2008年度の露地ブドウ栽培もほぼ終盤になって来ました。
来年度に向けた果木の状態の確認や今年の反省点などの意見を交換する為、9月12日と13日に臨時会と長野・中野・須坂地区に於いての現地視察検討会を行ないました。
巨峰に代えて、今年からは甲斐乙女を栽培している園地が本格的な成木になってきており、その出荷が目前になって来ました。 また、きのこの栽培農家は夏場の収入減を補正する為に、昨年から巨峰栽培に取り組もうとする前向きな例もあります。合わせて報告をします。
写真−@ 撮影:’08. 9. 13 |
写真−A 撮影:’08. 9. 13 |
品種:巨峰。 出荷直前の様子。毎年このように安定した成り具合(5〜6トン)です。裏作などという言葉がありますが、そのようなことを感じさせる様子はありません。 唯一、この園地の欠点は気流が停滞する所が部分的にあり、それを改善する為に今年は棚の下に換気扇(▼印)を据付けて、昼間の空気を攪拌するようにしました。 その結果、対流が良くなって色付きも良くなりました。 |
写真−B 撮影:’06. 9. 12 |
写真−C 撮影:’06. 9. 12 |
一昨年(’06年)の収穫直前の様子。 一昨年は9.375房で1房が0.8Kgあったと聞いているので、そのまま計算をすると7.500Kg/10aとなります。 (上と比較するために掲載しました) |
写真−D 撮影:’08. 9. 13 |
写真−E 撮影:’08. 9. 13 |
品種:紫玉 この場所は昨年まで着色の良くなかった範囲部分ですが、今年は換気扇の稼動で程良く着色しています。 |
房の形、玉の締まりや揃い具合など上々です。 糖度も20%と計測されました。葉の色も良く、チャンと立ち上がり、欠乏の部分が見当たりません。 |
写真−F 撮影:’08. 9. 13 |
写真−G 撮影:’08. 9. 13 |
品種:甲斐乙女(無核) 試食しましたが、香りも良く上品なブドウで申し分ありませんでした。 |
この品種を種無しにするには大変な困難が伴いますが、試食をしてみたところ完全に無核化していました。 |
写真−H 撮影:’08. 9. 13 |
写真−I 撮影:’08. 9. 13 |
糖度は採りたての状態で計測して17〜18%を示していましたので、最終的には多分20%くらいまでは進んでいくものと予想できます。 | 早速、東京市場からバイヤーが視察に来られて、それを試食し、絶賛して帰られたとの報告がありましたので後日には商談になっていくと思います。 |
写真−J 撮影:’08. 9. 13 |
写真−K 撮影:’08. 9. 13 |
この地区の灌水に使う水のPHは年中7.0〜7.2を示しています。
この農家はこのような装置でいつも6.2〜6.5付近まで水の調整をして散水しています。(液肥の混入も兼用) 赤色系統の品種は鉄分を多く要求するので今年は微量要素をたっぷり与えたと言っていました。 幸いにも、昨年度の豊穣会々長賞としてグリーンアップ(微量要素)を100リットル、賞品として貰ったため、今年はそれを思う存分に使ったと言っていました。 |
この農家がきのこ栽培農家です。まだ経験不足ですが、2年前に借り受けた圃場です。貸す方も中々良い圃場は貸してくれません。
借り受けた最初の年は根が張ってなくて、木がグラグラしていました。それからすると大分良くなってきましたが、まだいけません。 大事にするのは良いのですが、根の周りに枯れた葉や藁を置いて養生したつもりでしょうが・・・・ |
写真−L 撮影:’08. 9. 13 |
写真−M 撮影:’08. 9. 13 |
このように、根元の腐食化が大分進んでいるようです。
石灰などを入れたとは言いながらまだ痩せた圃場です。過湿とアンモニアの害で・・・・・・ (時期的にはきのこが立ってくる頃です) |
根の生え際の部分を手で掃除していくと、その根際の部分が段々細くなって行き・・・・、このように腐敗しているのが確認できました。 困った事になってしまいました。 |
写真−N 撮影:’08. 9. 13 |
写真−O 撮影:’08. 9. 13 |
このように微量要素(Mn)欠乏が至る所に見られます。 |
袋を開けてみると・・・ 着色具合も当然の事、良くありません。 |
写真−P 撮影:’08. 9. 13 |
写真−Q 撮影:’08. 9. 13 |
果には硼素欠乏の傷があり、玉も不揃いです。 |
このように栄養が行き渡らず、力の弱い玉は腐敗してしまいます。これが晩腐病と言われるものです。直接の原因はB欠乏ですが、
その要因としては根際の腐敗から始まり色々な面での管理不足があります。 この秋肥には土壌分析をして不足栄養素を把握してしっかり土作りをする事です。そして、生の有機物を圃場に入れることは絶対にいけません。 |