現場主義を貫く
初当選から六期にわたり、市議会議員として活動してきた、私の議員活動の考え方を述べてみたいと思います。
それは、初当選した時の約束どおり、徹底して「市民が主役」「市民の生活の場」を原点とした活動を心がけてきたことです。
議会で質問や要望事項をまとめるときは、必ず現地・現場に足を運び、市民の意見や実態を自分で確認してきました。必要によっては、県や国の機関に出かけて調査し、裏づけをしっかりとって改善を要求し、具体的な要望を行いました。そうした根拠があるから、行政も真剣に受け止めてくれました。もちろん予算上の制約もあるので一度に解決できないこともありますが、言いっぱなしではなく、何度もチェックして実行を迫ることで、市当局にもきちんと対応して頂いています。
弱い者の立場を第一に
第二に心がけてきたことは、社会的に弱いもの、ハンディーをもつ人たちへの思いやりです。人は誰でも高齢になり、病気にもなります。身体が不自由になることもあります。そうした、社会的弱者も含めて、誰もが「健康で文化的な生活」をする権利があり、行政はそれを支える役割があります。これが憲法二十五条の「生存権の保障」です。
誰もが、人間らしく生きることが保障される社会をつくることが、私の議員活動の最大の目標です。
第三は、人間の命をはぐくむ自然と環境の保護です。水と空気は、人間の生命の源です。しかし、個人や事業者の勝手な行動が続けば環境は汚染され破壊され、人間の健康も脅かされます。河川・湖水の浄化、海岸の侵食防止、アカウミガメの保護、ダイオキシンやアスベスト飛散のチェック、石綿水道管の更新、食べものの安全など、私が取り上げた環境問題は、これからも引きつづき点検が必要だと考えています。
いのち育む環境と平和
合併で大きくなった浜松市には、広範な森林資源があり、きれいな空気と水の供給地となっていますが、こうした森林環境の維持もこれからの課題です。都市近郷の農地も、良好な環境を作るために役立っています。遊休農地の活用も含めて、農家が自立できるよう取り組んでいきたいと思います。
市民の暮らしの安心と安らぎのためには、何よりも平和が保障されなくてはなりません。先の太平洋戦争では、浜松市は米軍による二七回の空襲にさらされ、五千数百人にのぼる死傷者を出しました。その教訓から、武力や戦争は決して人間の生命を守らないと、私は考えています。「非核平和都市宣言」の制定にも取り組んできましたが、ぜひ実現したい課題です。
私は「浜松市憲法を守る会」の役員として、毎月第二日曜日の「護憲行進」を続けてきましたが、昨年は五百回を超えました。日本の誇る平和憲法(第九条)を世界に広げたいものです。
市民が主役のまちづくりを
巨大合併によってできた政令指定都市では、地方自治のありかたが大きく問われることになります。まちづくりの基本は、市民が主役である「自治区」が大きな役割をもつべきだと考えます。
例えば南区は、農地の比率が中心部より高く、地産地消活動で地元農家と消費者が協力しあう仕組みづくりも必要だと思います。
合併の目標であった地域の多様性を生かす「クラスター型」(ぶどうの房のような)から、「ひとつの浜松」へと方向転換が進むなかで、「市民が主役」から「行政が主役」に変わっていくことを心配しています。旧自治体単位の「地域協議会」の存続を強く訴えてきたのは、そうした懸念からです。
私がこだわり続けた問題のひとつは、情報公開です。「市民が主役」であるためには、行政がガラス張りであることが必要です。納税者こそが主権者である、ということからすれば、当然のことです。そのひとつは、私が取り上げた「官官接待」の実態公開と、廃止要求でした。特定の権力によって、税の使い道が左右されてはなりません。そのためには、しっかりした情報公開が必要だと、私は考えています。
市民に支えられ、鍛えられて
私が議会で最初に質問したのは、高齢者の移動入浴サービスについてでした。当時一ヶ月に一回だけのサービスを増やしてほしいという多くの要望があったからです。私は入浴車に乗せていただいたて、実態を調べました。月一回の入浴を指折り数えて待ち望んでいたお年寄りと家族の気持ちが、痛いほど分かりました。
最初の質問から一〇年かかって、やっと週一回の入浴サービスが実現しました。このときのお年寄りの笑顔は、忘れられません。こうした市民の笑顔に支えられて、くじけずに頑張ってこれたと思っています。
また、かつての、遠州浜団地の学童保育指導員の経験から、放課後児童会の充実についても、ことあるごとに訴えてきました。とくに、夏休み期間中は、平均一二時間、午後に限って開かれるだけなので、共働きが増える中で、全期間の開設は切実な要求でした。
お母さん方の強い要望がみのり、現在では夏休みは二五日終日開かれるようになり、冬休み、春休みの開設も実現しました。
こうした、生活の現場から、私の活動を支え、鍛えて頂いたことに感謝しています。
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