杉山ドクターの『認知症と自動車運転』という記事がありましたので紹介します。

1.運転にこだわる認知症の人の気持ちを理解する

  • 生活や仕事に必須であるのに、運転できないことは生活や仕事が成り立たなくなる。
  • 運転能力の低下を指摘されることは、自分の人間性も否定されているように感じる
  • 交通事故など起こしたことはないし、運転には自信がある
  • 警察などから言われるのは仕方がないが、身内から言われるのはたまらない
  • しかし、一方で運転に関して不安がある
  • 車に乗るのは楽しい。まだまだ楽しみたい。

2.自動車の運転をやめさせるための工夫

  • 本人が自発的に運転をやめるようになればもっとも望ましい
  • 家族から、運転の仕方や事故への不安をさりげなく話してみる
  • 認知症が進行しても社会的権威に対する信頼性は持っていることが多いので、これを利用する医師、目上の人、「運転免許制度が変わって、高齢者は運転免許が更新できなくなった」など
  • 介護者が言ったのがダメであれば、息子、娘などから話す
  • 車を故障させる(バッテリーをあげる)、修理に出す、キーを見つからないようにするなど
  • 車を傷つけるなどの接触事故を起こした時、運転していて本人も不安に思ったときなどに運転をあきらめるように話す
  • 「物忘れの薬を服用している人が事故を起こしたら、自動車賠償責任から賠償金が払われなくなったので、起こしたら賠償金が払えないので大変」などと話す
  • 車への執着を認めた上で、家族が助手席に乗る、家族が運転して本人を助手席に乗せるなど、ある程度本人も満足できるようにする

☆島根県内でも片道2車線の道路や自動車専用道路を逆走、ということが見られるようになりました。公共交通機関の少ない地区では家族が認知症と分かっていても、家族が横に乗り、指示して外出や買い物に出かけ『仕方がないんですよ、乗り物がないんですから』と言われることを聞くようになりました。各市町村でもいろんな策を考えられていますが、十分ではありませんし、制限もあります。

 70歳以上の方は自動車教習所で高齢者講習終了証明書の発行のためにテストを受けることになっていますが、自動車教習所の方に聞くと中には『今日の日時も分からない方もおられ、点数が悪くても更新の手続きができるのでとても心配だ』と言われました。なかなか難しいことですが、家族・本人とも事故の被害者にも加害者にもならないようにしなければと思います。

 介護のなかでは口にできないこともあれば嬉しいこともあります。何よりも嬉しいことは、本人がにこっとしてくれたときでしょうか。介護がうまくいったときです。もちろん失敗もたくさんです。でもその失敗は次の成功につながるものです。私たちはそうした情報を「家族の集い」でも交換しあっています。介護は心が大切です。でも技術も大切。

 介護知恵袋1 洗濯機で紙パンツを洗っちゃった

 さあ、大変!! 塩を入れてすすぎをしてください。おしっこを吸収して固まったポリマーが、塩を入れることにより、元の液体に戻ります。そのまま排水して一件落着!!(愛知県支部会報より)

介護知恵袋2 家族が困る事の一つに、本人が示す「こだわり」

 Aさんは義母さんが示す一つにトイレットペーパーへの執着に困っていました。既に発症前からあった部屋の中にその山があったそうですが、発症後一層進行していったようです。入所した施設では特に激しくなったようです。最高で月に8000円の支出にもなりました。勿論トイレが詰まることも再々だったようです。義母さんと施設の間にあって度々苦しい思いをされたようです。説得も無効だし、原因も手立ても解らないことも一層その対応に苦慮することになった訳です。

 しかしそれが一転したのです。義母さんが骨折で入院・退院の後、車椅子の使用から室内のポータブルトイレを使用した時から、長年続いたペーパーへのこだわりが一切無くなったのです。

 Aさんの考えでは、ポータブルに付設されている目の前のペーパーの存在が安心の一因ではないかと言っていました。一応の決着を見たのは良しとしなければなりませんが、介護の中には目に見える解決がつくことが少なくないのも事実です。

介護知恵袋3

 家族の会の相談に、独居や老老家族の多重契約で高価な物品を押しつけられる被害の相談が多くあります。こうした被害は、地域の見守りや協力によっても防ぐことができますが、さらには法的な助力も必要です。市民後見制度がその一つですが、各市町村で展開されようとしています。早い整備が望まれます。

 そしてそのような法的トラブルに遭われた場合には、国が設立した「法テラス島根」という組織を思い出してください。面談や電話により相談内容に応じた制度・手続き・相談窓口を紹介したり、また弁護士・司法書士による法律相談が必要な方が経済的に困っているときには無料法律相談や弁護士費用の立替制度のご案内もできるそうです。

 県内の法テラスは3カ所です。

  • 松江 050ー3383ー5500
  • 浜田 050ー3383ー0026
  • 西郷 050ー3383ー5326