個人債務者の任意整理 個人債務者の自己破産申立手続 個人債務者の民事再生手続(いわゆる個人再生手続)
離婚事件(離婚を希望する方の場合) 成年後見制度 任意後見契約・ホームロイヤー契約・財産管理等委任契約

個人債務者の任意整理

(手続の概要)

任意整理とは,裁判所に申立てを行う手続ではなく,個別の債権者から取引履歴を開示してもらい,その履歴を基に利息制限法の金利で残債を再計算し,@債務が残る場合は,債権者と交渉をして,最終取引日以降の利息・損害金の減免をしてもらい,返済総額を原則3年間で分割して返済する和解を行い,A過払いの場合は,債権者との交渉又は訴訟により過払金を回収することです。

(メリット)

@銀行のローンや自動車のローンは整理せず,これまで法定利息以上の利息を支払ってきた消費者金融,クレジット関係だけを整理することも可能です。A借金ができてしまった原因がギャンブルや浪費であっても,和解内容の履行が可能である限り,特に問題とはなりません。B無職であって,安定収入がなくても,親族等が返済資金を用意できれば,任意整理は可能です。

(デメリット)

@利息制限法所定の金利内での貸付けの場合,元金は減りません。弁済総額を利息制限法によって再計算された元本額以下に減額する交渉は困難です。A債権者との話し合いがつかなければ,訴訟提起されたり,給与差押えを受けたりする場合もあります。B過払いにならず債務が残る場合は,信用情報機関に事故情報として載り(いわゆるブラックリストに載る),クレジットカード等が使用できなくなることがあります。






受  任





債権者に弁護士があなたの代理人になったことを通知し,取引の明細を求めます。 支払を停止します。




利息制限法による引直し計算





和解交渉


債務が残る場合
過払いの場合
一括や長期分割(約3年)で支払います。
最終取引日以降の利息・損害金はつけないよう交渉します。

5%の利息を付加して貸金業者に返還を求めます。貸金業者の返還提示額が少ない場合には訴訟提起を検討します。

和解成立
和解成立 訴訟提起



和解書に従って返済
和解成立 判決






過払金回収

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個人債務者の自己破産申立手続

(手続の概要)

個人の借金などを返済していける見込みがない場合,自己破産の手続をとることが考えられます。具体的には,あなたの住所地を管轄する地方裁判所に,破産手続開始及び免責許可の申立を行います。裁判所が破産手続開始の決定をすると,生活に不可欠な財産として法律に定められているものを除き,預貯金,土地,建物,有価証券,自動車などの財産(おもに時価が20万円を超える動産)は,原則としてお金に換えて債権者に配当するために,裁判所が選任する破産管財人の管理下におかれます。ただし,債権者への配当にあてられるだけの財産が残っていない場合は,通常破産手続開始の決定と同時に破産手続が終了し(同時廃止といいます。),破産管財人は選任されません。その後,裁判所は,借金などの返済義務を免除するかどうかについて検討し,決定します(免責許可の決定)。ギャンブルや浪費などで借金がふくらんだなどの事情(免責不許可事由)がある場合,免責が許可されないこともあります。また,税金・社会保険料の滞納分,犯罪行為に基づく賠償金,子供の養育費の支払義務などは,免責許可の決定があっても免除されません。

(メリット)

免責許可決定確定により,非免責債権以外の債務が免除されます。

(デメリット)

@手続の中で2回官報に掲載されますので,場合によっては,人に知られる可能性もあります。A免責確定までは,就けない職業があったり,勝手に引越しをしたりすることができません。B自動車のローンだけは従来通り支払い続けたいと思っても,債権者は平等に扱わなければいけませんので,支払いを停止することで,ローン会社に自動車を引揚げられてしまう場合もあります。



受  任



債権者に弁護士があなたの代理人になったことを通知し,取引の明細を求めます。 取立てが止まります。
支払いを停止します。



あなたに,破産申立てに必要な書類を揃えていただき,弁護士が破産の申立書を作成します。



弁護士が裁判所に破産を申し立てます。
破産手続 破産手続後に免責が決定されます。 免責手続






破産手続開始決定



お金に換えたときに20万円を超える財産があったり、負債の原因に問題があるか。

YES
NO

管財事件
裁判所により破産管財人が選出され、あなたの財産や負債の原因を調査したり、あなたの財産を金銭に換えて、債権者に公平に配当する手続です。

同時廃止事件
破産手続は終了します。






あなたに弁護士が付添い、裁判所で行われる債権者集会へ出席します。 財産を処分しても配当できるほどのお金が出来ない場合
財産の処分により、配当できるほどのお金が出来た場合



配 当
異時廃止
破産手続は終了します。






終 結








債権者意見徴収
債権者からあなたの免責について意見があれば提出されます。








免責審尋
弁護士が付添い、裁判所に出頭します。裁判官から破産申立に至った事情等が質問されます。







免責許可決定・確定
債務が免除されます。

免責不許可決定・確定
債務が残ります。

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個人債務者の民事再生手続(いわゆる個人再生手続)

(手続の概要)

個人再生手続とは,借金などの返済ができなくなった人が,全債権者に対する返済総額を少なくし,その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画案を立て,債権者の決議を経て,または債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば,その計画どおりの返済をすることによって,残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続です。なお,5000万円以下(住宅ローンを除く)の債務を負っている個人債務者,将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある者などの条件に該当しなければ,利用できません。また,借金ができてしまった原因がギャンブルや浪費であっても,弁済計画の履行が可能である限り,特に問題とはなりません。再生計画に定める最低弁済額はおおむね負債(住宅ローンを除く)の5分の1で,100万円を下回ることはできません。

(メリット)

@住宅資金特別条項というものを利用すれば,住宅ローンは返済し続けて自宅不動産を保持しつつ,その他の債務を大幅カットできます。A住宅ローンの返済方法の変更も可能です。B自営業者の方が,廃業することなく営業を継続しながら,債務を大幅にカットできます。

(デメリット)

@現在無職無収入の人は利用することは出来ません。Aすべての債務を対象にしなければなりませんから,例えば勤務先から借入れがあるという場合,勤務先も債権者として裁判所に申告しなければならず,勤務先に個人再生手続きを行っていることが知れてしまいます。B自動車のローンを従来通り支払い続けたいと思っても,特別な事情がない限り,特別扱いすることが出来ませんので,自動車はローン会社に引き揚げられてしまう場合もあります。


受 任 一応の再生計画で算定した毎月の返済予定額以上を毎月積立てしてもらいます。これは,後日裁判所に提出する再生計画案通りの返済が可能であるかどうか確認するためです。積立金は,事件終了時(認可決定から返済開始までの間)お戻しします。なお,その時点で実費などの不足金があれば相殺します。




債権者に弁護士があなたの代理人になったことを通知し,取引の明細を求めます。 支払を停止します。





住宅資金特別条項を利用する場合は,弁護士が住宅ローン債権者と返済方法について協議します。 住宅資金特別条項は一定の条件を充たさないと利用できません。

再生計画の認可確定までは,とりあえず今までどおりの条件で住宅ローンを支払います。





あなたに,個人再生手続申立てに必要な書類を揃えていただき,弁護士が個人再生の申立書を作成します。










  • 裁判所に個人再生手続申立て
  • 個人再生手続開始決定

  • (裁判所に出頭不要です)
    裁判所における手続


    再生計画案を提出

  • 債権者の議決(小規模個人再生の場合)
  • 債権者の意見聴取(給与所得者等再生手続の場合)






  • 認可決定・確定











    再生計画に従って返済開始







    返済終了 残りの債務は免除されます。

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    離婚事件(離婚を希望する方の場合)



    相談
    (離婚の意思確認)






    (法定の離婚原因の確認)
    @回復の見込みのない強度の精神病(躁うつ病,偏執病,早期性認知症など) A悪意の遺棄(同居義務,協力義務,扶助義務を不当に違反すること) B不貞行為(不倫,浮気,愛人など) C婚姻の継続が困難な重大な事由(生活や性生活の不一致,暴力・虐待,親族との不和など)


    (要求の確定)
    @親権者 A養育費 B財産分与 C慰謝料 D婚姻費用 E面会交流 F年金分割







    相手方へ内容証明発送








    相手方との交渉








    交渉不成立
    交渉成立 離婚協議書又は離婚公正証書作成後,随時離婚届提出







    家庭裁判所に
    離婚調停申立
    審判 (審判について)調停成立の見込みがない場合,ある一定のケースについては家庭裁判所が職権で「調停に代わる審判」をくだし,強制的に離婚させるという方法に移行する場合もあります。このようなケースはごく僅かです。



    調停不成立
    (不成立の調停調書作成)

    調停成立
    (合意内容を調停調書に記載)
    調停成立後,審判確定後10日以内に離婚届を提出(戸籍法第77条による法第63条の準用)







    家庭裁判所に
    離婚訴訟を提起








    判決
    和解 判決確定後,和解成立後10日以内に離婚届を提出(戸籍法第77条による法第63条の準用)

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    成年後見制度

    申立て

    本人が住民登録をしている市町村を管轄する家庭裁判所に申立てます。
     申立てに必要な主な書類は,次のとおりです。
       ・申立書 ・後見人等候補者身上 ・後見予算表 ・財産目録
       ・本人の戸籍謄本 ・本人の住民票または戸籍付票
       ・本人の診断書及び診断書付票(裁判所の書式を使用)
       ・本人の登記されていないことの証明書
       ・本人の財産に関する資料
       ・推定相続人の同意書   など
    保佐開始,補助開始の場合上記の他に同意権,代理権を要する行為に関する資料も必要です。
    審問・調査・鑑定等
    申立て後裁判所の職員が,申立人,後見人候補者,本人から事情を聞いたり,本人の親族に後見人候補者についての意見を照会することがあります。また,必要に応じ,家事審判官(裁判官)から事情を尋ねられることもあります(審問)。
    本人の判断能力について,鑑定が必要な場合があります。
    (鑑定費用が発生します。)
    審判
    (後見等の開始・成年後見人等の選任)

    家庭裁判所は,後見等の開始の審判をすると同時に,もっとも適任と思われる者を成年後見人に選任します。
    審判は不服申立がなければ,成年後見人等が審判書を受領してから2週間後に確定します。審判に不服がある申立人などは,この2週間の間に不服申立て(即時抗告)の手続をとることができます。ただし,誰を成年後見人に選任するかという家庭裁判所の判断については,不服申立てをすることはできません。
    登   記

    東京法務局に登記されます。

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    任意後見契約・ホームロイヤー契約・財産管理等委任契約

    契約名 内容
    任意後見契約 本人が元気なうちに,あらかじめ弁護士を後見人に指定しておき,将来判断能力が不十分になったときには,弁護士に自己の生活,療養監護および財産の管理に関する事務の代理権を付与する契約です。
    ホームロイヤー契約 弁護士は本人に対し,定期的に安否の確認をし,本人は弁護士に対し,日常の暮らしにおいて生じる法律問題を相談することができる契約です。
    財産管理等委任契約 本人が,弁護士に,自己の財産の管理に関する事務等の代理権を付与する契約です。

     これら契約を弁護士と締結しておくことのメリット・・・高齢期に生ずる問題は,医療,介護,住まい,財産の管理など様々です。判断能力が減退してきたときの財産管理や判断能力はあっても身体が不自由になったときの財産管理,さらに亡くなった後の相続の問題も関連します。元気なうちに,任意後見契約,ホームロイヤー契約および財産管理等委任契約を弁護士と締結しておけば,これら問題について弁護士からトータルな支援を受けることができます。さらに,弁護士に遺言書の作成と執行を依頼すれば,亡くなった後に確実に遺言を実現することができます。










    任意後見契約
    ホームロイヤー契約
    遺言書作成


    初めから財産管理等委任契約を締結することもできます


    財産管理等委任契約





    任意後見監督人選任の申立て 判断能力不十分
    任意後見を開始するには家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをしなければなりません





    任意後見監督人選任







    任意後見開始 終  了

    任意後見開始により財産管理等委任契約は終了します


    本人の死亡 遺言の効力発生


    本人の死亡により遺言の効力が発生します


    任意後見終了



    遺言の執行













    相続終了

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