T.有機物とは何か?
化学でいう有機化合物・・・・炭素(C)と他の元素との化合物である。
酸 化 物 : 一酸化炭素=CO, 二酸化炭素(炭酸ガス)=CO2,尿素=CO(NH2)2 など
炭 酸 塩 : 炭酸カルシウム=CaCO3,炭酸ソーダ=Na2CO3 など
シアン化物 : シアン=CN,青酸加里=KCN,石灰窒素=CaCN2 など
但し、上記のような簡単な炭素化合物は無機化合物に分類する。
植物栽培上の有機物
以上のような簡単な化学構造の化合物ではなく、炭素を含有し、他の窒素(N)、酸素(O)、水素(N)、硫黄(S)、 等と複雑な形で結合して、その含有される元素の数も数十、数百、数千以上に及ぶもの。
言い換えれば、動物・植物・微生物まで含んだ、自己自身(自家栄養)、 または他の物体からも栄養を摂取(他家栄養)して代謝を行っている生体そのものか、 または過去において代謝を行っていた生体の残滓もしくは代謝によって対外に排出されたものの総称をいう。
1)植物が太陽のエネルギーでつくる炭水化物 Cn(H2O)n
6CO2+12H2O+光エネルギー → C6H12O6+6O2↑+6H2O
686Kcal ブドウ糖(グルコース)
2)植物が吸収した窒素Nと炭素C、水素H、酸素O、硫黄Sなどによりつくられる18種のアミノ酸
RCH(NH)2・COOH
※我々の身近にあるアミノ酸では、食卓で使う味の素がある、この主成分はL−グルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソ
ーダとも呼ぶ化学式C5H8O4NNa(式量=187.13))
というアミノ酸である。
グルタミン酸[HO2C(CH2)・CH(NH2)・COOH]
のようにアミノ酸は他の分子とも結合して、その果菜の持つ特有の
味を形成している。
3)アミノ酸が縄のように絡み合って多数の分子結合(高分子結合)をした高度な有機化合物の蛋白質
Protein・・・・ギリシャ語で第1のものという意味。
葉緑体の細胞は1個で93万の元素からなる蛋白質が含有されている。
蛋白質の内訳
炭素C・・・50〜55%, 水素H・・・6.5〜7.3%, 酸素O・・・21〜24%,
窒素N・・・15〜18%, 硫黄S
これが、今、問題になっている残留硝酸態窒素である。この場合の処置法として、 一般には窒素の施肥量を少なくする方向にあると承知しているが、私はこの消極的な手法には反対で、 寧ろ、硝酸がアミノ酸やタンパク質に還元する過程の阻害原因を取り払い、 上記物質(硝酸態窒素)がスムーズにアミノ酸に変化をしていくようにする。そのように認識を変えるべきである。
症状・・・身震い、よろめき、呼吸が早くなり虚脱する。 充血、頭痛この症状は体内の消化器官内で亜硝酸化しメタヘモグロビンが生成されるためその様な症状を来す。
最少致死量(M.L.D) 子牛100ポンド=453.6g×100ポンド=45.36Kg
(硝酸加里(KNO3)に換算して25〜30g、
硝酸成分(NO3−N(13.85%)として3.5〜4.1gとなる)
4)脂質
@単純脂質・・・油脂、ロウ
A複合脂質・・・リン脂質、糖脂質、硫黄脂質
B誘導脂質・・・脂肪酸、ステリン、高級アルコール、ビタミン(D・E・K)
U.有機物の分解
1)酵素の関与
生命現象が多種多様であるように、それに伴う物質代謝の経路も複雑多岐にわたっている。それらおのおのの物質代謝は、 何れもその反応に対して特異的に働く酵素の存在によって促進され、あるいは可能にされているのである。 従って酵素は、いわば生命を担っている物質ということもできるもので、その研究は、生化学の最も重要な部分を占めている。
enzyme(英、仏)ferment.diastase(仏)
生細胞内で作られる蛋白質または蛋白質と他の低分子体との複合体であり、これにより生体触媒が行われる。 酵素によって触媒される化学反応を酵素反応と呼び、 生体の化学変化のほとんどすべてがこの反応であり「酵素なしには生命はあり得ない」。
(イ)蛋白質分解酵素
植物は酵素の働きでアミノ酸から蛋白質を作ると共に、出来上がった蛋白質を再び別の酵素で分解していく。
総体的な分解率には2%/時なので、50時間経過すれば分解可能である。
(ロ)ジアスターゼ(アミラーゼ) タカジアスターゼ(商品名)
枯草菌群、糸状菌、穀類の芽生えなどに多い。
でんぷん分解→麦芽糖(αアミラーゼ)
麦芽のジアスターゼ 分子量59.000 至適PH4〜5 石灰(Ca)により活性化。
(ハ)パパイン
パパイヤ、パイナップル等の果肉中に含まれる。
カゼイン水解、蛋白質分解酵素の一種
2)炭素率(C/N比)
炭素÷窒素=10以下で分解をはじめる。
当初のC/N比率は高くても炭水化物、蛋白質、セミセルロース、セルロース等に含有されいる炭素が微生物によって分解され、CO2などになって放出される。そのためC/N比は次第に低くなり、それと共に分解は速くなっていくのが通常である。
3)微生物による分解