4. 土 壌 分 析 の 記 録 

( T・Kat. 農園 )
更新 : 2011年 2月 2日  .

 
圃場 NO.1

 ’08年度
 作物:ハウスいちご(品種 さがほのか)
                                         分析者:中隈水質土壌分析室
単位mg / 乾土100g ( ≒ Kg / 10a )
分 析 日
肥料投入量
酸度
(PH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
追 肥
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7  
’08. 8.14 4.9 5.5 1.9 176.6 28.9 148.2 62.7 0.15 CL:19.2
 55 Kg
 20 〃
200 〃
 20 g
  8.5 8.5    
10.8
  
 
100.0
 
 
 
 
 
2.70
硝  安
硫酸加里
炭酸石灰
微量要素
修正値   14.0 10.4 176.6 39.7 248.2 62.7 2.85  
’09. 2. 7 5.5 9.7 14.2 91.6 24.9 181.8 54.3 0.07 CL:4.1
 20 Kg
 50 〃
280 〃
 20 g
  3.4  3.4    
27.0
 
 
140.0
 
   
 
 
2.70
硝 安
硫酸加里
炭酸石灰
微量要素
修正値   13.1 17.6 91.6 51.9 321.8 54.3 2.77  
腐植・・・少
灌水には井戸水を使用 pH 7.2

 ’09年度  作物:ハウスいちご(品種 さがほのか)
単位mg / 乾土100g ( ≒ Kg / 10a )
分 析 日
肥料投入量
酸度
(PH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
追 肥
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7  
’09. 7.26 5.3 5.0 28.7 90.0 36.1 573.5 14.5 0.30 CL:14.3
 26 Kg
 95 〃
 20 g
        14.0  
15.5


2.70
硫酸加里
硫酸苦土
微量要素
修正値   5.0 28.7 90.0 50.1 573.5 30.0 3.00  
腐植・・・少
石灰が大過剰。この分析値で栽培終了している。しかも、いちごには過剰障害は見当たらず、収量も6トンはあったというので問題はないものと考えられる。

この原因は、土壌採取の方法が間違っていたのではないか?採土の際には圃場をよく耕起して土を撹拌した上で取る事。 (この地方の農家は、最近は不耕起栽培とか言って、畝の部分だけを混ぜ合わせた畝立てで済ませていると言う。)

 写真 @ 撮影:’09年10月16日
佐賀ほのか
  写真 A                撮影:’09年10月16日
佐賀ほのか
          定植後の順調な生育。新芽もきれいな緑色で出てきている。

 ’10年度  作物:ハウスいちご(品種 さがほのか)
(採土日:1月30日)                    単位mg / 乾土100g ( ≒ Kg / 10a )
分 析 日
肥料投入量
酸度
(PH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
追 肥
標準値 6.0〜6.2 2〜3 30 50 50 320 30 2.7  
’11. 2. 1 6.1  0.2  6.2 140.0 18.1 486.8 49.7 0.20 CL:5.0
 70 Kg
 60 〃
 20 g
  11.9 11.9    
32.5
   

2.70
硝 安
硫酸加里
微量要素
修正値   12.1 18.1 140.0 50.6 486.8 49.7 2.90  
腐植・・・微
窒素・加里が欠乏気味。硝安は20・20・30Kgと3回に、硫酸加里は40・20Kgと2回に分けて散布する。 その間隔は10日〜2週間とする。散布後微量要素を入れた用水(pH6.0に調整)で肥料を溶かし込むように散水する。

この有機酸微量要素はクエン酸効果が強く、例えば、養分過剰の圃場でのクエン酸効果は時々葉焼けを来す印部)ことがある。 硝酸態窒素を多く含む硝安では特に注意が必要。(写真@・A・B)そのような理由で、硝安70Kgは追肥としてはリスクが多いので3回に分けて施肥する。

<クエン酸効果による濃度障害>
   写真 @・A 撮影:’11年 1月28日
カーネーションの葉焼け       カーネーションの葉焼け
  写真 B                撮影:’08年 6月16日
ベビーリーフの葉焼け
< カーネーション >
pH(4.8) NH−N(3.5Kg) NO−N(30Kg) (205Kg) O(60.2Kg) CaO(850.5Kg) MgO(79.5Kg)  Fe(0.95Kg)  のような過剰状態にある土壌に有機酸微量要素の1000倍溶液にて潅水した処、濃度の濃い養分を吸収して葉焼けを来したものと思われる。(赤字が過剰)

< ベビーリーフ >
この時の分析データはないが、話に聞けば過剰障害の土壌になっているものと察せられる。 そこに有機酸微量要素1000倍液入りの常備液をかけた処、このように葉焼けを来した。 どうやら、この症状は細胞組織が弱い未完成部に表れるようだ。原因は逆浸透現象と思われる。

 
高設いちご

単位mg / 乾土100g ( ≒ Kg / 10a ) 分析値は%表示にて表示
分 析 日
肥料投入量
酸度
(PH:Kcl)
アンモニア
(NH4-N)
硝酸
(NO3-N)
全リン酸
(P25
加里
(K2O)
石灰
(CaO)
苦土
(MgO)
可給態鉄
(Fe)
追 肥
標準値 6.0〜6.2
@
32
(10.0)
50
(15.63)
50
(15.63)
320
(100.0)
30
(9.38)
2.70
(0.84)
(数値は)窒素
を10とした比
’09. 7.31 6.1 0.58 5.75 0.05 0.24 13.99 0.21 0.21 CL:0.25
  A (10.0) (0.079) (0.379) (22.1) (0.339) (0.331) (0.395)
この高設の培地は、ほぼ全量が腐植である。元肥設計をする為に培地を分析(表示単位は有機物の場合の表示と同じように%としている)したところ、その養分のバランスが大変悪い事が判明した。 特に、この3年間は硝酸石灰を主にして追肥をしてきたので硝酸態窒素の比率が多くなっている事が分かった。ただし、この硝酸態窒素量が成分として多いのか、 或いは石灰分が過少なのかは判断できない部分が多い。

唯、イチゴの成長を見ていると、葉は石灰欠乏が常に現れており、硝酸カルシウムを与えると持ち直す。そのような事の繰り返しである。 このような状況から察すると、窒素は適量だが石灰の量が過少であると断定せざるを得ないのである。 そこで、今年はこの培地のバランスを改善する為に試行錯誤の計算を繰り返しながら散布量を算出し、まずはテストを行う事にした。

窒素分を含ませずにリン酸・加里・石灰・苦土の量を補給しバランスの調整する。その施肥量はベッド1条植えで1メートル当たり、 過燐酸石灰158.3g、硫酸加里48.6g、炭酸苦土石灰55g、硫酸苦土55gとし、それを散布し良く混合した上、とりあえず10mの範囲で定植した。後日、この散布量で問題なかったので本格的に定植をした。

 注) @は標準土壌の窒素値を10として、各成分の比率を割り出した。
     Aは分析値の窒素値を10としたときの百分率。@とAに相当の差(アンバランス)がある。
      この欠乏している要素はこの1年間は皆無ではないが殆ど供給をしていない。結果、このような数値になったもの。

高設いちご(紅ほっぺ)の写真。
  写真 B                撮影:’09年12月12日
紅ほっぺ
  写真 C                撮影:’09年12月12日
紅ほっぺ
紅ほっぺは元気が良い。ほのかと同じように管理しているが、樹勢が強いので気持ちが良い。

これは佐賀ほのか2年株の写真
  写真 D                撮影:’09年10月16日
佐賀ほのか
  写真 E                撮影:’09年10月16日
佐賀ほのか
ここまでは上手く栽培したようだが、この後灌水時のpH処理を間違い(pHの下げすぎ)、調子を悪くして改植したと聞いている。


= 完 =



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