無料カウンター  植 物 体 内 の 酸 と ア ル カ リ の 平 衡 

  植 物 体 内 の 酸 と ア ル カ リ の 平 衡 

<翻訳>                                                      更新日:2009年11月20日 

 I n d e x
1. 肥料成分は土壌中で水に溶解してイオン状態となり、この状態で根から吸収されていく .
2. イオンの吸収と体内平衡 .
3. 酸とアルカリ平衡と肥料 .



1.肥料成分は土壌中で水に溶解してイオン状態となり、この状態で根から吸収されていく。

    硝酸加里   KNO      → K + NO
    硫  安    (NHSO  → 2NH + SO
    硝  安    NHNO    → NH + NO

   陽イオン(カチオン) ・・・ 主として金属元素からなり(+)に帯電している。 ・・・・・ K,Ca+,Mg+,Fe+ ・・・ (H
   陰イオン(アニオン) ・・・ 主として非金属元素からなり(−)に帯電している。 ・・・ NO,SO−,K ・・・・・・・ (OH

植物はこれらを肥料として与えられた場合、(肥料)塩としてのイオンを吸収するが、

  陽イオンのみを吸収した場合、植物は(+)に帯電し
  陰イオンのみを吸収すると(−)に帯電する

ことになる筈であるが、実際にはこのようなことは生理上あり得ず、(+)の陽イオンを吸収する時は必ずその電荷を打ち消す(−)の陰イオンをも吸収している(その逆も同じことが言える)。

    このような作用を酸とアルカリの平衡ともいう。

 故に与える肥料成分は(+)イオン、(−)イオンが等価に近く、しかも(+)イオン、(−)イオンの電荷を打ち消すような状態にあることが
 望ましい。


2.イオンの吸収と体内平衡

植物が硝酸などの陰イオンを多量に吸収して、その体内のイオン平衡が(−)側に傾き始めると、同じようにKやCa2+やMg2+のような陽イオン物質も吸収し始め、 植物は体内のイオンを平衡に保とうとする。また、(−)イオンを吸収した時、(+)イオンが(−)イオンに相当する量に達しない場合には、 解離した水(HO → H+OH)のHイオンを吸収して体内平衡を維持をしようとする。 (+)イオンを吸収してこの(+)イオンに相当する(−)イオンが不足する時はOHのイオンを吸収する。

つまり、植物の体内ではそれぞれが独立した作用ではなく、相互的に調和を保ちながら正常な代謝作用を行っているのである。


3.酸とアルカリ平衡と肥料

 (1) 養液栽培の培養液(園試処方)

  表−@ 薬品を溶解すれば、イオンの数はこのようになります。                        (単位:me)
 
硝酸カリウム
808(810)g
硝酸カルシウム
944(950)g
硫酸マグネシウム
492(500)g
リン酸1アンモン
152(155)g
合  計
NO−N
16
Ca
Mg
        
  表−A 1me中の成分元素の含有量は・・・・
薬 品 名
硝酸カルシウム
硝酸カリウム
硫酸マグネシウム
リン酸1アンモン
化 学 式
Ca(NO・4H
KNO
MgSO・7H
NH(HPO
分 子 量
236
101
246
115
m.mho
(ミリモー)
NO : 2mm
Ca+ : 1mm
NO : 1mm
   : 1mm
−  : 1mm
Mg+  : 1mm
−  : 1mm
NH : 1mm


  表−B 培養液1トン当りでは・・・
投薬量/1000L当り
944(950)g
808(810)g
492(500)g
152(155)g
m.mho
(ミリモー)
NO : 8mm
Ca+ : 4mm
NO : 8mm
   : 8mm
−   : 2mm
Mg+  : 2mm
−  : 1.3mm
NH : 1.3mm


  ここで、mmとmeの関係は1価の元素では全く対等であるものの、2価の元素では1mmは2meとなる。例えば硝酸カルシウム
  は1個のCa+に2個のNOが結合をしている。

    (−)イオン       (NO)       (S−)     (P−)
               ( 8  +  8 )   +   2   +   1.3   =   19.3mm 

    (+)イオン    (K)    (Ca+)   (Mg+)   (NH−N
                8   +   4   +   2   +   1.3   =   15.3mm

         (−)イオン19.3 > (+)イオン15.3  →  約PH6.2 

  通常、植物に与えるNO−Nの濃度は16mmよりも12mmの方で良好な生育を得ている。
  硝酸加里と硝酸カルシウムだけで追肥をした場合、NO−Nを12mm以上とするにはKは8mm、Ca+は2mm以上の濃度となるが、
  ここで16mm養液の追肥をした場合でも、その中のNO−Nイオン(16−12=4mm)は栽培中に素早く吸収されて自然に平衡されて
  いく。(栽培期間中の養液分析の実際のNO−Nを参照 <22日間のデータによるとNO−NはCaの約3.4倍の吸収量である>)

  (−)イオン : 19.3mm − ( NO−N 8mm + 8mm −12mm ) = 15.3mm

  (+)イオン : 15.3mm

         (−)イオン15.3 > (+)イオン15.3  →  約PH7.0 ( pHが上昇していく大きな要因 ) 

  となり(−)イオンと(+)イオンは等価となりながら、イオンは平衡されていく。
  このイオンの平衡過程19.3mm(pH7.0)→15.3mm(pH6.2)の中で栽培をする事が望ましい。
  このイオン平衡が礫、水耕栽培において良好な生育が得られる要因でもある。

   注)培養液のpHが6.8になった時点でその降下処理をしただけでその処理は完了したと思いがちだが、本来はpHが上昇してきたと言う
     事はイオンのバランスが壊れてきたと言うシグナルであるということも言える。このような場合本来なら、培養液分析をして成分の調整を
     すべきで、それでもpHが下がらない場合は硫酸か硝酸を用いて6.0迄下げるようにすべきである。


 (2) 米沢農研液肥 NO.9 (果菜用)         
  表−C 1me中の成分元素の含有量は・・・・
薬 品 名 硝酸カリウム 尿 素 硫 安 リン酸1アンモン
化 学 式 KNO CO(NH (NHSO NH(HPO
分 子 量 101 60 132 115
m.mho
(ミリモー)
NO :  1mm
   :  1mm
CO    : 1mm
NH−N: 2mm
−    : 1mm
NH−N: 2mm
−  :  1mm
NH :  1mm


  表−D 培養液1トン当りでは・・・
投薬量/1000L当り 硝酸カリウム
1100g
尿 素
165g
硫 安
230g
リン酸1アンモン
225g
m.mho
(ミリモー)
NO : 10.9mm
   : 10.9mm
CO : 2.75mm
NH−N:5.5mm
    ( 2.75 × 2 )
−  :  1.7mm
NH−N:3.4mm
    ( 1.7 × 2 )
−  : 1.95mm
NH−N:1.95mm


    (−)イオン  :   ( NO )    ( CO )    ( S− )   ( P− )
                  10.9   +  2.75  +  1.7  +  1.95  =  17.3mm 

    (+)イオン  :     ( K )    ( NH−N )         ( NH−N
                  10.9    +   5.5     +    ( 3.4  +  1.95 )  =  21.75mm

    (+)イオン21.75mm、(ー)イオン17.3mm となって、 (+)イオンの方が(ー)イオンに比べ4.45mm多くなっている。
      これではイオン平衡とは言えないが、土壌のpHを中性化し

        NH−N → NH−N → NO−N と変化して行くので

       土壌中で自然に(+)イオンと(−)イオンは平衡して行く。


= 完 =




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