エルフェンリート雑記&感想

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▼2005/11/19 (土)

エルフェンリート 12 巻(完結)
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エルフェンリート完結です。
アニメ版が原作コミックの7巻あたりまでの話で、かなり強引にまとめてアニメオリジナルの結末を描いてしまった為に、ルーシーの贖罪からコウタの赦しに、多少無理があったのですが、さすがに原作は作者の構想通りというか、ルーシーとコウタ、にゅうとコウタいうそれぞ人格の関係から導き出される答えとして、きっちり着地していて、納得いくものだったし、アニメ版よりずっとよかったのではないかと思います。(アニメ版はもちろんあの時点でベストを尽くしていたと思いますが)
それと、8巻以降のストーリーの中で、アニメ版では未消化だったマユと坂東さんの話や蔵間とナナの話、角沢長官の野心、ディクロニウスのSF的要素の伏線回収などなど
すべて蹴りがつけられています。
つーわけで、アニメから原作を知って読み始めた本作ですが、アニメ版の出来のよさとは別に、普通の漫画では味わえない「魔力」に取り付かれ、なんだかんだで話も面白く、漫画版も含めて「エルフェンリート」は思いの外、深くはまり込んだ作品となりました。
この作品は、絵が下手だったりとか、エログロだったりと決して誉められものではないのかも知れないけれど、「面白い漫画」とは、単に絵がきれいとか上品なだけじゃダメなんだということを改めて思い出させてくれた気がします。

アニメ第二期希望!とはいっても実現は無理そうですが、アニメ版には出てこないサブキャラやクローンマリコ、その他諸々、アニメの続きとして漫画をどう消化すれば成り立つかをあれこれ想像するのもまた楽しかったり。



▼2005/8/30 (火)



うは、届いた。
エルフェンリートのDVD全巻購入特典。



▼ 2005.04.21


エルフェンリート 7th Note発売


さっそく未放映話の感想描きました。
エルフェンリート DVD7巻収録「通り雨にて・・・」感想




▼ 2005.04.07

聖地鎌倉2005春
今年も桜を見に行ってきました。
でもちょっと早かったようで、見ごろは次の日曜ですかね。

楓荘への階段道案内

エルフェンリートロケ地探訪で一度紹介してますが、重要ポイントのわりに場所がわかりづらいかも、ということで簡単な行き方のガイドを作成してみました。



▼ 2005.03.24

エルフェンリート14話特別編あらすじ・場面カット公開
>「通り雨にて 或いは、少女はいかにしてその心情に至ったか」
>脚本:吉岡たかを/絵コンテ:神戸 守/演出:神戸 守/作画監督:きしもとせいじ

DVD7巻に収録される特別編の情報公式公開。
ナナメインの日常物っぽい話らしいけど
>※ルーシーが研究所に捕えられた過去が語られるオリジナルエピソード。
ともあるので、ナナの口からルーシーの過去が語られるって構成なのか?
ということで楽しみです。



▼ 2005.03.23

エルフェンリート6th Note発売

エルフェンリート公式DVD7巻画像公開
7巻のジャケイラストはルーシー
7巻にはTV未放映回収録



▼ 2005.03.16


NieA_7 DVD-BOX

4/1発売予定。
神戸守監督が演出・絵コンテとして参加、作画でもコメットさん☆のまきたかずあき(本作では名前が漢字表記)が参加しています。
特に#8は神戸演出の特徴が良く出ていて、一見の価値ありです。
NieA_7は、キャラデザがlain、灰羽連盟の安倍吉俊、監督は苺ましまろの監督が決まっている佐藤卓哉。
貧乏浪人生と浮浪へたれ宇宙人の二人の女の子が寂れた銭湯に居候して貧乏生活を送るという日常コメディ。それでいて繊細なキャラ心情を描かれていて、日常アニメと毒のあるコメディがお好きな人にオススメ。
関連:公式




▼ 2005.03.14

エルフェンリートDVD全巻購にゅう特典画像公開
にゅう、ナナ、マユの3種類って、3種類あるんですか



▼ 2005.03.11

エルフェンリート地上波バージョン放映決定
今週のヤングジャンプ誌の発表はこれでした。
以下放映局&スケジュール

千葉テレビ 4/3/23:30〜
テレビ埼玉 4/3/25:05〜
テレビ神奈川 4/4/24:45〜
サンテレビ 4/5/24:00〜



▼ 2005.03.04

>来週発売のヤングジャンプに掲載されるエルフェンリートの表紙に、大きな発表が2つあります。
ひとつはアニメに関すること。ひとつは漫画に関すること。


エルフェン原作者岡本倫氏の公式サイトより。
やはりアニメ2期を期待してしまうわけですが。



▼ 2005.02.23

エルフェンリート5thNote発売

エルフェンリート 7th Note4/21発売予定

エルフェンリート (10)ヤングジャンプコミックス3/18発売予定

エルフェンリート公式6thNoteジャケット公開
6巻はマリコ、最終巻は幼ルーシー希望



▼ 2005.02.04

3/15(火)よりAT-Xでエルフェンリート再放送
決定しました。



▼ 2005.02.03

DVD3/23発売予定:エルフェンリート6thNote予約受付中



▼ 2004.12.31

Anime studio Vol.2(宙出版)で神戸守×吉岡たかを対談

掲示板でZetialさんに教えていただいて速攻買いに行ってきました。
内容は二人が出会った映画学校時代の話から、その後、それぞれの業界での職歴から、マシンロボレスキュー・エルフェンリートで一緒に仕事をするようになるまでの経緯、エルフェンリートの制作裏話などが中心。
計7ページで、断片的に知ることの出来た神戸監督の職歴や二人の付き合いなど詳しくわかって非常に面白いです。
あと神戸監督は学生時代は、アングラ系の映画が好きだったそうです。

神戸監督は現在、鎌倉舞台のオリジナル物を企画中とか、鎌倉三部作!?ぜひ実現欲しいものです。



▼ 2004.12.29

1/26発売
エルフェンリート 4th Note Amazon予約受付中

2/23発売
エルフェンリート 5th Note Amazon予約受付中




▼ 2004.12.05

前回から一ヶ月しかたってませんが、またまた鎌倉行ってまいりました!

ということでエルフェンリートロケ地探訪第三弾です



▼ 2004.11.27

エルフェンリートDVD二巻やっと手元に届いた。
#3,#4の感想はこちら
#3は今見るとシリーズ中もっとも平和なんだよなー、お風呂でのにゅうとマユのじゃれあいが微笑ましい。



▼ 2004.11.13

光希桃AnimeStation さんがアニメ感想系サイトを対象に恒例で行っている第5回アニメ感想率調査の一部門終了番組評価でめでたくエルフェンリートが第一位を獲得しましたー、ぱちぱち。
といっても、順位のつけ方が、見た人の評価点の平均を元にしているため、次点の鋼の錬金術師が視聴数でぶっちぎりの強さを見せるのに対して、エルフェンは視聴者が少数という限定条件下にあるのでちとアンフェアではあるんですが。少なくとも視聴してた人の間での評価は高かったということが証明されたわけでそのことは誇ってよいのではないかと。



▼ 2004.11.05


『エルフェンリート』はお好きですかAsk Johnふぁんくらぶより)

ここのサイトはカトゆー家断絶さんでよく取り上げられていて、自分も好きでよく読んでいます。
John氏のアニメに対する見識の高さは、私も知るところなのですが、そのJohn氏もエルフェンリートにおける神戸監督の淡白な客観演出にだいぶ戸惑っている御様子。
ルーシー以外のキャラの掘り下げが足りなかったというのは確かだけれど、神戸演出は、台詞にあまり頼らず、視聴者の読解や解釈に委ねる部分が多いので、キャラの心情をどう受け止めるかで、人それぞれ感情移入に差が出てしまうのは仕方ないのかも。



▼ 2004.11.04

久しぶりの更新ですが行ってきました
エルフェンリートロケ地探訪第二弾!



 2004.10.21

DVD第一巻限定版Amazonから届いたー!
ということでレビュー



封入ブックレット(12ページ)はOP画で全体を構成
神戸守、吉岡たかを、音楽の小西香葉・近藤由紀夫のコメント、グレゴリアン聖歌風OP「LILIMU」の歌詞意訳などがあります。
ブックレットの神戸監督のコメントのところで
(神戸)「萌えって何?」
(吉岡)「お前は素でやって萌えになってるからフツーにやりゃいいんだよ」

というのに大爆笑。
イエス!イエス!その通り!神戸守の強みはそこだよー

サントラCDは、OP「LILIMU」のフルコーラス・オルゴールバージョンがないのがちょっと残念。
と思ったらフルコーラスはDVDのメニュー画面で聞けた、それとメニュー画面はかなり凝ってて選択するとベクターが伸びて出てくるのにちょっとビクッとなってしまった(笑
それと12曲目の「陽光」という妙に明るい曲があるのだけれど、これは本編未使用?だよな。
ちょっと話それますが音楽担当した小西香葉・近藤由紀夫の関連制作会社のoffice Pakchys のHP見てたら神戸監督が関わった「魔性菩薩」という作品の音楽もここが関わってたのを知った、つまりコメットさん含めて神戸作品では三作目ってこどですな。

DVD本編はTV放映バージョンの4:3から16:9になっていて、こちらがオリジナルバージョンだけにやはりレイアウトの安定感が段違いにいい。
TVサイズだと見切れてて見えなかった壁に貼ってある如月さんへの注意書きがあったり、坂東が後ろから近づいた秘書をぶん殴るところでTVサイズだとこの秘書が見切れてて画面にインしてなくておかしく見えたのがちゃんとしてたり、また、如月さんや警備員の修正されてたチョンパカットが無修正になってたりと、まさに完全版。
TV版見てても十分色々楽しめます。



 2004.10.19

原作の中身についてはあまり触れてませんので、原作未読で読んでも大丈夫だとお思います。

原作との比較その2

原作コミックエルフェンリート 9巻が今日発売だったという狙い済ましたようなタイミングだったので未読だった4巻以降と合わせて一気に購にゅう読破しました。

とりあえず正直な感想として、原作はネタ漫画どころか、普通に、いや相当に面白い。
うーん、どう説明するのがいいのだろう、デビルマンと寄生獣に美少女ゲームのキャラをぶち込んで、その上にエロとギャグをデザートにのせた感じ?全然わかんないですね。

原作を読んでしまうと、アニメ版は原作の底知れない魔力(魅力というよりこっちの方がぴったりくるので)の70%に到達できたかどうか、そんな印象を受けます。
もちろんアニメから入っているので、アニメに対して愛着が強いので、優劣はつけ難いのですが、原作とアニメは似て異なるもの、いやアニメ版は原作をリスペクトしつつ、原作の魔力と同じ土俵で勝負せず、独自路線を選んだ、と言ったほうがいいかもしれないです。全然わかんないですね。

原作→アニメへの移植過程で、尺の都合からエピソードやキャラを削らなければならなかったという縛りが前提条件としてあったが、これに関しては、最終2話のオリジナル展開を含めて大筋では成功しているといっていい。
ただし、その結果、
・人類とディクロニウスの種の存亡を賭けた対立構造と、角沢長官の野心というファクターが希薄になり、物語のSF的スケール感が、こじんまりとしてしまった。
・坂東やマユ、ナナ、白河などの脇役キャラの描き込み、活躍が不十分になってしまった。
ことは否めない。
原作を知らなければ、気になることではないのだけれど、原作にあるいい台詞やシーンがだいぶ刈り取られてしまっていることも、もったいなく思える。
それと、もうひとつ重要なのは、原作漫画の、「魔力」を支える要素としての、「萌え」や「エロ」が、そしてギャグがアニメ版では申し訳程度にしか採用されていないこと。
これだけで、だいぶ作品の雰囲気は違う。(これについては2004.09.16でも指摘したので省略)

原作の魔力とは大枠でのディクロニウスに関するSF装置の物語と、暴力描写、萌え、エロ、ギャグが渾然となった中に立ち上がっている。
たしかにそれはこの作品の面白さではあるのだけれど、アニメ版が目指したのは、この魔力をある程度刈り込んで、原作の核である「ルーシー」に焦点を絞って、原作の「魅力」の部分を最大限引き出そうという試みだったのではないだろうか。

原作版とアニメ版を比較してみると、「ルーシー」の描き方に、特徴的な差異が見られることに気付く。
原作版におけるルーシーが暴力を振るうシーンの多くが、攻撃性や敵意、憎悪を相手にぶつけ、それ自体を楽しんでいるという印象を受けるのに対して、アニメ版のルーシーは、暴力に対する嫌悪や不快を漂わせている。
端的にそれがあらわれているのが対ナナ戦で、原作のルーシーは四肢切断したナナを見下ろして高笑いするが、アニメ版ではこの高笑いがなく、つまらないものを見るかのごとくナナを見下す。
この差異はおそらく原作が人類を滅ぼす悪魔的な存在としてのルーシーを印象付けようとしたのに対して、アニメは13話で物語を着地させる為、ルーシーの生い立ちからくる悲しみとコウタに対する贖罪の念をバックボーンとした内面を描くことに重点をおく為に、逆算された演出の差異だったのではないかと思う。

結果的に、アニメ版はルーシーのディクロニウスとして生まれたことの悲劇と救済というルーシー個人の物語として筋を通し、よりそれを深く印象付けて上手く着地させている。
しかし反面で新人類の母としてのルーシーというSF的な大枠の物語が刈り取られてしまっている。本作が1クールでなく、2クールあれば、そこまで踏み込んで物語を構築し、原作から刈り取ってしまったシーンも組み込めただろうと想像できてしまう、それ故に口惜しく感じる。

それでもなお、アニメスタッフが与えられた枠の中で、原作をかなり読み込んで、徹底したエピソードの取捨選択をし、演出的にもアニメ独自のスタンスを貫き、ルーシーの内面に独自の解釈を加えながらも、大枠で原作の主題から逸脱しないというかなりの離れ業をこなしていることは賞賛に値するだろう。


原作ファンからすると、不満は出るのかもしれないが、原作とアニメが非常にいい関係で結ばれた作品だったと、私は思います。



 2004.10.17

とりあえず最終回感想。総括はまた後ほど。

#13 不還 ERLEUCHTUNG
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:神戸守/作監:きしもとせいじ/作監補佐:武藤技闇


冒頭、坂東があっさりルーシーにやられて、いったい先週の引きは何だったんだ?とか他にもちょっと展開に強引に感じるところもなかったわけではないんですが、そこに目をつぶれば、あとは概ね、最終回としては非常に満足できる出来でした。

蔵間室長とマリコの対面は、マリコが蔵間室長をいつ殺してもおかしくないんじゃないかと思えて、緊迫した。
蔵間室長は覚悟を決め、マリコに埋められた爆弾によって共に爆死、心中という救いのない終わり方だったけれど、ディクロニウスの子供を殺めてきたことと自分の娘に対する贖罪を果たし、またマリコは父親の情愛を知ることが出来て、共に「人間性」を回復して死ぬことが出来たという意味で幸福だったのかもしれない。

蔵間親娘の結末に劣らず、ルーシーとコウタの決着も悲しみを乗り越えた感動が。

ルーシー>「コウタはこの地獄の中で私の前にふいに現れた束の間の夢だ」
ルーシー>「ずっとずっとコウタに謝りたかった、私はただそれだけのためにずっと耐えて生き延びてきた」

コウタ>「カナエを父さんを殺した君を俺は許せない、でも、また君が人を傷つけたら、俺はまたきっと、ずっと、いつまでも後悔するから」
ルーシー>「何もかも忘れてただコウタの側に居たかった、悲しい思いをたくさんさせてしまってごめんなさい」
コウタ>「君だってたくさん悲しい思いをしてきたんじゃないのか?」

ルーシーはコウタに救いと贖罪を求めながら、決して許されると思っていなかった。しかし、コウタはルーシーが何者かを知り、全て思い出した上で、妹を殺したルーシー自身が苦しんでいたことを知り、その悲しみを理解し、受け入れようとする。それはコウタにとっても、妹とそしてルーシーに対しての贖罪なのかもしれない。

通常なら、「家族殺した相手を許せるわけないじゃん。」と突っ込みいれたくなる展開なのだけれど、コウタという存在が、マユやナナにそうしてきたように、無制限に、事情を抱えた女の子を受け入れてしまう体質であることが作中で語られてきたことで、最も地獄を見ているルーシーをコウタが受け入れないはずがないということに説得力を与え、かつルーシーにとってもコウタに受け入れられなければ救済されなという絶対条件があるが故に、もうなんていうかこれは納得せざるを得ない。
また、コウタがそうしてしまうようになった原因が、妹の喪失とそれに絡むルーシーとの出会いであるのでなおさら。
冷静に考えると、コウタお前ユカのことはどうするんだよ、と言う突っ込みもあるのだけれど、到底重なり合うことができると思えなかった二人が通じ合うことの感動の方が抱擁、キスシーンへと集約していく演出の力技で、理屈を超えてしまったそんな感じ。

ラストはSATに追われ角も折られ生死不明となったルーシーのみ欠いた楓荘でコウタ、ユカ、マユ、ナナ、わん太で日常を回復しているところに、ルーシーらしき人影をみせながら姿そのものは見せず、オルゴールが止まり、柱時計が動き出すという余韻を持たせ、まだ終わりではないことを匂わせながらEND。

坂東やナナ、研究所と角沢長官の野望など消化不足の部分もないとはいえない
のだけれど、1話前まで、果たしてどう結末をつけるのか危惧したけれど、物語として最大の山となるべき「ルーシーの救済」にしっかり蹴りをつけてくれたことで、上手く軟着陸して、納得いく結末になってくれて良かった。

原作が現時点で未完であることを考えるなら、その後の物語りも予感させつつアニメなりの結末として綺麗にまとまったんじゃないかと思います。



 2004.10.10

#12 泥濘 TAUMELN
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:渡辺純央/作監:深澤学・服部憲知・細山正樹・森田実

あらすじ

・マリコVSナナ、マリコに一方的に弄ばれるナナ
・コウタ、ボロボロにされたナナの元に到着
・ナナ、最後の抵抗でマリコのベクターを使用不能に、ナナは海へ放りおとされる
・遅れてにゅう現場に到着
・コウタに近づこうとした秘書・白河を、目覚めたルーシーが真っ二つに、ショックでコウタは全ての過去を思い出す。
・コウタ回想。ルーシーが人を殺した現場を目撃したカナエは、ルーシーを突き飛ばして逃げるようにコウタに詰め寄るが事情がわからないコウタは、カナエに「嫌いだ」といってしまう。そしてその直後、カナエはルーシーに胴を真っ二つ、父親も首をもがれ惨殺される。

コメント

江ノ島大橋が血の海に・・・
コウタの目の前で白河を惨殺したルーシーは、「これまでだな」と”にゅう”としてのコウタとの関係ををあきらめるように、つぶやく。
ここでルーシーは隣の橋に跳び移るという行動をとるが、これは舞台となる片瀬海岸と江ノ島を結ぶ橋は車道の「江ノ島大橋」と歩道の「江ノ島弁天橋」に分かれていて、要するに大橋から弁天橋に跳び移ったと、まあそういうことのなのだけど、もちろんこれには演出的意図があって、ルーシーが自分に向けられる銃口をコウタからそらす為の行動であるとと同時に、過去を取り戻したコウタとこれから殺戮を繰り広げるルーシーと間の「溝」を暗示している。
これは、舞台設定を生かしつつキャラの感情、関係性を演出してみせるという神戸監督らしいこだわりが生んだシーンなのではないかと。

コウタの記憶の封印は妹を殺されたショックだけではなく、妹に最後にひどい言葉をかけてしまったことの悔恨も絡み、かつ、そのトリガーが自分にあることを知ったから、という解釈でよいのだろうか。
コウタがルーシーを傷つけたのは事実としても、ルーシーがコウタの家族を惨殺までしてしまうことが許されることであるはずがない。
前回のにゅうの「カナエ、コウタゆるす」はルーシー自身の悔恨の情がにゅうに言わせたものなのか、ルーシーの記憶がある”にゅう”の人格が言わせたものなのか、この辺の判断も難しい。
どちらにせよコウタとルーシーの間にある溝が埋まり、関係を修復できる可能性があるとは現時点では到底考えられない。
さすがにあと一話では全てを語りきれない気がしてきました。

その他
・回想は#9の使いまわしが多くて気になった
・マユがコウタと楓荘について語るくだりはちょっと雄弁に語りすぎかな。
・ラスト坂東登場でルーシーは逃げるけど、坂東から逃げる必要ってあるのだろうか、謎
・原作者・岡本倫氏、声優で特別出演、いったいどこに?

おまけ
江ノ島関連調べてて見つけたので
江ノ島展望台ライブ映像


▼ 2004.10.10その2

アニメージュ11月号
モノクロ2ページでエルフェンリートDVDの紹介が掲載去れています
神戸監督の短いインタビューあり。
外伝のOVA制作が決まっているようです。

http://shop.at-x.com/ditails.asp?prdid=V1A240901
DVDの全巻購入特典はにゅうの抱き枕らしい・・・いままで縁のなかった抱き枕がついに家にも完備されてしまうのか・・・
DVDの特典だけどR.O.Dみたいにコメンタリーつけてくれないかなぁ
神戸監督と吉岡たかを氏と原作者の岡本倫氏も呼んで



▼ 2004.10.07

・関東ローカルで放映された「エルフェンリートDVD発売直前スペシャル」
自分のとこは放映圏外なので見られなかったんですが、見た方の反応から、残虐シーンはやはりというか、大幅にカットされていた模様。
地上波の放映を望む声も多いみたいだけど、仮に地上波用に修正、編集したとしても、物語やテーマ的にも倫理上まずい部分が多すぎて絶対無理です。ありえません。
それとフイルムズタズタにしたものを見ても意味ないですから。


・AmazonでエルフェンリートDVD第二巻予約開始。
エルフェンリート 2nd Note



 2004.10.03

#11 錯綜 VERMISCHUNG
脚本:吉岡たかを/絵コンテ:あべたつや/演出:草川啓造/作監:武藤枝闇・阿部達也

あらすじ

・ナナの抹殺とルーシー捕獲の為、35番のディクロニウス「マリコ」を解放
・親代わりだった女性研究員の言うことも聞かず惨殺
・マリコに埋め込まれた爆弾で脅し言うことを聞かせる。
・室長は研究所を抜け出し坂東に接触、35番を殺すことを依頼する。
・ナナは楓荘でのひと時の平穏を手にするが、マリコ接近を感知し、マユたちに迷惑をかけまいと、楓荘を出て、マリコを迎え撃つ。

コメント

残り三話でいよいよクライマックスへ突入といった感じ。
前回が、作画・演出が今一歩だったが、今回はよかった。

前回、ナナ=蔵間室長の娘?と思ってしまったのはやはり勘違いで、35番が蔵間室長の娘であることが明言。
結局蔵間室長は、ナナやルーシーをはるかに越える26本のベクターを持ち、手当たり次第に殺人を犯す化け物となってしまった娘から目を背ける為に、ナナの存在にすがっていたということか。

その35番”マリコ”は5,6歳くらいの少女でありながら大きすぎる力を持ったが故に、その力を善悪の見境なく振るい殺人を楽しんでしまう「無邪気さ」を持った邪悪な存在という感じで、35番にとっては人を殺すことが子供が虫やカエルを殺す程度の感覚でしかないのかもしれない。
ある種の意思を持って、どこか悲しげに人を殺すルーシーとは別の気持ち悪さというか不気味さがある。
もともとホラーとかスプラッタ映画とか好きなので、マリコの邪悪さにもうどきどきわくわくしながら興奮してしまった。
一方で、世間知らずのナナがお風呂やアイスにいちいち大喜びしたりする、日常の平穏さが描かれて対比される。
このギャップは、シリーズ全体を通して貫かれている。

その他

・コウタの妹のカナエの写真を見たにゅうは、何を思ったか、はさみを持ち出し、髪を切って「カナエ、コウタゆるす」となきながら訴える。カナエの死、コウタとにゅうの間に最終的に何があったのか全ての鍵を握るコウタの過去は、次回明かされる模様。
・柱時計を目を輝かせて分解してしまうにゅう。壊れた時計=コウタの止まった時間の象徴なら、時計の解体とそれを直そうとするにゅうは、とまった時と壊れてしまった過去の記憶と関係の修復への予兆を象徴しているのか?
・告られたはずのユカはすっかり蚊帳の外で、にゅうに嫉妬。
・マリコVSナナの舞台は江ノ島ですかー
・ナナはそうめん食べられるのか?



 2004.09.26

#10 嬰児 SAEUGLING
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:大西景介/作監:服部憲知

あらすじ

・マユに連れられて楓荘に戻ったナナ、再びルーシーと対峙するがルーシーはにゅうに戻り、戦意を挫かれる。
・ナナはマユによってなかば強引に楓荘に厄介になることに。
・蔵間室長過去編。角沢教授と共にディクロニウスを研究、ベクターウィルスに感染し、娘がディクロニウスに。

コメント

全体的に作画・演出が低調で緊張感に欠けたのがちょっと残念。
ナナが楓荘に厄介になる過程も強引というか不自然な感じがどうしてもしてしまうのは致し方ないのか。
ナナが餌付けされてしまったり、お馬鹿な夢を見たり、微笑ましくあるのはドギツイ話の中で、「逃げ道」として機能してってほっとする。

蔵間室長の過去話は、今まで匂わせていた以上の新事実はないものの、ベクターウィルスに感染した研究員の赤ん坊を殺すよう命令していた室長本人が、ウィルスに感染し生まれた娘がディクロニウスとなってしまい奥さんを失ってしまうというのは皮肉というか、因果応報というか。
ディクロニウスとはいえ子供相手に人体実験する研究施設の人間達とディクロニウス、果たして化け物はどっちなんだろうね、とか言う感じの話で、やっぱりちょっとデビルマンっぽい。
今回の回想で、室長は自分の赤ん坊に手をかけようとして止めたことから、室長の赤ん坊自体は死んでいないらしい、ってことはやっぱりナナが室長の娘ってこと?



 2004.09.19

#9 追憶 SCHOENEERINNERUNG
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:岩永彰/作監:澤崎誠

あらすじ

過去編続き。
ルーシーに出会ったコウタは、ルーシーの角を見て「かっこいい」といい友達になろうとする。
コウタはルーシーを動物園に連れて行き、喜ぶルーシー。
次第にコウタに惹かれていくが、コウタのいうイトコの存在が男の子か女の子かが気になり、ついコウタに聞いてしまう。
コウタは「男の子」だと答え、ルーシーは安心するが、それがウソだったとわかり、ルーシーの心は完全に闇に囚われてしまう。

コメント

結局、ルーシーに止めを刺したのはコウタだったのかー。
コウタが正直にユカのことを話していれば、ルーシーにとってコウタは自分を受け入れてくれた少年として淡い恋心とともに思い出として定着し、彼女の救いになるはずだったのが、「男の子」だと嘘をついたことで、生きる為に強盗殺人に手を染め闇に飲み込まれつつあったルーシーに追い討ちをかける形となってしまった。
実際のところはルーシー視点で語られた話である為に、コウタ側の言い分(なぜ男の子と答えたか、その理由)もあるかもしれないが、少なくとも、二股かけて嘘をついたことに変わりない。コウタひどい。
前回が人間の根源的残酷性、差別という話だったのが、今回は言わば痴情・痴話でいきなりスケールダウンしてちょっと肩透かしな気もしないでもないが、これがエルフェンリートらしさなのか。

その他

・今回はコウタ妹の惨殺はなし、こっちはあくまでコウタ視点の回想でかかれるのか?
・動物園での幼ルーシーの子供らしいはしゃぎっぷりがかわいすぎ、普段が聡明で大人びすぎているだけに余計。
・びしょ濡れコウタとルーシーのオールヌードにチョンパで相変わらず15禁フル活用。
・先週から舞台になっている磨崖仏は十王岩のではないかと予測を立てていたが、イマイチ確信が持てなかった。しかし、今回やぐら(コウタとルーシーが雨宿りしてた洞)が出てきたので、十王岩の近くには百八やぐらもあるので可能性は高いのではないかと。
ただ十王岩は実際には3体、アニメでは4体で形もかなり違うのでどうだろう、うーむ。要実地調査案件ということで。


→行ってきた


 2004.09.16

原作との比較(コミック3巻まで読んで)

原作コミックを3巻まで読了、ちょうど#5の角沢教授が殺されるとこらへんまで。
アニメ版では話の筋はあまり変わっていないようではあるけれど、だいぶシーンや台詞を削っている。例えば、原作では坂東が角沢教授に会いにコウタの大学にくるというエピソードがあるが、これがばっさりカット。(ここでにゅうと坂東が再接触するが坂東は目が見えないので気づかないという、けっこうお笑いなシーンもあるのだけれど。)
マユの鬱話は、原作の方が台詞やモノローグが多くマユの内面を濃厚に描いている。
また原作のひとつのテイストでもあるギャグシーンやエロシーンはアニメ版では極力避けている。
あとは、原作の方が表情とかキャラのリアクションがオーバーかなと。

原作とアニメ版の大きな差異は単にエピソードの取捨選択だけにあるのではなく、アニメ版は物語の骨子を重視し、原作コミックの持つ「漫画的表現」を極力排して、映画的表現に、すなわち神戸監督の演出スタイルに引き寄せる形で移し変えている点にあるのではないかと思う。
原作版はシリアスなプロットの中にギャグやお色気を仕込んで、読者の興味を引きつつテンポ良く読ませていくという、漫画の特性を生かした「漫画」らしい漫画であるといっていい。
漫画には映画的な時間の連続性を意識して描かれたものもあり、そういった作品の映像化ではあまり起こり得ないことだが、漫画のコマ割の特性を生かした(時間の連続性を意識しない)「漫画らしい漫画」は、映像化する際には、原作のコマ割による独特のテンポが崩れてしまうことが多い。
「エルフェンリート」においても原作にある独特のギャグテイストを重視してより「漫画」的映像化も可能だったかもしれないが、神戸監督以下スタッフは、より「映画的」なスタイルを選んだ結果、ギャグは最小限に抑えられ、シリアスなストーリー部分に重点を置いた構成に再構築されたのだろう。



 2004.09.12

#8 嚆矢 BEGINN
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:佐土原武之/作監:嶋田俊彦

あらすじ

ナナに奇襲を受け倒れたにゅうは、熱をだし寝込んでしまう。
熱にうなされながら意識を取り戻した”ルーシー”は子供のころの過去を思い出す。
それは孤児院でいじめを受けていたルーシーが密かに飼っていた犬を、その虐められていた子供達になぶり殺しにされ、それに激昂したルーシーが「能力」に覚醒し、子供達を惨殺してしまうという惨劇だった。

コメント

幼ルーシー:「人間じゃないのは、人じゃないのはおまえらの方だ!」

ルーシー覚醒までの一連の惨劇は見てて、うわーきっついなあと思いつつ、すぐに頭に浮かんできたのは、漫画版の「デビルマン」の例のあれで不動明が人間をぶち殺してしまう、あれ。
アニメを見て精神的にえぐられたのは、久しぶりかも。
今まで暴力描写、残酷描写は何度も出てきたけど、「ここにいる子供は不幸だ、だから自分より不幸な者が必要なんだろう」(by幼ルーシー)という根源的な人間の「残酷性」しかも「子供故の残酷性」という点で、ビジュアル的な刺激以上に精神的にこたえるものだった。
男の子が犬を花瓶で殴るシーンでは、犬の姿をテーブルクロスの向こうに隠して描写するのだけれど、通常なら、それは残酷だからあえて隠れるように描いて、視聴者の想像力に訴えかけるという演出なんだろう。
ところがこの作品では、人間のチョンパを今まで散々描いていた為に、見ている方が多少麻痺しているところに、犬のグロシーンを逆に見せないことで、より子供達の暴力の残酷性が強調される形になっているのが恐ろしい。

その他
・さすがに今回、タイトルの意味がさっぱりわからなかったので知らべて見た
Goo辞書。なるほど
・殊更に指摘するほどでもないけど、作画がカクカクしておかしなところが散見された、作画陣がんばれ。
・ナナ、前回といい地蔵虐待しすぎ。



 2004.09.05

#7 際会 ZUFAELLIGE BEGEGNUNG
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:渡辺純央/作監:深澤学

あらすじ

まともに書くと長くなりそうなので、話の流れのポイントだけ
・ナナVS坂東戦→引き分け
・ナナ、マユ遭遇、ナナとマユ友達に。
・マユ、ナナを楓荘に連れて行く

コメント

坂東VSナナ戦はシリアスとギャグのバランスが良くて、面白かった、というかああいう形でギャグが入るとは予想しようがない。


全体の流れとして、行き場のないナナが、坂東にディクロニウスである自分の存在意味を突きつけられ困惑し彷徨っている所をマユに拾われるというところなのだけれど、ナナとマユが遭遇して、ナナにマユが自分の境遇と重ね合わせていく様が丁寧に描かれ、結果的にマユがナナを楓荘にまで連れて行くことの物語としての意味の深さを感じさせ、演出と脚本の噛合いが非常に上手くいってた。
施設で生まれ育って友達がいないので友達になって欲しいというナナの申し出をマユが受け入れるのは、マユ自身が楓荘に受け入れられたことの再演で、本作が疎外され行き場のない者が、居場所を見つける、受け入れられるというモチーフを繰り返していることを改めて感じさせる。

その他

・こんなことを考えるのは「コメットさん☆」見てた人間だけでしょうが、ナナがお金の使い方知らなくておなかすかしてホームレスな感じが、第1話のコメットさんに激しくかぶって見えました、これってわざと?
・4人で食卓を囲むシーンで、にゅうが箸を上手く使えない描写がほのぼのして、こういうさりげないところに力が入っているのがいいなと。
・わん太を散歩に連れてってるけど、わん太って元飼い主に引き取られなかったけ?



▼ 2004.09.03

昨日鎌倉へ行ってまいりました。
今回はかなりがんばったつもり
というわけでその成果です。

エルフェンリートロケ地探訪



 2004.08.29

#6 衷情 HERZENSWAERME
脚本:吉岡たかを/絵コンテ:あべたつや/演出:静野孔文/作監:武藤枝闇

あらすじ

にゅうを取り戻すため角沢教授の元にきたコウタだったが、角沢教授は既に死体と成り果て、にゅうは姿を消していた。
にゅうを探しに佐助稲荷神社まできたユカとコウタはそこで雨宿りをし、雨に濡れたユカをコウタが抱き寄せ暖めてやると、気分の盛り上がったユカはコウタに思わず「私のこと好き?」と尋ねてしまう。
そんなユカをコウタは、「昔の思い出を忘れてしまってごめん」といいながらもユカの気持ちを受け入れ、二人はキスをする。

コメント

今回は超良かった、

佐助稲荷をどう使うのか前回の予告からいろいろ期待していたのですが、朽ちてボロボロになったのお稲荷さんに囲まれ、少し不気味な静寂さの漂う神社の境内で執り行なわれるコウタとユカのラブシーンは、神聖でもありまたエロティックでもあり、どきどきさせる。
ちなみにリスが神社をちょろちょろしていますが、実際鎌倉近辺は野生のリスがたくさん生息しています。
この辺も土地を熟知しているからこそのこだわりというかリアリティ。
いやはや、やってくれるな、神戸監督は。

キスをして仲の深まったユカとコウタの元に現れたルーシーがその二人を複雑な表情で見下ろすときに挟まれるお稲荷さんの頬をつたう雨の雫はそのままルーシーの涙を表すかのようで意味深で印象的(お稲荷さん自体が角の生えたルーシーの似姿と言えなくもない)

物語的にも分岐点にあたるかのようで、蔵間室長が過去に娘と奥さんを亡くしたことにディクロニウスが関連し、何度か伏線的に示唆されてきたコウタの家族の死と失った過去にルーシーが関与していたことが改めて強調され、コウタはトラウマから記憶を無意識に封じ込めようとしているという、それぞれのキャラの背景と関連性がおおよそ見えてきた感じ。
コウタとユカの関係はユカの片思いのままゆるゆると曖昧に続くと思われたのが、今回できっちり二人がくっついたことも大きな変化で、コウタとユカの間にルーシー(とその分裂人格のにゅう)が割ってはいるという奇妙な三角関係が成立した形となり、居場所のないルーシーにとってもコウタの存在とコウタとの過去の記憶が拠り所となっていることは明白で、今後のドラマへの期待感が膨らむ。

その他

・ユカのストライプやらにゅうのだっこやら、シリアスながら、サービスシーンというか緊張を緩めるところもちゃんとあって、見所盛りだくさんだった
・死んだと思わせて実は生きていたナナ、蔵間室長に義手義足をつけられて密かに逃がされた模様。蔵間室長のナナへの思い入れはやはり死んだ自分の娘がディクロニウスだったとかそんな落ち?。
・次回は改造手術を受けて復活した坂東とナナの対決か。



▼ 2004.08.27

エルフェンリート 1st Note(CD付初回限定版)

予約しました。



 2004.08.24

友人で私と同じく神戸監督のファンである下野流星工房の神奈江さんにエルフェン見せてあげたら、素敵コラムを書いてくれました。



 2004.08.22

#5 落掌 EMPFFANG
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:大西景介/作監:服部憲知

あらすじ

再び楓荘から姿を消したマユだったが、コウタとユカに「家族」として迎え入れられ、一緒に暮らすことで落ち着くことになる。
大学に通い始めたコウタはにゅうを一緒に連れて行くが、そこでにゅうの正体を知る角沢教授に「ルーシーが自分の弟の娘だ」といわれ、仕方なくにゅうを角沢教授の元に置いて帰ってきてしまう。

コメント

今回はけっこう泣き話だった。

楓荘から姿を消したマユが、辺りをふらつきながら過去を回想する中で、母親の再婚相手の義父に性的虐待を受け(描写的にTVアニメとしてギリギリ・・・ある意味すごいよ)、母親からも疎まれ、家出してきたことが語られる。
家出中に拾い拠り所としていたわん太も飼い主が現れ連れて行かれてしまい、完全に孤独に追い込まれてしまうマユ。
ひとり雨の中浜辺の小屋にうずくまっている所を警察官に発見され、補導されかけたところを探しにきていたコウタとユカが現れ、「家族」だからと再び楓荘に迎え入れられる。
パンの耳をもらいに行っていたパン屋のお姉さんが誕生日だからと用意してくれたケーキが出され、さらににゅうが事情をを理解しているのかいないのか、山盛りご飯を差し出してマユを元気付けるようとするくだりは、シーンとしては何気ないほんわかしたものなのだけれど、人の醜悪さにさらされ孤独の中にいたマユにとって、それは人の優しさの具現として救いとなって映る。鬱話故の泣かせるシーンで秀逸。

マユって今のところ本筋(ルーシーの話)との関わりが薄いので、その存在意味があるんだろうかとちょっと疑問に思ってたんだけど、今回の「性的虐待」を受けていた事がわかってマユが、にゅうと「背負っているモノが違うだけの同類」として対になっているのではないかと思えた。
マユとにゅうが楓荘に引き寄せられたのは必然だったと。

この後、角沢教授が偽りで「家族」という言葉を使い、にゅうとコウタと引き裂かれるのだけれど、マユがそのことに疑問を抱いて「家族とかってあまり私あまり信じてないから」という台詞が出てくるに至って、作中における楓荘の「擬似家族」としての意味合いがより色濃くなってきた。
これは作品のテーマにも大きくかかわりそうだ。


今回初登場だった角沢教授は、人類が云々とひとしきりしゃべった後自分も、ルーシーと同じ種族だとカツラを脱いで角を持っていることを見せるが、速攻ルーシーに殺されてしまった。あまりに早くてあっけに取られてしまった。彼は重要キャラじゃなかったのか。


その他

・今回にゅうが楓荘に置いてある柱時計の振り子をいじっていたけど、この柱時計は第1話からずっと印象的にシーンに挿入されている。

・コウタとマユの母親が会っていた喫茶店は、おそらくミルクホールではないかと予想。
神戸監督のコメットさん☆でも使われていたので行ったことがあるんですが、すごい見覚えがあります。
あと予告の佐助稲荷神社、これもちゃんと実在してます。




 2004.08.16

#4 触撃 AUFEINANDERTREFFEN   (8/15放映)
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:岩永彰/作監:Yang Kwang Seock

あらすじ

捕獲の為ルーシーに戦闘を挑むナナ、
”ベクター”の長さで上回るナナが有利と思えたが、戦闘のさなかマユが割って入り
そのの隙を突かれたナナはルーシーに四肢を切断されてしまう。
ルーシーとナナの戦闘に巻き込まれ怪我を負って病院に運ばれたマユは、楓荘に連絡をとりコウタに迎えにきてもらう。
マユが家出中であることを察したコウタはマユをひとまず楓荘に留まらせることにする。

コメント

今回は1話以上に残酷シーンがキツい。それ以上に話としてもきつかった。

ナナが左足切断され、切断された足が宙に舞、地面に転がるところまで、きっちり描く執拗さで、さらに五指切断、ナナが動けなくなったところで、両腕ともう一本の足をもぎ取っていくのだけれど、千切れ方や切断面も肉体のナマナマしさを感じさせる描きかたでエグさ倍増。
ナナとルーシーの戦う場所が墓地であることが、その後の運命を暗示していたのか、四肢を失い瀕死となったナナは、研究所の上層部から「不要」と判断され、蔵間室長の手によって薬殺されてしまう。
蔵間室長をパパと慕うナナが室長に薬を打たれ自分の運命を悟ったかのように「さよなら」と告げて絶命してしまうシーンは、あまりに哀れ。

引き気味のカメラとスローなカット割、更に戦闘シーンではをそれを盛り上げるような音楽は一切なしという重苦しいムードが漂い、感情移入を拒絶するかのような演出が、冷徹に事態を客観視させ、それでいてブルーな気分にさせる。

そういった凄惨な事態が進行している一方で、ユカはコウタの本心がわからずやきもきしたり、ついさっきまで残酷シーンを繰り広げていたにゅう=”ルーシー”といっしょにほのぼのと食卓を囲んだり、お風呂に入ったりと日常シーンが同時に演じられていることのギャップというか対比が、お互いを際立たせていて面白い。

今回気になったのは蔵間室長のナナに対する態度、前回からの流れでは、ナナをただ道具として利用していただけなのかと思いきや、ルーシーがそばにいることも意に介さず四肢を切断されたナナに近づき、いたわってやり、ルーシーに対して怒りをぶつけるが、それが少し唐突に感じたこと。
アニメ版では描写が少なく印象の薄い蔵間室長が、ディクロニウスであるルーシーやナナに対してどのような因縁や感情があるのか、この時点では伏せられたままだが、それについてはこの先の話の中で開かされることだろうか。



 2004.08.08

#3 胸裡  IM INNERSTEN
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:佐土原武之/作監:島田俊彦

あらすじ

坂東から逃れ楓荘に戻ったにゅう、コウタはにゅうを楓荘にかくまうことを決めるが、そのことに気が気でないユカは自分も楓荘で暮らすと言い出す。
一方”ルーシー”にズタズタにやられ生還した坂東は、”ルーシー”=ディクロニウスの真実を告げられ驚愕する。
そして蔵間室長は”ルーシー”捕獲の為、七番目のディクロニウス”ナナ”を投入する。


コメント

絵コンテ・演出は神戸監督作品ではおなじみの佐土原武之。

コウタは発情するにゅうに迫られ、ユカに嫉妬されと、すっかりまったり萌えアニメムードに(笑
さらに、家出少女っぽいマユがそこに現れるいたって、まさに「ラブひな」状態。
とはいっても、神戸監督の持ち味がそうさせるのか、下手にテンションを乱高下させたり、キャラをくずしたりせず、ユカのコウタに対する一方通行なもどかしい思いをメインに、ユーモアは交えつつもシリアスなスタンスは崩していない。


マユについては、まだはっきりしないので今のところでメインキャラ三人をまとめると

ユカ=主人公コウタに惚れてる幼馴染
コウタ=ボケ主人公、ユカとの思い出を何らかのトラウマで忘れてる
にゅう=白痴、二重人格で凶暴化(コウタのトラウマに関係あり?)

「子供のころの思い出をずっと大切にしていた幼馴染の女の子とそれをすっかり忘れているボケ主人公」、という構図自体がはっきりと美少女ゲーム的なよくある設定で、物語の鍵を握りながら白痴であるにゅうのキャラはぶっちゃけ「ちょびっツ」のちぃ、それらが、楓荘で同居をはじめるというのはまさに「ラブひな」、ここだけ切り出せば確かに今時流行りの萌えアニメといえなくもない。
しかしその背景には血みどろの暴力が横たわっているところをみるとむしろ、「雫」「痕」のような一昔前のダーク系の18禁エロゲーの要素も伺える。
実験と称して虐待されたナナが蔵間室長を父親と思い込むことで精神を安定させているという痛々しさというか悪趣味さは「ガンスリ」的といえなくもない。

今回、蔵間室長が坂東に”ルーシー”=”ディクロニウス”について語るくだりで、ルーシーはベクターと呼ばれる能力で繁殖し、人類を滅ぼすミュータントであるというSF的な側面での設定も明かされ、本作の要素はこの三話で出揃ったといったところか。

公式の

>『エルフェンリート』は、SFサスペンス、バイオレンス、ラブコメ、エロス、萌え……。
>エンターテイメントの要素をすべてあわせ持った、いわば超エンターテイメントコミックなのだ。

という煽りも、ごった煮のようで、しっかりバランスがとれていることがわかってきて、あながちウソじゃないと思えてきた。
最初はなにかキワモノのようにしか思えなかったけど(笑



 2004.08.01

#2 掃討 
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:渡辺純央/作監:服部憲知

あらすじ

コウタが大切にしていた妹の形見の貝殻を割り、コウタに叱責され楓荘を飛び出してしまうにゅう。
一方施設を脱走した”ルーシー”を射殺すべく特殊部隊が派遣され、警察による捜索も行われ、コウタは警察ににゅう=”ルーシー”の写真を見せられる。
コウタはにゅうを探しに雨の中、由比ヶ浜に向かいにゅうを見つけるが、そこで特殊部隊の”坂東”と遭遇する。

コメント

原作をすこしでも先に読んだのを少し後悔中。

アニメとしては、普通に面白くはあるんだけれど、原作と比べたときに坂東のイカレた言動がかなり省かれてキャラの立ち具合が弱いくなってしまったのがかなり残念。
バコバコとにゅうを痛めつけていた坂東が”ルーシー”の覚醒で逆にいいように痛めつけられる立場の逆転具合も、演出が腰が引けたのか、にゅうに振るわれる暴力が控えめで痛さをあまり感じさせないようになってしまった為に、坂東とルーシーの振るう暴力のもつ意味合いの対比が弱くなってしまった気がする。

逆に原作よりも良くなってる面も。
おそらくは雑誌連載上の都合で入れ替えていたルーシーVS坂東の時系列を戻してわかりやすくするともに、浜辺でにゅうが貝殻を探していたことを楓荘に戻ってきてからコウタが知るように構成しなおされ、ルーシーがにゅうの拾った貝殻を持っていることに気づき、意識がにゅうと入れ替わるというように、大筋では話の流れは変わっているわけではないけど、貝殻を鍵ににゅうとコウタの関係性を重視して印象付けるように練り直されているのは良かったんではないかと。

ということでココまででちょうど原作コミック一冊分。
原作の独特の持ち味やキャラ立ち具合が平坦にならされてしまっている感はあるものの、それはあくまで原作者自身の持ち味で再現は難しいと考えれば、原作もののアニメ化としては上手くいってる方なのかな。
1,2話とあくまでシリアスに話が進行しているのだけれど、今回からマユも登場、コウタがにゅうを着替えさせるところをユカに見られるなど、「女の子いっぱい、いぃーっぱい連れてきちゃう」萌えアニメ路線はむしろこれからか?



 2004.07.26

公式よりDVD 10/21発売決定
初回限定版:オリジナルサウンドトラック同梱2話収録¥8190
通常版:¥5040


なんかサイズが16:9ってなってるけど放映は4:3だった。
つまりDVD買えということかー。

・おなじく公式よりMOVIEでOP/EDが見られるようになってます

OPテーマ「LILIUM」
作詞・作曲・編曲:小西香葉・近藤由紀夫
EDテーマ「be yuor girl」
作詞:日向めぐみ/作曲・編曲:加藤大祐/唄河辺千恵子

OP/EDアニメーションスタッフ
絵コンテ・演出:神戸守
作画監督:きしもとせいじ
原画:りんしん
動画:かわたつ:松本光倫
色指定・検査:中田亮太
仕上げ;中田亮太・北沢希実子
背景・撮影:三田小太郎





 2004.07.25

#1 邂逅
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:神戸守/作監:武藤枝闇
原画にりんしん、梅津泰臣

あらすじ

とある施設に拘束されていた少女”ルーシー”が、特殊な力を使い警備員を次々と殺戮、脱出を図るが、施設を出たところで狙撃され頭を打たれ海に落ちる。
一方、大学に通う為、鎌倉に使われていない料亭を借り受け住むことになったコウタは、極楽寺駅に降り立ち幼馴染でイトコのユカと再会する。
海を散策していた二人は、そこで記憶を失ったためか幼児化した”ルーシー”を拾い、家に連れ帰り、”にゅう”と名づける。

感想

エログロな設定と内容を、一歩引いた所から描いていて、出だしとしてはかなりシリアスなSF作品といった雰囲気。
予想以上にバイオレンス描写はきつい。でも面白かったです。

始まってすぐ、細かい説明を飛ばして、真っ裸のルーシーによる殺戮がこれでもかと続く。
手足はもげるは、胴は真っ二つになるは、生首は転がるは、心臓はとび出るはで、15禁は伊達じゃなかった。血の量も多くて、不謹慎な言い方だが、血の色は鮮やかできれいでした。
その描写はグロさや衝撃度をアピールするというよりも、かなり冷徹な視線で描かれている。
殺伐とした殺戮シーンから一転、コウタとユカの再会からにゅうを拾うまでは、ゆったりとした間で穏やかな日常的風景が描かれる。この辺は神戸監督の得意分野で、白痴なにゅうのおもらしやら下手くそなおにぎりの食べ方が描かれそれまで同一人物だったルーシーとの落差が強調されるのだけど、さすがにこれでにゅうのことをかわいいとか萌えとか思えないです。
一話の見せ場はやはり凄惨な殺戮シーンになっちゃうんだろうけど、個人的には神戸監督お得意の地味な日常芝居との落差があじわえればなーと、思っていたので、一話の出来としては、ひとまず満足。

OPは曲とあわせて何やら荘厳で、かなり独特の雰囲気を出してました。
あと気合の入った美術による鎌倉風景は、それだけでも堪能できちゃうなー。


原作との比較

・アニメでは秘書がうっかり出てきてあっさり殺されてしまうのだけれど、この秘書の女の子は原作では、室長に「ズッコケ秘書です」と呼ばれてそのズッコケ振りが強調されたあとルーシーに捕まり、無駄に場を盛り上げて死んでいくという重要な(?)役割を担っていて、原作の冗談なのか本気なのかわからない独特な味を象徴するかのようなシーンだったのだけれど、そこが短縮されたことで秘書の存在が単に意味不明で浮いてしまっている気がする。
この変更に関しては是か非か、ちょっと判断しかねます。
ただこのシーンにこだわらなかった分、アニメ版の一話は、クールなアニメとしての統一感を守ったように思えます。
・原作だとルーシー=ディクロニウスの能力について最初から細かく説明が加えられるが、そこを避けて「絵」として描くことでまずインパクトを与えるように構成しなおされている。これについてはアニメとしては正しいんではないかと。
・にゅうがコウタたちとおにぎりを食べるほのぼのとしたシーンはアニメオリジナル。



今年4月に撮った極楽寺駅。とりあえずはっときます。



 2004.07.23

さてもうすぐ第一話が放映されるわけですが、その前に確認として、個人的な原作とアニメ版に対する立場を記しておきます。
元々私は、アニメ化の報が入るまで、原作について、まったく知りませんでした。
ぶっちゃけ監督が神戸守監督でなかったら、数多くある原作ものアニメのひとつとしか捉えなかったと思います。
それぐらい自分からはちょっと縁遠い原作です。
最初に原作のあらすじや紹介をネットで調べ読んだときは、絵柄とあわせて、「不条理コメディの萌え漫画の一種か?」と思ってしまったのですが、とりあえず原作を一巻だけ読んでみて、それはどうも違うらしいということだけは、わかりました(笑
アニメを見るうえで、あまり先のストーリーやキャラを知ってしまうのはもったいない、なるべくニュートラルな観点でアニメを楽しみたいという考えから、原作は、二巻以降、アニメ版のストーリー進行に合わせて読み進めようと考えています。
このどうやら一筋縄ではいかない漫画を神戸監督がどのようにアニメ化するのか楽しみです。



 2004.07.17

ヤングジャンプ今週号(7/15発売)のエルフェンリートアニメ化特集記事に神戸監督と脚本・吉岡たかを氏の短いインタビュー記事が掲載されています。
神戸監督の方は公開されているOPに関して語っています。
今回OPは神戸監督がキャリナビのインタビューで名前をあげていた画家クリムトの絵を元ネタに作っているそうです。
かなり趣味に走っているような気が。

クリムト関連:
グスタフ・クリムト - Wikipedia
http://www.ne.jp/asahi/art/dorian/K/Klimt/Klimt.htm