泡の量7対3のウソ
よくビールの本や雑誌の特集なんかで「美味しいビールの注ぎ方」と称して、以下のやり方が紹介されている。
「最初は緩やかに注ぎ、徐々に勢いをつけながら、泡を持ち上げるようにして最後は液体と泡との比率が7対3になるように注ぎましょう」
とかいうやつ。これ、実に多く見る記述で、ホント困ったシロモノである。
開けたてのビールでこれを実践すると、注がれたビールの炭酸ガスが殆ど逃げず、かなりの炭酸を含んだビールとなってしまう。なぜなら前項で述べたようにビールの炭酸は最後まで気が抜けないように強めに入っているからだ。
こうしたビールをグイグイと流し込むと、胃の中で大量に炭酸ガスが発生、結果的にすぐ腹が張ってしまうということになる訳だ。
「ビールはすぐに腹が張る」「ビールは最初の一杯だけ」という誤った認識は、こういう勘違いから発生しているのである。
もともと液体と泡との比率7対3というのは、見てくれの問題だけであって、美味しいビールの条件でもなんでもない。業務用で客に出す場合(この方法は別項にて)ならいざ知らず、自分で美味しく飲みたいのならばこんな比率にこだわるのはナンセンスというものである。
しかもこの泡、立てると立てないとでは味が変わってくる(詳細は次項にて)のだから、あだおろそかに考えてはいけない。