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所在地:和泉市葛ノ葉町
最寄駅:JR阪和線「北信太」駅南側の踏切を渡り、西へ約100m
左手方向に入る、すぐ |
信太森神社(葛葉稲荷神社)の縁起は708年(和銅元年)元明天皇がこの森の鎮座する大神を奉り、祭事を行ったのを創起としているが、1796年(寛政8年)に発行された『和泉名所図会』には、「信太杜稲荷社」のことを、『社伝、旧記なく、只老楠(千枝楠)のみありて‥‥』と記しており、当時も稲荷祠、白狐祠があったにすぎない。神社として体裁が整ったのはかなり時代が下ってからのことと思われる。
とはいえ、信太の森は古くから都に聞こえた名所で、清少納言の『枕草子』に見え、『新古今和歌集』の和泉式部と赤染衛門の贈答歌などが有名である。
しかし、なんといってもこの神社を有名にしているのは安部保名と白狐にまつわる『葛の葉伝説』であろう。昨今の安倍清明のブームに乗って、訪れる人が多いと見え、社務所には色々な「清明グッズ」が置いてあった。
神社で頂いたパンフレットには、この出来事は朱雀天皇(在位:930~46年)の御代のことしている。
ただ、この説話が広く世間に流布したのは1734年(享保19年)に初演された竹田出雲の浄瑠璃『蘆屋道満大内鑑』に取り入れられてからであり、この話は室町末期にはやった説教節の「信太妻」がネタ元になったといわれている。
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[参考資料] 『泉州信太森 葛葉稲荷由緒』 信太森葛葉稲荷社パンフレット
『日本歴史地名体系』(大阪府の地名編) 平凡社 |
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信太森神社入口の鳥居。境内そのものが森を形成している。 |
信太森神社本殿。
祭神は宇迦御魂神、大己貴神、大宮姫命、素盞男命、
猿田彦命、若宮葛乃葉姫の6神を祀る。
本殿奥には白狐(葛の葉姫)が身を写した石と伝わる『白狐石』と葛の葉姫が保名の許から帰ってきたとき石に化したと伝わる『御霊石』が安置されている。
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姿見の井戸。白狐が葛の葉姫に化身した時、姿を映したといわれる井戸。覘いてみたが、普通の井戸だった。 |
楠大明神に入口にある有名な歌碑が建てられている。
『恋しくは訪ね来て見よ和泉なる 信太の森のうらみ葛の葉』 |
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楠大明神。ご神体の楠は和泉市の指定天然記念物。
花山天皇(在位:984~6年)が熊野詣の折、「信太千枝の樟」と命名。一名夫婦楠とも呼ばれる。樹齢2千年としているが、実際は700年前後と見られので、花山天皇が見た楠は先代の楠かもしれない。 |
姿見の井戸の横に聳える?「白狐化身の木」。
元はここに大木があったのかどうか不明だか、この木は樹齢せいぜい20年前後か、何かこじつけの感があり、説得力に欠ける。 |
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表側は和泉式部の歌碑。 |
裏面は赤染衛門の歌と解説文。 |
新古今集には信太森と葛の葉を詠んだ赤染衛門と和泉式部の贈答歌が載せられている。
『移ろはで しばし信太の森を見よ かへりもぞする葛の裏風』 赤染衛門
『秋風は凄く吹くけど葛の葉の恨み顔にはみえじとぞ思う』 和泉式部
この歌は和泉式部が夫の橘道貞(和泉国司)と仲たがいをした時、赤染衛門は歌を贈って慰めたという。 |
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所在地:和泉市王子町
信太森神社から東へ約400M行ったところに鎮座。 |
旧府(ふるふ)神社は信太森神社の境外摂社。 |
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鳥居の奥の拝殿は近年建替えられている。
旧殿からは「寛政11年」(1799年)の棟札が見つかったとのことである。 |
境内に祀られている「白狐化石」。
葛の葉伝説では狩人に追われた白狐がこの石の後ろに隠れたとも、あるいはこの石に化したとも言われる。 |
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[2006年7月29日参拝] |
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