いかさま賽

目次へ次へ



左は群馬県立自然史博物館にある、ユーリ・ミラーの生命物質誕生実験装置のレプリカです。

サイコロを投げて、続けて1が100回出る確率は非常に小さいでしょう。またコインをランダムに混ぜていて、 全部表を上にして積み重なる可能性も小さいでしょう。

しかし、サイコロがいかさまで、必ず1が出るようにしてあったら? コインの裏と表にマジックテープが付けてあり、 必ず表と裏がくっつくようになっていたら? 

上右はマグネット式の碁石ですが、自然に繋がって長い鎖状になります。アミノ酸も自然に繋がってタンパク質を作るので、 その繋がり方はランダムではなく、何か法則があると考えられませんか?

生物が使用するアミノ酸は20種類あり地球の全生物に共通です。上のミラーの実験では地球の原始大気(と当時思われていた混合気体) に火花を飛ばすことで、アミノ酸が出来ました。 出来たアミノ酸は既存の20種の中のもの(グリシン、アラニン、バリン、アスパラギン酸)でした。

以前こちらで紹介した美しい雪の結晶は全て6角が基本で、 5角や7角の雪はありません。同様に、生物が利用するアミノ酸の種類は最初から限られているのかもしれません。


水の分子H2Oでは、酸素と水素が結合する角度が約110度で安定しており、多くの分子が集まって結晶を作るときは それぞれ120度の角度で平面上に繋がり、これが6角形の美しい結晶を作る基本になっています。何故120度になるかは、 原子の周りを回る電子の軌道の特性によるようです。他の宇宙でも水素と酸素の原子の構造が同じである限り、 5角や7角の雪の結晶は出来ないでしょう。

美しい雪の結晶が原子の構造に由来するのなら、アミノ酸が出来るのも分子原子に備わった基本特性によるのかもしれません。 そしてタンパク質や生命が出来るのも・・・ ドーキンスやカウフマンが主張する自己組織化には、 雪の結晶が出来る仕組みに共通するものがあるでしょう。生命の誕生は鉱物の結晶からだという説もあります。

目次へ次へ