p H と 苺 栽 培

<翻訳>                                            
更新日:2009年5月25日 


 昭和55年から2年間、香川・岡山両県のイチゴ栽培を指導しました。その時の土壌分析と写真を比較して閲覧できるようにしました。 生育状態は採土した時点の写真です。比較をしやすいように土壌pHが低い順に掲載しました。ただ、この写真には日付の記録がありません。時期的には2番果か3番果の収穫時期の3月の2日間に亘って撮影したものです。栽培の指針になれば幸いだと思います。


〔1〕 pH:6.18香川県 : T・K 農園 )

単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
   pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
T・K農園 6.18 0.97 3.40 224.51 41.26 241.31 28.22 0.25
     写真−@
栽培状況の遠視。なり疲れも無く順調に生育。
     写真−A
生育状況。この時期でも葉に露がついているのが判る。


〔2〕 pH:6.40 ( 香川県 : T.N 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
過   剰    4.2 35 58.2 75.1 380.8 36   
極 限 量    2〜3 40 60 80 400 40   
T・N 農園 6.40 1.42 15.00 306.65 ★80.81 361.97 60.48 0.18
      写真−B 
栽培状況の遠視。
PHが6.40の場合は部分的に多少なり疲れが認められた。特に加里大過剰の為か、他の6.4の圃場に比べてもかなり成長が悪いのが判る。
     写真−C 
生育状況


〔3〕 pH:6.42 ( 岡山県 : Go 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
Go 農園 6.42 1.00 9.33 423.29 45.62 346.54 49.39   
     写真−D 
栽培状況の遠視。PHが6.42の場合は部分的に多少なり疲れが認められた。しかしながら、土壌の管理が良く、土壌は柔らかく根の伸張具合も良い。更に、ほど良い位の水分管理ができており、力のある趨勢だった。
     写真−E 
生育状況


〔4〕 pH:6.53 ( 香川県 : Y・M-@ 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
Y・M-@ 農園 6.53 1.13 7.20 224.51 63.57 312.86 25.2 0.14
     写真−F 
栽培状況の遠視。PHは6.53、部分的に多少なり疲れが認められた。
     写真−G 
生育状況


〔5〕 pH:6.67 ( 香川県 : Ter. 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
    pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
過   剰    4.2 35 58.2 75.1 380.8 36   
極 限 量    2〜3 40 60 80 400 40   
Te 農園 6.67 1.00 15.20 240.94 59.35 ★498.06 41.32 0.08
     写真−H 
栽培状況の遠視。PHが6.67の場合は部分的に多少なり疲れが認められた。石灰大過剰。
     写真−I 
生育状況


〔6〕 pH:6.74 ( 香川県 : S・O 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
S・O 農園 6.74 1.18 3.26 109.52 46.68 319.88 29.23 0.31
     写真−J 
栽培状況の遠視。PHが6.74の場合は部分的に多少なり疲れが認められた。
     写真−K 
生育状況


〔7〕 pH:6.81 ( 香川県 : Tak. 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
Tak. 農園 6.81 0.96 11.20 371.27 55.13 392.84 57.45 0
     写真−L 
栽培状況の遠視。PH6.81。写真では明確に様子が伺えないが、かなり疲れている。
     写真−M 
生育状況


〔8〕 pH:6.97 ( 香川県 : Y・K-A 農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
過   剰    4.2 35 58.2 75.1 380.8 36   
極 限 量    2〜3 40 60 80 400 40   
Y・M-A 農園 6.97 1.25 11.73 273.80 51.96 ★505.08 34.27 0.11
     写真−N 
栽培状況の遠視。PHが6.97では、全体に相当のなり疲れが認められた。石灰の大過剰。
     写真−O 
生育状況


〔9〕 pH:7.02 ( 岡山県 : Tak.農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
Ta 農園 7.02 1.29 9.80 451.77 58.29 371.79 73.58 0
     写真−P 
栽培状況の遠視。PHが7.02は、一面にアルカリ障害が認められた。7.0前後からアルカリ障害が多く目立つ。
     写真−Q 
生育状況


〔10〕 pH:7.07 ( 岡山県 : Tub.農園 )
単位 mg/乾土100g(≒kg/10a)
  pH
(KCl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P2O5)
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
標 準 土 壌 約6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7
Tub.農園 7.07 1.22 14.54 334.03 53.18 373.19 45.36 0
     写真−R 
栽培状況の遠視。PHが7.07では、更に悪い。一面にアルカリ障害が認められる。
     写真−S 
生育状況


『所見』 写真の仕上がり具合見てみると[9][10]は論外に悪いですが、一見[1]〜[6]は何とかうまく栽培しているように見えます。 ここが素人写真の悲しさで、今のデジタルなら写真映りが悪いかどうかその場で確認でき、再シャッターということですが、昔は現像ができあがるまで確認ができませんでした。そこで大変言い訳がましいようですが、注釈として当時の見受けた感じの説明でご容赦願いたいと思います。

[1]のT・K農園はこの時期でもまだ十分に余力がありました。次に良かったのは[3]のGo農園で、この方は元普及員をされていたと言うだけあって、さすがにうまく栽培されていました。(T・K農園の翌年収穫時の施肥データー)

問題は[2]T・N農園で加里が過剰になっている分だけ、他より悪かったことです。石灰過剰の[5]Ter.農園も悪かったです。何れにしろ、pH(kcl)が6.8以上になると、殆ど収穫できない状態で、出来ても加工用といったところです。pH6.4〜6.7は、なり疲れが少し治まれば、また収穫を期待できると感じたことを記憶しています。




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