淡水魚飼育をはじめる前の水槽選びやろ過システムなどの基本を紹介しています。
   
 
 

 
Ⅰ.飼育環境をつくる
  • 1.飼育する容器
  • 2.水・・・について
  • 3.水の浄化装置
  • 4.加温装置
  • 5.照明器具
  • 6.底砂
  • 7.便利な飼育用品
Ⅱ.飼育を開始する
  • 1.魚を水槽に入れる
  • 2.魚の鑑賞を楽しむ
  • 3.水槽の管理

Ⅲ.水質について
  • 1.主な物質
  • 2.水質テストキット
Ⅳ.バクテリアの働き
  • 1.バクテリアの働き
  • 2.バクテリアと酸素
 
 
    

Ⅰ.飼育環境をつくる
 
1.飼育する容器(水槽)を決める
  魚類を飼育する為には水槽が不可欠となってくるのですが、どのようなものが良いのか初めは分からないと思います。
そこでそれぞれの特徴をご紹介致しますので参考になさって下さい。

1)水槽の大きさについて
 
 水槽のサイズ  水量
(㍑)
説        明
30cm  約12 流通量が多く持ち運びは楽ですが、小さいと水質の変化が激しく管理が難しいです。
45cm  約35 流通量が多く持ち運びは楽ですが、小さいと水質の変化が激しく管理が難しいです。 
60cm  約55 一般的に多く流通しているホームサイズです。初心者には管理がしやすいと思います。 
90cm  約160 多く流通しているホームサイズです。 
120cm  約200 大きな水槽は価額が上がり、それにお手入れも大変になります。


2)水槽の材質について
 
材  質 メリット  デメリット 
 ガラス ・傷が付き難く 透明感が損なわれにくい。
・小型水槽は様々なデザインが選べる。
・小型水槽の場合、安価で購入できる。
・シリコンの劣化で水漏れの恐れが有る。
・同じサイズの水槽なら アクリルよりかなり重い。
・瞬間的な衝撃に弱く 歪にも弱い。
 アクリル ・衝撃に強く、ガラス水槽と比べ強度が選べる。
・同サイズなら ガラス水槽と比べかなり軽い。
・ガラス水槽に比べ 傷が付きやすい。
・比較的ガラス水槽と比べると高価(小型水槽の場合)。
 プラスチック ・軽くてとても安く手に入れられる。
・繁殖用や病気治療等、一時的使用に便利。 
・沢山飼育するのは難しい。
・保温性が低い。
因みに、私は60cmのガラス水槽から始めました。理由として一番流通していて、ろ過装置等セット価格で安価であった事、水槽を置くスペースとしても妥当であると思ったからです。
しかし、重要なのは飼育する個体がどの程度成長するか?どのような性質(暴れる魚もいますので・・・)なのかを見極めたうえで、水槽を選んで下さい。


3)水槽の置き場所について
  ・水の入った水槽はかなりの重量になり、移動も困難になる為、、予め置き場所を決めておいた方が無難です。
・水槽を置く台は、
重量に耐えうる強度のものをお選びください。
・直射日光の当たる場所は控えた方が無難です。(コケが発生し易くなります)

2.水・・・について
  飼育水は多くの方が、水道水を使われると思います。
水道水には塩素が含まれており、人間には害がないように思われますが、魚にとっては有害で生命を脅かすものとなります。
必ず、
塩素(カルキ)を中和する作業を行ってから使用してください。

  塩素を取り除く方法は、主に下記の二通りがあります。

  ①1~2日間水を汲み置きしておく。(太陽光線に水を当てておくと短時間で塩素が抜けます)

②塩素中和剤(市販されています)を使用する方法。


私の場合は、上記二通りを使い分けています。
通常は①の方法ですが、急に水換えをしなければならない場合(病気が発生した等)は間に合わないので②の方法で水を作ります。 
また、冬場は外気温と室内の水槽温度に大きな差が生じる為、 お湯を使う場合があり②を使用する事もあります。 


3.フィルター(水の浄化装置)について
   当然の事になりますが、魚もエサを食べて排泄をします。そのまま放置しておくと、エサの食べ残しや排泄物が腐敗して、雑菌が繁殖し魚が病気になってしまいます。こまめに水換えをすればいいと思うかもしれませんが、毎日となると大変です。そこで浄化装置(フィルター)が手助けをしてくれます。厳密に言うと、フィルター内のろ材に住み着いたバクテリアが食べ残し、排泄物の有機物を分解し無害な有機塩類に変えてくれます。有機塩類は水草などの植物が栄養として吸収するので、このバランスが良いと水があまり汚れません。

       ( ※
汚れにくいということで、水換えが全く必要ないというわけではないので、気をつけてください。)

フィルターの種類 メ リ ッ ト デ メ リ ッ ト
上部フィルター ・価格が手ごろ。
・手入れが楽。
・水中内に酸素が供給される。
・水槽上部の半分を塞いでしまう。
・酸素が供給される為、水草の成長には向かない。
・水の落下音が多少うるさい。
底面フィルター ・価格が安い。
・砂利が濾過材となるため濾過効果が大きい。
・作動音がうるさい。
・目詰まりすると掃除が大変。
・エアーポンプを使用する為、水草の成長に向かない。
外部フィルター ・作動音がとても静か。
・水槽上部が空く、見た目もすっきりする。
・豊富なアクセサリーを使い水流を自在に出来る。
・本体、アクセサリーが高価である。
・濾材の掃除が面倒。
 水中フィルター ・作動音が静か。
・水槽上部が空いて見た目がすっきりする。
・濾材の掃除が楽。
・濾過容量が小さいので目詰まりし易い。
・小型水槽または補助的にしか使用できない。
上記の全てのフィルターを所有していますが、魚をメインで飼育する場合は、上部フィルターが妥当だと思います。
 理由として、手入れが簡単ですし、酸素を有る程度供給してくれるので、エアレーションを使う必要性が低く、また、魚が二酸化炭素を吐き出すので少々の水草ならば問題なく入れられます。音がうるさいと言っても、外部フィルターと比較しての事になりますし、外部フィルターの場合、酸素の供給が少ない為、酸素を多く必要とする場合は別にエアレーションを設置する必要が出できます。このエアレーションが音を出すので・・・場合によっては外部フィルターを選択する方がうるさくなるかもしれません。
 外部フィルターのデメリットであるろ材の掃除ですが、掃除自体は大したことありませんが、取り外し・取り付けに手間がかかります。ろ材の汚れ具合もパッと確認できないので面倒です。
 使ってみて一番面倒なのが、底面フィルターです。水槽の底にスノコを設置して、その上に砂利をしく構造なので目詰まりすると水槽の中の物を全て取り出して掃除することになります。半年ほど使用しましたが砂利を取り出すのが面倒で、それ以後は押入れの奥底に眠っています。

  ※それぞれに良い面、悪い面がありますので、良く考えて選んでください。

  
上部フィルターの落下音軽減についての巻 でご紹介しています。

   

4.ヒーター(加温装置)について
   人間にとって快適な温度があるのと同じで、飼育する魚にもそれぞれの種類によって温度設定も変わってきます。
飼育する前に飼育したい魚の生態などを調べておくことがベストです。
 ここでは、加温装置について簡単にご説明致します。


1)ヒーターの種類について
   
 ヒーターの種類 説    明 
 オートヒーター ・温度は26度に固定されてるのが一般的です。
・26度以上でもそれ以下にも設定できません。
 ヒーターとサーモスタット
一体型
・一体型は別々のより若干格安。
・ヒーターが故障してしまうと
サーモスタットごと交換しなければなりません。
 ヒーターとサーモスタット
別々型
・温度を調節するサーモスタットが別々の為、どちらかが故障しても故障した方だけ交換できます。 
サーモスタットとは、設定温度にあわせて電流を流す装置です。


2)水槽に対応するヒーターの規格について
 
水槽のサイズ 規    格   ※ヒーターは水中以外では必ず、コンセントを抜いて下さい。 
   爆発する恐れがあります。


  実際に私も、慌てていて爆発させたことがあります。
 取り扱いにはご注意下さい。大惨事になる可能性があります。

 ※水槽の大きさによって、ヒーターの規格が違います。 
  また、ヒーターの規格によってサーモスタットの規格が違ってきますので、
  分からない場合は、お店の人に確認をして下さい。.

注意! 左記は目安です。
     メーカー等によって違いがあるので注意して下さい。   
超小型水槽 50W未満
30cm水槽以下 50W
40cm水槽以下 80W
45cm水槽以下 100W
60cm水槽以下  150W
60×45cm水槽以下  200W
 90cm水槽以以上  400W
 120cm水槽以上  500W~



5.照明器具について
   魚だけを飼育する場合はどうしても必要というわけではありませんが、光合成を行う水草を入れる場合は必要になってきます。 
蛍光灯は15W~30Wまで各サイズの水槽用があります。また、蛍光管が2灯つくタイプは、水草の育成に最適です。
用途に合った照明を選んでください。 

6.底砂(砂利)について
   特になくても魚の飼育に影響はありませんが、水草を入れる場合は欠かせないと思います。
 また、底砂にはバクテリアが住み着くので、水の浄化作用にも役立ちます。
種 類 説   明 性  質
大磯砂 熱帯魚や金魚等に使われることが多い砂です。 水質が弱アルカリ性に傾き易い。
人工サンド ガラス製・プラスチック製・セラミック製など様々です。 水質に影響はない。
ソイル 土から作られており、水草には適している底砂です。
長期間使用すると崩れで泥のようになります。
水質を弱酸性に傾ける性質がある。
サンゴ砂 サンゴを細かく砕いた砂です。 水質をアルカリ性に傾ける。
硬度を高める性質がある。


7.あると便利な飼育用品
 
用  品 使  用  用  途
ピンセット 水草を植える時などに便利です。
網(ネット) 魚の移動や大きなゴミを取るときに便利です。
 スポイト 水槽の底のゴミを吸い上げたり、稚魚にエサを与える時にも使えます。
 バックスクリーン 水槽の後ろに張ると水槽の見栄えがよくなります。
 水槽のフタ 水の蒸発を防ぎ、魚が飛び出さないようにできます。
 コケ取り 水槽のガラス面についたコケを掃除するのに使います。
(定規タイプのものや、マグネットで水槽の外から動かす物などがあります)
 水換えホース 水換えが楽になります。
(水作のプロホース等が使い易いです)



Ⅱ.飼育を開始する
 



1.魚を水槽に入れる
 
 飼育する環境が整ったら、次に魚を水槽に入れるのですが、いきなり魚を水槽に移さないで下さい。
これから移そうとする水槽と今魚が入っている袋の水とは水温や水質が違いますので、いきなり移してしまうと魚が弱ってしまう危険があります。水槽に移す前に、下記の要領で、
水合せを行ってください。

水合せの方法
  ① これから移したい水槽に、魚の入った袋を30分位浮かべます。(水温の調整)

② 30分位経過したら、袋をあけて、水槽の水を少し入れます。
(水質の調整)
   (袋に入れる水の量は、元々袋に入っていた量の1/3位が良いかと思います。)

③ 袋の口を閉めて、10分位の間、水槽に浮かべます。

④ ②と③の作業を2、3回繰り返します。

⑤ 袋をあけて、魚を水槽に移します。
   (寄生虫などが混入する恐れがあるので、袋の水は水槽へ移さない方が良いと思います。)


2.魚の鑑賞を楽しむ
 
鑑賞する際に下記のことに気をつけて下さい。
項  目 詳     細
水温の確認 飼育魚に適している水温か確認してください。
エサ 数分で食べきれる量を与えて下さい。(食べ残しは水質悪化の原因になります)
毎日、同じ時間に同じ量を与えて下さい。
魚の体調 泳ぎ方が変だったり、動かなかったりする時はよく観察してください。
 (病気かもしれません)
ゴミ取り ゴミが浮いていたら、取り除いてください。
(水質悪化の原因になります)
照明 毎日、同じ時間に点灯・消灯して下さい。
 (難しい場合はタイマーを設置すると良いと思います)


3.水槽の管理について
  ろ過装置を使っていても水は日々汚れていきます。定期的な水換えと設備の掃除を行ってください

1)水質悪化の判断
  ① 魚が水面で口をパクパクさせる
  ・水質が悪化し酸素が溶け込みにくい水になると、呼吸が苦しくなり鼻上げ行動をします。
・水面に集まるようになったら、水質が悪化したものだと考えられます。

② 泡が消えにくい
  ・エアーレションやフィルターから出た水の泡が消えにくくなったら、水質が悪化している証拠です。

③ 水の色が濁っている
  ・キレイな水は透明なのですが、水質が悪化すると白く濁ります。
・茶色くなるのは、濾過槽のバクテリアの浄化能力が衰えた事によるものです。

 

2)大掃除
  ① 底砂(砂利)を洗う。
② 器具を洗う。
  ・水槽から器具を取り外して洗う。
・ろ過装置は水で簡単に流すだけにする。
   ※濾過装置には有益なバクテリアがいる為、洗いすぎると浄化能力が弱くなります。
   ※使用する水は、水槽内の水の一部を使うと良いです。(カルキの入った水を使うとバクテリアが死んでしまいます)




Ⅲ.水質について
 
水中には目に見えない物質がたくさんあるのですが、次はそれらの物質について簡単にご説明致します。

1.主な物質

1)  pH(ペーハー) 
  pHとは、0~14の数値で表され、水溶液中のイオン濃度を表す指数で数値により水質が分類されます。
※観賞魚飼育における分類と一般の分類とは多少異なっています。

 水質の分類  一般的pH値  観賞魚飼育におけるpH値 
酸性  1.0~3.0  1.0~6.0 
弱酸性  3.0~6.0  6.0~6.5 
中性  6.0~8.0  6.5~7.5 
弱アルカリ性  8.0~11.0  7.5~8.0 
アルカリ性  11.0~14.0  8.0~14.0 

※飼育する生物によって、pHの適正値も変わってきます。(下記は、だいたいの数値です)

※許容範囲を超えているからといって、大幅なpH変動を起こすと飼育魚がショック死する場合があります。(pHショック)
※個体差にもよりますが、生物には適応能力がありますので、緩やかなpH変化の環境で飼育された場合は少々許容範囲を超えた値であっても飼育はできます。(但し、成長や繁殖に大きな影響を及ぼす恐れがあります。)


 アルカリ性に傾く要因
  ・サンゴや貝(カルシウム類を含む)を入れている。(=炭酸塩硬度(KH)が上がる)
・炭酸塩硬度(KH)が高い
・エアレーションが強い(エアレーションを行うことで、水中の炭酸(二酸化炭素)が抜け易くなる)
・塩を入れている(導電率を上がり、pHが上昇)
・活性炭(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)が溶け出しpHをあげることがある。

 酸性に傾く要因 
  ・硝酸塩、リン酸が多い
・炭酸塩硬度(KH)が低い
・二酸化炭素が多い(二酸化炭素は水に溶けると炭酸に変化し、弱酸性の性質をもつ)
・ソイル類の底砂を敷いている
・硫化水素(水が滞留する所で発生し易い)
・流木を入れている 
 



2)  アンモニア/アンモニウム(NH3/NH4+)  
 
  ●物質の特質
  ・フンやエサの食べ残しによって生じ、猛毒性がある。
pH値7以上で有害なアンモニアに、pH値7以下の弱酸性では毒性の低いアンモニウムイオンに変化する。 
●見た目の変化
  ・アンモニアが蓄積すると水槽の水は白濁する。
・魚の目が白濁する。
・呼吸困難を引き起こす。
・魚が水底で動かなかったりする。
●適正値
  0.25mg/l以下
注意!
 水槽立上げ時にはバクテリアが少なくアンモニアの数値が多少上がりますが、適切な飼育(匹数、エサの量等)をしていれば、徐々にバクテリアが繁殖し分解してくれるのでさして心配することはないと思います。
 
 

 3) 亜硝酸塩(NO2
  ●物質の特質
  ・アンモニアがバクテリア(ニトロソモナス菌)の働きで変化したもので、毒性がある。 
●見た目の変化
  ・魚の目が白濁する。
・魚の元気が無い。
・呼吸困難を引き起こす。
・魚が水底で動かなかったりする。
●適正値
  0.8mg/l以下
注意!
 水槽立上げ時にはバクテリアが少なくアンモニアの数値が多少上がりますが、適切な飼育(匹数、エサの量等)をしていれば、徐々にバクテリアが繁殖し分解してくれるのでさして心配することはないと思います。

 
   

  4) 硝酸塩(NO3
  ●物質の特質
  ・亜硝酸がバクテリア(ニトロスピラ菌)の働きで変化したもので、比較的無害。 (但し、溜まりすぎると危険)
・通常バクテリア類では分解されない為、水槽内に蓄積されていく。
・硝酸塩が増えると、KH(炭酸塩硬度)が低下し
pHは酸性に傾く。
●見た目の変化
  ・魚の目が白く濁る、ヒレが溶ける等の症状がでる場合がある。
・魚が脅えたり、茶色のコケが出やすい。
●適正値
  10mg/l以下 (許容値:25mg/lまで)
注意!
 硝酸塩は、一般のバクテリアでは分解されない為、基本的には水換えで水槽外へ出します。

硝酸塩の量
(mg/l) 
飼育魚  水草  コケ  水質 
10以下  最適  良  少ない  最適 
10~25  良  良  普通  良 
25~50  可  良  普通  一部水換え 
50~100  危険  可  増殖  一部水換え 
100以上  非常に危険  ×  大量増殖  大幅に水換え 
※上記は、一般的な目安です。

 


   
  5) 炭酸塩硬度(KH )
  ●物質の特質
  ・炭酸水素イオンと結合した、カルシウムイオン、マグネシウムイオンの濃度。
   (
pH値への影響大
・炭酸塩硬度が高くなるとアルカリ性に、
低くなる程酸性になり易い。
・pHの変化を緩和する働きがある。
 (KHが異常だとフンやエサ残により急激に酸性化する恐れがある)
・硝化(バクテリアが活動する)により炭酸水素イオンは減少。(KH値が下がる)
●適正値
  3゜dH~10゜dH

 



  6) 総硬度(GH )
  ●物質の特質
  ・水中のカルシウム塩やマグネシウム塩の総量(濃度)を表す。
・総硬度(GH)高いと硬水、低いと軟水。 
超軟水  軟水  中硬水  硬水  超硬水 
0~4゜dH 4~8゜dH  8~12゜dH  12~20゜dH  20゜dH以上 
・魚や水草、微生物の生物代謝に直接影響する。
・硬度の高い硬水は、アルカリ性になり易い。 (但し、硬度の低い軟水は基本的にpHへの影響はない。)
●適正値
  4゜dH~16゜dH
 



  7)  二酸化炭素(CO2)
  ●物質の特質
  ・水草の育成に最も重要な栄養成分。(水草に適した二酸化炭素量は5~15mg/l程度)
・濃度が高すぎると魚に対して有害となる。
・二酸化炭素が増えると
pHは酸性に傾く。
・二酸化炭素は水中では、炭酸に変わり弱酸性の性質をもつ。

●見た目の変化
  ・20mg/l以上で、魚が鼻上げや呼吸困難を引き起こし易い。
・5mg/l以下で、水草(種類による)が枯れ易い
●適正値
  5~15mg/l以下
 
 

  8)  酸素(O2)
  ●物質の特質
  ・魚、エビ、水草、ろ過バクテリアなどの呼吸のために無くてはならないもの。 

●適正値
  6~8mg/l
  



 9) 塩素(Cl2) 
●物質の特質
  ・少量でも魚やバクテリアに有害
 
 


10)  リン酸(PO4 
  ●物質の特質
  ・エサ、フンに含まれるたんぱく質から溶け出し、バクテリアによって生成される。
・コケの発生要因にもなる。
・ろ過で分解出来ないがソイルに吸着される。 

注意!
 リン塩はバクテリアでは分解されない為、基本的には水換えで水槽外へ出します。
●適正値
  2.0mg/lまで(淡水の場合)
  



11)  鉄(Fe)
●物質の特質
  ・水草の必要栄養素の一つで、不足すると主に水草の色が落ちてくる。
・主に水草の赤みを出す元素として知られている。
・鉄には、2価鉄と3価鉄とあり、水草が利用出来る鉄分は2価鉄。
・pHが低いと3価鉄が2価鉄に変わり易く、水草が取り入れ易くなる。 
●適正値
  0.25~0.5mg/l 

 
 


12) 銅(Cu)
  ●物質の特質
  ・水道水に含まれることがあり、少量は水草に吸収されるが、蓄積すると水槽内の生体にとって大変有害となる。 
●適正値
  0.5~1.0mg/l 
 
 



   

2.水質テストキットの使用方法
 
これから購入を考えている方の参考になれば幸です。
 
テトラ テスト6in1試験紙(淡水用)



 1. 試験紙を水槽水の中に1秒ほど浸す。
 2. 余分な水を振り落とし、すぐにCl2(塩素)を容器の比色紙と比べる。
 3. 60秒後、他の部分を比色紙と比べる。
  一度に、下記の6つが調べられる。
    pH
    KH(炭酸塩硬度)
    GH(総硬度)
    NO2(亜硝酸塩)
    NO3(硝酸塩)
    Cl2(塩素)
使用してみての感想
  一度に6つのチェックが出来るのは便利ですが、測定値の正確さは?です。
 

テトラ テスト
ペーハートロピカル試薬
 
 
 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 試験管に水槽水を5ml入れる。
 3. 試薬を試験管に7滴入れる。
 4. 試験管の蓋を閉め、軽く振る。
 5. 試験管と比色紙を垂直に持ち、比較する。
 
 ※テスト後は試験管を水道水でよくすすぐ。

使用してみての感想
  たまに測定するなら良いのですが、毎日になるとコストが・・・

テトラ テスト
 アンモニア試薬
 

 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 試験管に水槽水を5ml入れる。
 3. 試薬①液を14滴入れ、蓋を閉めて軽く振る。
 4. 試薬②液を7滴入れ、蓋を閉めて軽く振る。
 5. 試薬③液を7滴入れ、蓋を閉めて軽く振る。
 6. 発色まで常温で20分程放置する。
 7. 試験管と比色紙を垂直に持ち、比較する。

 ※テスト後は試験管を水道水でよくすすぐ。

使用してみての感想
  発色まで20分待つのが・・・
 

テトラ テスト
 亜硝酸試薬

 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 試験管に水槽水を5ml入れる。
 3. 試薬①液を7滴入れ、蓋を閉めて軽く振る。
 4. 試験管を10秒間静置する。
 5. 試薬②液を7滴入れ、蓋を閉めて軽く振る。
 6. 発色まで、2分~5分放置する。
 7. 試験管と比色紙を垂直に持ち、比較する。

 ※テスト後は試験管を水道水でよくすすぐ。

使用してみての感想
  比較的早く測定が出来るので満足しています。
 

セラ
硝酸塩テスト 

 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 試験管に水槽水を10ml入れる。
 3. 試薬①液を6滴入れ、軽く振る。
 4. 試薬②液を6滴入れ、軽く振る。
 5. 付属スプーンで試薬③液をすり切り1杯入れる。
 6. 蓋を閉めて15秒間強く振る。
 7. 試薬④液を6滴入れ、軽く振る。
 8. 5分後、試験管をカラーチャートに乗せ上から覗き込み判定する。
 ※
測定可能数値: 0~100mg/l
 
使用してみての感想
  試薬自体は満足して使用していますが、キャップが開けにくい。
(初めて使用した際に、キャップを空けるだけに30分程奮闘しました。←ドンクサイと思われるかもしれませんが、取り説が英語で、日本語に訳されている箇所は使用方法のみだったので・・・)
 

ELOS
硝酸塩テスト

 

 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 注射器を使って試験管に水槽水を5ml入れる。
 3. 試薬A(粉末)をスプーン1杯入れ、蓋をして15秒間振る。
 4. 試薬B液を6滴入れ、蓋をして15秒間振る。
 5. 5分後、試験管をカラーチャートに乗せ上から覗き込み判定する。
 ※
測定可能数値 : 0~25mg/l

使用してみての感想
  セラ硝酸塩テストに比べると、薬品の種類が少なくて楽ちん。
  セラ硝酸塩テストに比べて、反応がシビアに出る。
 

デジペーハー 

 ●測定方法
  1. 電源をONにして、表示パネルに数字を表示させる。
  2. キャップを外し、水槽に浸して軽く振り、電極についた空気を取り除く。
  3. 測定値が安定したら、測定値を読み取り、電源をOFFにする。
  4. 電極部分を軽く水で洗浄し、濡れた状態でキャップをする。

  ※電極部分は絶対に乾かさない。乾くと故障する。

 ●校正方法
  1. 7.0の校正液を容器に適量とり電極を水で洗浄後、電源を入れ10秒浸す。
  2. 7.0以外の時はカバーを外し、ドライバーで1のボリュームで調整する。
  3. 4.0の校正液を容器に適量とり電極を水で洗浄後、電源を入れ10秒浸す。
  4. 4.0以外の時はカバーを外し、ドライバーで2のボリュームで調整する。
  5. トップカバーを茶色のゴムリングが見えなくなるまでしっかりと閉める。
  6. 測定後の校正液は破棄して、容器を洗う。

使用してみての感想
  初期投資に勇気が要りましたが、購入してよかったと思います。メンテナンスに校正液を購入しなければなりませんが、測定する頻度が多い場合は試薬よりお徳な気がします。
 
 テトラ テスト
炭酸塩硬度試薬


 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 試験管に水槽水を5ml入れる。
    (10mlを用いて測定を行うと精度が高まる。)
 3..薬を試験管に1滴ずつ入れ、変色までの滴数を数える。
 4.  
  →  黄色    (1滴=0.5゜dH)
 

 ※テスト後は試験管を水道水でよくすすぐ。 
 
テトラ テスト
総硬度試薬
 

 1. テストする水槽水で試験管をすすぐ。
 2. 試験管に水槽水を5ml入れる。
    (10mlを用いて測定を行うと精度が高まる。)
 3..薬を試験管に1滴ずつ入れ、変色までの滴数を数える。
 4.  
  →      (1滴=0.5゜dH)


 ※テスト後は試験管を水道水でよくすすぐ。
 


Ⅳ.バクテリアの働き
 
1.ろ過バクテリアの働き 
 

① 食べ残したエサや排泄物、死骸、枯葉などを微生物がアンモニアやリン酸に分解します。
② アンモニアは、ろ過バクテリアである
ニトロソモナス菌族によって亜硝酸塩に分解します。
③ 亜硝酸塩は、ろ過バクテリア(
ニトロスピラ菌族)によって硝酸塩に分解します。

※リン酸、硝酸塩は水草などによって多少消費されますが、その殆どが水中に蓄積されます。

2.バクテリアと酸素の関係(好気性バクテリアと嫌気性バクテリアの働き)
 
 1)ろ過バクテリアの働きで、有機物からアンモニアへ、アンモニアから亜硝酸塩へ、そして最終分解は硝酸で、その硝酸塩は水換えによって排出すると書きましたが、実は、硝酸塩を窒素に分解し、水槽外(空気中)へ排出してくれるバクテリアも存在します。
 1)ろ過バクテリアの働きで説明したバクテリアは、好気環境(酸素が豊富にある環境)で活動するのに対して、これから説明するバクテリアは、嫌気環境(酸素が少ないもしくは無い環境)で活動するバクテリアです。
 これらのバクテリアは、管理を間違えると
硫化水素メタンガスを発生させる危険性があり、飼育魚は勿論のこと、人間にも害が及びます。
十二分に注意をして下さい。
 
 

 好気環境     ①
有機物(尿素等)を微生物が分解する。

 尿素 + 水  →  アンモニア + 二酸化炭素
 (二酸化炭素は弱酸性の性質がある為、pHは下がる) 
 ②
アンモニアは水に溶け易い性質で、pHにも影響され易い
 (水に溶けるとアンモニウムイオンと水酸化物イオンに変化する)

 アンモニア + 水    アンモニウムイオン + 水酸化物イオン
              ←
 
 ③
アンモニア/アンモニウムイオンをニトロソモナス属が分解(酸素結合)して、亜硝酸イオンと水素イオン、水を生成する。

 アンモニア/アンモニウムイオン + 酸素  →  亜硝酸イオン + 水 + 水素イオン
 (酸素が消費され、水素イオンが増加する為、pHが下がる) 
 ④
亜硝酸イオンをニトロバクター属が分解(酸素結合)して、硝酸イオンを生成する。

 亜硝酸イオン + 酸素  →  硝酸イオン
 
 嫌気環境
(貧酸素)  
 ⑤
硝酸塩は硝酸還元酵素によって亜硝酸塩へ変化

 硝酸イオン + 水素イオン  →  亜硝酸イオン + 水
 

亜硝酸塩は亜硝酸還元酵素により一酸化窒素に変化し、さらに還元酵素によって亜酸化窒素へと変化

 亜硝酸イオン + 水素イオン  →  窒素 + 水 + 水酸化物イオン 


バチルス菌によって、アンモニアが生成されるようですが、その作用については不明。推測するところ、③の作用と逆ではないかと思います。

 亜硝酸イオン + 水素イオン  →  アンモニア/アンモニウムイオン + 酸素
 

嫌気環境
(無酸素)
 ⑧
無酸素状態で、尚且つ、硝酸塩が無い環境では、メタンや硫化水素が発生するようです。
 
   上記は、机上での勉強であり、実際に顕微鏡やその他の器具を使用して実験した結果ではありません。

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なまずと気ままな徒然日記/淡水魚飼育の基本編