問官をクビになって畑仕事に
 回され、やれやれと思ったのもつかの間…」

 「いまだに教皇様は、何かと奴を頼りにされて
 いるご様子だ」

 「あのようなヤセ馬に、いったいどんな用途が
 あるかは知らぬが…」

 「身のほど知らずにもほどがある、まったく」

 「…もしや、あ奴…」

 「あの汚らわしいマインドを使って教皇様を
 かどわかしているのではあるまいな!?」

 「…っと! こ、これは失言。
 教皇様に対してなんと恐れ多い…」

 「け、決して、誰にも言うでないぞっ!!」



《アルーアの私室》

アルーア
 (※ボイスに会った後)

 データデッキが起動した

 何か連絡が入ったんだ…
 確認しないと…







 (※ボイスに会った後)

 一件のメールがあります

 休養中まことに申し訳ないが
 ミッションを依頼したい。
 至急中央ホワイエまで来られたし。
 _____________ラーベン



《草園》


セス
 (※依頼のメールを読んだ後、
 『ちょっと話しかけただけ』を選択した場合)

 「…何か、歪んだ思念の流れを感じませんか?
 アルーア…」

 「それも教会を…セントラル全体をおおい包む
 ような…」

 「ただの、気のせいならばいいのですが」



《大聖堂中庭》





使い子
 (※依頼のメールを読んだ後)

 「あ、アルーア様
 ラーベン大司教様がお呼びです」

 「あの…その…
 中央ホワイエまで来られるように、と…」

アルーア
 震えている…

 私が、
 怖いのだろうか?

 まあ…
 特にめずらしい訳じゃない

 あの根源派はもとより
 異端審問官や
 シスターズをのぞく
 ほとんどの司祭や信徒は

 私に対して
 怖れか蔑みの念をもっている

 ある意味、
 私もこの子ら使い子と
 同じようなものだ

 あまりにも
 教会に染まりすぎて

 逆に異端視される…



《CHAPTER2−03》



或る記録の残滓