三条神楽は出雲神楽系統の神楽で、約200年前から新潟県三条市に伝承され続けている伝統芸能です。この三条神楽が何処から伝承されたかは確かな記録がありませんが、出雲から山陰地方、北陸地方を経て三条の地に伝えられたものと考えられています。江戸時代の文化8年(1811)には、三条町八幡宮で神楽が舞われていたことが古文書などに残っていますが、その起源はさらに遡るものとみられます。市内各神社の神楽は八幡宮(八幡町)から伝わったと考えられています。
三条神楽は昭和38年に新潟県無形民俗文化財に指定されました。
三条神楽保存会(全6社が集まる団体)は、2008年に三条市で初めて地域文化功労者文部科学大臣賞を受賞しました。
余談ですが、明治時代ごろに三条神楽は北海道の札幌神社(現:北海道神宮)に伝承され、今でも例祭に神楽が奉納されているようです。管理人も拝見したことはないのですが、一度北海道に見に行ってみたいものです。
三条神楽は次の6社で伝承され続けています。八幡町にある八幡宮、神明町にある神明宮、大崎にある中山神社、塚野目にある白山神社、保内にある小布勢神社、そして田島の諏訪神社。各神社の伶人は三条神楽の舞や、太鼓と篠笛による楽を伝承、保存しています。また、伶人のほかに稚児と呼ばれる子供たちも三条神楽を受け継いでいます。
各神社は春・秋祭りや各種祭典などで三条神楽を奉納します。また、毎年10月第1日曜日には神楽保存会の全6社が集まり鑑賞会を開き、三条神楽を一般の方々へ広く伝えると共に後世へと伝承します。
三条神楽は他地域の神楽に比べ多くの舞を伝承してきました。その数32舞。舞の内容も様々で、古事記や日本書紀に伝わる神話を基にした舞(天孫降臨の舞やヤマタノオロチ退治をする深山錦の舞)、五穀豊穣を感謝する舞(五穀散の舞や五穀捧の舞)、天災や禍を絶ち世の安泰や氏子安全を祈る舞(悪魔祓の舞)、演劇的でストーリー性の高い舞(福神遊の舞)、地元三条の特産物である金物を感謝するような宝剣作の舞などあります。また舞手の種類も多く、1人舞(宮清の舞や鳥形の舞)や複数人舞(久奈戸の舞や五行の舞)、子供のみの稚児舞(先稚児の舞や羽返の舞)や宮司による宮司舞などあります。1舞の時間も数分で終わる舞から30分以上かかる舞まで様々。見ていて笑いがでるようなおもしろい舞もあれば、威風堂々と迫力ある舞や神秘的な舞など多種多様にあります。そして、これらの舞が神社によって少しづつ+αの味付けがされて伝承されている点が非常におもしろいです。舞の形が違ったり、楽の音色が違ったり、その神社ごとの歴史や、伝承してきた先代の人々や地域の人々の想いなどを感じ取ることができます。それら全てが三条神楽なのです。